[Data]
ハード:Nintendo DS
メーカー:元気
発売日:2005.03.24
ジャンル:アドベンチャー
実勢価格:500~1,000円(中古価格)

評価:★★★★☆

[Review] 2009.02.06

探偵・癸生川凌介事件譚 仮面幻影殺人事件

 もともとは携帯用のアプリとして発表された作品群だったが、好評だったためニンテンドーDSで発売される…という珍しい形態がとられた作品。普通は逆だと思うんだけど。

 しかし、まず驚いたのが音楽スタッフに光田 康典の名前があったことだな。今はプロキオン・スタジオという会社でフリーの仕事してるみたいだけど、クロノ・トリガーとかゼノギアスの印象がかなり強いわけですよね。

 内容は、いいシナリオがないかネタを探しに、友人が所長を務める探偵事務所へ足を運ぶゲームシナリオライターの生王正生(いくるみ まさお)が、事務所の助手である白鷺洲伊綱(さぎしま いづな)とともに事件を解決していくというもの。今回は、オンライン推理ゲーム「ミスティ・オンライン」のβテストで起こった殺人イベントとまったく同じ内容の殺人事件が現実に発生。生王と伊綱は、3年前の事件とも絡む複雑な事件の謎に迫っていく。
 所長の癸生川凌介(きぶかわ りょうすけ)とか尾場九歳(おば こことし)とか、漢字を見るだけでは名前が判別できない(もしくはしにくい)人たちが非常に多く登場する。おそらくシリーズ通した特徴なんだろう。

 探偵・推理ものとしてはまさに王道のアドベンチャーゲームで、DSのタッチ操作を生かし、人物の口にタッチして会話を進めたり、あたりのものをタッチして調べたりとさまざまなことができる。
 DSならではの2画面を非常にうまく使っていて、基本は全て下画面で、途中で手に入るさまざまな情報はメモとして上画面に表示できるようになっている。Lボタン(もしくはRボタン)と十字キー(もしくはABXYボタン)の組み合わせでメモを切り替えられる操作系はわかりやすいし面白い。LRボタンどちらでもメモの参照ができるので、ペンを左で持とうが右で持とうが、空いている手でメモを参照できるようになっているこの操作系は見事。細かいことだけど、こういったところでゲームの差が出るんじゃないかと思う。

 携帯用をプレイしたことがないので前作までの内容などはまったくわからないのだが、話の内容が重い反面、登場人物が全体的にゆるく、ここは感じ方がそれぞれあるだろうと思う。個人的にはこのゆるさも好きだが、人によってはゆるすぎと感じるかも。

 難易度は…まあ、何も見ないでノーミスでクリアするとかならかなり難しいと思うが、間違っても伊綱がヒントをくれたり訂正してくれたりもするので、先に進めなくて詰まるということはない。そういった意味では非常に簡単なゲームと言えるのかもしれない。
 ストーリーの展開でなかなか先を読みにくく、テキストも無駄な説明文ばかりで多すぎることもなく、すんなりと世界に入っていける。さすがはシリーズものだなーというところは感じる。
 ただここも、ゲーム途中で出てくる人物が携帯アプリ版(前作まで)をプレイしていないとまったくわからない人物であったりとか、しかもその人物がほとんどストーリー上関わりがなかったりとかするのはちょっとどうかと思った。せっかく主要人物の紹介はあるのに、そのほかは「あー久しぶりです、前の事件では…」みたいな感じだもの。

 あとグラフィック。人物グラフィック以外はそこそこいい感じなんだが、人物がなぁ。何か特徴はあるんだが、あんまり絶賛できる感じではない。好みは分かれそう。
 人物グラフィックに関してはもうひとつ。シーンによっては遠近配置になり、一部キャラが生王のそば、つまり手前に来ることがあるのだが、そのときのグラフィックがちょっとひどい。書き直しとかはせずにそのまま巨大化してるようで、ドットがかなり目立つ結果になってしまっている。ちょっと詰めが甘い印象を受けた。

 あとネタバレになるからあんまり詳しいことは書かないけど、最後がなぁ。話として納得は行くんだけど、自分で推理するゲームだから、最後の進め方には疑問が残る。

 …とまあ、いろいろ不満点もあげましたが、全体的にかなりいい出来のゲームであることには違いないです。クリアするのに3日もかからないと思うんで、ボリュームはそれほどでもないんだけど、まあこの手のゲームならば十分及第点でしょう。