[Data]
ハード:FAMILY COMPUTER
メーカー:ハドソン
発売日:1987.08.07
ジャンル:アクション
実勢価格:250~500円(中古価格)

評価:★★★★

[Review] 2014.01.16

ボンバーキング

 惑星アルタイルの人々は緑の木々に囲まれ、平和な日々を過ごしていた。しかしアルタイル紀元2036年、突如として惑星は荒れ果て、
辺りは赤茶けた荒野と化した。異次元生命体「傷ついた制御コンピューター」が惑星に侵入し、気象コントロールシステムが異常を起こしたのである。異次元生命体を倒し緑の大地を取り戻すため、戦闘用アンドロイド「ナイト」が惑星アルタイルに降り立った…(Wikipediaより引用+加筆)

 ハドソンの人気ゲームシリーズ「ボンバーマン」の続編という位置付けで製作された見下ろし画面の横スクロールアクションゲーム。ファザナドゥ・桃太郎伝説と続いたマル超シリーズの第1弾作品でもある。”超がつくほど難しい”という意味合いで作られたシリーズだそうだが、ファザナドゥと今作はまだしも、桃太郎伝説ってそんなに難しかったっけ?
 メインテーマ曲に歌詞が付いており、ゲームを途中までクリアすることでカラオケモードが解禁されることで有名な作品。未プレイでも「緑の大地は はるかな夢…」との歌詞をどこかで見たことのある方もいるのではないだろうか。

 ボンバーマンの続編ということで、爆弾を置いてブロックを破壊するという基本部分は本家ボンバーマンと同じだが、本家は一定の広さのフィールドを左右スクロールで行き来する形だったものが、今作は右に進むと左には戻れない、右にのみスクロールする形が取られている。ステージごとのフィールドはかなり広く作られており(一部ステージで1画面の場所もあるが)、当時のアクションゲームで考えるとボリュームはなかなか。

 攻撃方法はいつもの爆弾(Bボタン)のほかにAボタンのビーム(攻撃力低)がある。ビームは射程が長く、またアイテムによって射程を伸ばすことも出来る。ビームは無限に出せるが爆弾は所持数があり、敵を倒すか道中のアイテム(スーパーボム)で補充しながら使用することとなる。
 手に入れたアイテムを選択して使う「セレクトアイテム」という要素も原作にはない新要素となっており、画面上の敵を一掃する「フラッシュ」や体力回復「エキストラ」、暗いところを照らす「キャンドル」「ランプ」など10種類のセレクトアイテムが登場。アイテムが多数手に入る地下ステージや、2番目のステージに配置されることの多いブラックステージ(真っ暗なステージ)でほぼ必須のランプ・キャンドル以外のアイテムは使わなくてもクリアは出来るが、うまく使えばボス戦を始めとして、全体的に相当楽に進めるようになる。

 本家ボンバーマンとは上記以外にも数々の違いがあるのだが、ボンバーキングの代名詞となっている、どこででも大体語られるのは「爆弾」。本家では置いてから爆発するまでに3秒以上の時間を使うため、逃げ遅れて爆死するようなことは非常に少ないゲームだった(代わりに範囲の広い爆風に巻き込まれることが多いゲームだった)が、このゲームは置いてから爆発するまでの時間が約1秒と非常に短い。爆弾を置くときにも妙な”クセ”があり、「爆弾を置くと爆弾を置いた場所から1マス後退する」という反動のような動きをするため、この動きに慣れずに爆弾のほうに進んでしまい爆風に巻き込まれるプレーヤーや、短い爆発に焦って爆死するプレーヤーが続出した(ようだ)。

 ゲームスタート当初は爆弾1発で即死なのだが、ゲーム後半になるにつれて(スコアにより)自機の耐久力が上がるので爆弾一撃でも死ななくなる。後半になって敵が強くなったり変わったりするわけでもないため(スピードアップはするが)、後半はステージ自体の難しさはあっても死ぬことは非常に少なくなる…と、序盤の難しさは何だったのかという状況になってしまうこともあって、序盤のとっつきにくさが非常に痛いゲームという印象がある。

 爆弾は敵を倒すことで1つ入手できるほか、スーパーボムのアイテムを取ることで10個増やすことが出来る。最大99個まで持つことが出来るが、後半になるとすぐ足りなくなり、敵を狩りまくって爆弾の数を増やさなければならない事態が多々起こる。
 足りなくなる最大の原因は、ステージ上にある破壊できる壁「マジックブロック」。場所によって2回~5回くらい爆弾を当てると壁を破壊でき、破壊しないと先へ進めないという場面がわんさか出てくるのだが、最初は見てすぐわかるようになっている場所が多いのに対し、後半は普通の壁と完全に同じグラフィックになってしまい、しかもまったくのノーヒント。壁に対して適当に爆弾をばら撒かなければならず、相当数の爆弾を消費する。

 このゲームが難しいと呼ばれる要因のもう一つに「秘宝」の存在がある。ステージのブロック内に隠されており、このアイテムを取ることでループステージのループが解除され先へ進めるようになる。逆に言うと、このアイテムがあるステージでは、秘宝を取らない限りはいつまでも無限にループするということ。これがPERIOD1-1(最初のステージ)からいきなり配置されており、最初はまだわかりやすい場所になるからいいものの、後半になるにつれて非常に場所がわかりにくくなり、同じところを2周くらいしてから「あれ、おかしいな?」となることがよくある。結果、そこらへん中のブロックをちまちま破壊する必要があり、ここでも爆弾を大量消費することに。

 そのほか、地上・地下にはそれぞれアイテムが多数手に入る「ボーナスステージ」があるのだが、真っ暗でランプ・キャンドル必須な上、地上への出口を逃すと無限ループする地下ボーナスステージ(出口は入ってきた縦座標と同じところにあるため、地下ステージスタート地点からまっすぐ右に進めば出口になるが)と、石像を壊してアイテムを入手できるようになっているものの、アイテムの入っていないはずれの石像を壊したとたんに残りのアイテムが入手不可になるというトンデモ仕様の地上ボーナスステージ…と、どちらも突っ込みどころ多数。ブラックステージで役に立つセレクトアイテム「ランプ」や、画面上のブロックを完全破壊する最強アイテム「メガトン爆弾」は地上ボーナスステージでしか手に入らず、特にランプを取り逃したときのブラックステージは悲惨。

 爆弾にさえ慣れてしまえばそう難しくないゲームで、通常ステージは針を飛ばすタンクにさえ気をつければほぼ怖い敵はいないし、各PERIODのボスに至っては、正攻法で挑むとかなりの難しさを誇るが(特にドラゴン)、セレクトアイテムを大量使用することであっさり撃沈できてしまう。アイテムもかなりの数がステージ上にばら撒かれているので、なくなって困るようなこともほとんどないだろう。

 癖はあるが、なかなか楽しいゲーム。ファミコンは今考えるとかなり理不尽な内容や癖のあるゲームが多かったが、そんな中ではまだ納得できる範囲の内容と言える。