[Data]
ハード:Nintendo DS
メーカー:レベルファイブ
発売日:2007.02.15
ジャンル:アドベンチャー
実勢価格:1,000~1,500円(中古価格)

評価:★★★★

レイトン教授と不思議な町

 映画にもなったDSの人気作品・レイトン教授シリーズの第1作。もともとダーククラウドやドラクエ8・ローグギャラクシー等の製作で名前は知られていた感のあるレベルファイブだが、同社の名前でソフトを発売するのは今作が始めて。パズルを解いてストーリーを進めていく、新しい感覚のアドベンチャーゲームとなっている。

 まず、プレイをスタートしてすぐの感想が「DSらしいゲームだなぁ」だった。親しみやすいキャラクター・謎一つ一つにかかる時間が数分程度のため、空いた時間にささっとプレイできるゲーム性・タッチ操作を最大限活用したわかりやすい操作性など、DSじゃないと実現できない部分であったり、DSをプレイするであろう大人層を完全に狙った作りになっているな、というのは感じた。出されてくるパズルの内容からして、決して子供用に作ったものではないしね。終盤のパズルの難しさはかなりのものだし。

 このゲームの最大の特徴は、DSでよく見られるトレーニング系/頭の体操系と、ストーリー性を持ったアドベンチャーとを組み合わせたことにある。公式上では「ナゾトキ×アドベンチャー」という表記になっているが…
 今までのトレーニングソフトというのは、短い時間の中で継続したトレーニングをしやすく作ってあるのが基本で、当然のことだがそこにストーリー性なんてものは必要なかった。大人のDSトレーニングあたりがいい例だろうが、カレンダーにはんこを押して毎日続けることに意味があった。
 アドベンチャーゲームは、与えられた行動範囲の中で物を調べたり人と会話したりという選択があり、その中から謎を解き明かしたり次のストーリーへ進んで行ったりするジャンルで、ストーリーを読ませる内容が非常に多い。言ってみればトレーニングソフトのようなジャンルとはまったくかぶらないジャンルと言える。
 そんな中、このソフトはその2つのジャンルを組み合わせたわけだが、何だかありそうでなかったジャンルだと思う。本来ならば、アドベンチャーゲームとしてストーリーを追ってる最中にパズルが出てくるなんていう展開の発想はなかなか出てこない。このへんは思いついた人がすごいなあ、と思うところなのですが。

 そんな超展開(?)をナチュラルに見せてくれるものとしては、ゲーム全体のグラフィック・サウンドによる部分が大きい。まず絵柄が可愛くてほのぼのした感じでよい。最近の萌えブームのせいもあって安易に乗っかるような絵柄にしてしまいがちの部分だが、そこはうまく避けている印象だ。あと声が意外に良く、特に大泉洋のレイトン教授が想像以上にはまってて驚いた。ルーク少年の堀北真希もなかなか良かったのでは?

 曲も全体的に主張しすぎずでよく、ストーリーや謎解きの邪魔をしない。ミステリー感が非常に良く出ていて好感。

 まず謎解き部分に関しては、平成教育委員会に出てくるようなマッチを動かすとか岸の動物を反対に移動するとか、そんな類のパズルが非常に多い。あとは問題文に引っ掛けが潜むような類も多く、このへんはプレイした人によって評価が分かれそう。時間制限がない上ヒントメダルと呼ばれる救済措置があるため、時間がある人ならじっくり長考できるようになっているのは嬉しい。
 一部問題では画面上に直接メモのような形で書き残すことが可能になっているが、この機能をすべての問題につけてくれるとなお良かった。画面右側にでもタブみたいなのをつけて、タッチすると画面外から白いメモが出てきたりとかね。(DS平成教育委員会あたりがこの形式だった記憶が)

 アドベンチャー部分については、基本謎解きが主役なのでそこにプラス要素として加えました程度でしかないのだが、移動やメニュー画面へのレスポンスが比較的良好で操作しやすかったのは素晴らしい。逆にヒントメダルの場所(判定)はちょっとシビアすぎる印象があった。
 あと寄り道要素がちょっと多すぎかとも思う。おかげで何度も同じセリフを聞く羽目になったりしてしまったのが残念な部分。ストーリーもプレイヤーがその進行や選択に関わることはほとんどなく(ほぼレイトン教授が説明してくれるので)、アドベンチャー部分と同じくプラス要素扱いに近いが、まあゲームとしてうまくまとめたなってところ。長さ・深さともにちょうど良い感じだろう。これ以上ストーリーが長くなって謎の数が300とかなるのも困る。

 謎解きパズルとアドベンチャー、2つのジャンルを2つともに深く追求できなかった点はあるとは思うのだが、それでも、この相容れない2つのジャンルを組み合わせて無難に形にしただけでも十分価値のあるゲームだと思う。完全なる発想の勝利というところ。

 クリアまでの時間は謎解きの時間にもよるが、基本7~10時間ほど。どこでもセーブできるので”1日30分だけ”などの短いプレイもしやすく、冒頭にも書いたが構えずにプレイできるDSらしいゲームであることは間違いない。DSだからこそ出来た傑作。