[Data]
ハード:PCE SUPER CD-ROM2
メーカー:NECアベニュー
発売日:1994.10.21
ジャンル:アクション
実勢価格:1,000~7,000円(中古価格)

評価:★★

[Review] 2009.04.03

バステッド

 SUPER CD-ROM2ならではのアニメーションとフルボイスを特徴としたアクションゲーム。フィールドが見下ろし視点になっていることからアクションRPGっぽい雰囲気が漂うが、戦闘部分にレベル上げなどの要素がないため、アクションゲームと言ってしまっていいだろう。

 ストゥーリアと呼ばれる大地で賞金稼ぎをする女2人組・ライザとアニタが、”変換のラーム”という秘宝を使ってマリスーンの城を滅ぼし、世界を征服しようとするラルグライムの野望を防ぐための戦いに巻き込まれていく。
 タイトルにもなっている「バステッド」とは、ライザが1年前に拾った伝説の秘宝のひとつ。全部で8つあるらしいが、劇中では残り7つは出てこない。この秘宝自体にすごい力があるという話なのだが、結局この力についても劇中で語られることはない。

 まあ、まずは最大の特徴といえる部分。このハードならではのアニメーションはさすがで、数もやたらと多い。あとPCエンジンならではというか、胸の露出なんぞよくあることくらいの勢いで、ソフトエロ路線を驀進している。まあ、完全な胸露出はサブイベントでの入浴シーンとかだけなので、隠しと考えればまだいいのかなって気もするが、それにしてもPCエンジンって年齢制限適当だったんだなってつくづく思う。

 システムについて。町の画面・ダンジョンの画面は2D見下ろし画面で、完全にRPGの作り。何か買ったりとか泊まったりとかそういったことがないゲームなので、町の存在自体がフラグ立てでしかないのがとても残念だが。IIボタンでダッシュができるので、すいすい移動できるあたりはよい。

 戦闘も2D見下ろし。剣での近接攻撃を行うライザと魔法での遠距離攻撃を行うアニタのどちらかを選んで戦う。右下のパワーゲージが自動でたまってゆき、満タン状態の攻撃が一番威力が高くなる。むしろ満タン以外での攻撃はダメージが少なすぎてほぼ無意味。敵から攻撃を受けるとゲージが一気に0になってしまうため、いかに敵の攻撃を避けつつゲージをためて攻撃するかが肝となっている。
 実際プレイしてみるとあっという間に理解できるシステム。敵は基本弱い。一部ボスを除いてやられることはまずないと言っていいだろう。強いなーと思ったのはミリアムとラスボスくらい。しかもやられたとしても無限にコンティニュー可能なので、飽きさえしなければいつかは倒せる。
 アニタじゃないと攻撃が届かないボスがいたりするなど、全体的にライザよりもアニタを使ったほうが進めやすくなっている気がする。ダメージの優劣はまだしも、主役キャラの攻撃が届かないのはさすがにかわいそうだと個人的には思うが…

 プレイ時間は普通に進めると3時間くらいと非常に短い。国の存亡がかかる大きな戦いのはずなのだが、町がそもそもマリスーンの町しか出てこないし、行ける範囲もとても少ない。ラルグライムも帝国の国王のはずなのだが、帝国軍もそれほど目立たず、親衛隊も序盤からどんどん減ってゆく。
 いろいろとサイドストーリーも考えられているようなんだが、そもそもの秘宝バステッドの扱いが中途半端で結局何なのかわからないままだったり、ストゥーリアについてもほとんど語られないままだったり、とりあえず解決はしたけれどすべてうやむやで終わるみたいな感じ。

 これだとサービスカットのためにあるゲームと言われても仕方ない内容だと思う。誰でもシステムが理解できるわかりやすいゲームとも言えなくはないが、いくらなんでも簡略化しすぎかなと。PCエンジンらしいビジュアル重視ゲーム、そのへんに価値を求める方にのみお勧め。