[Data]
ハード:Playstation
メーカー:エニックス/メトロ/フレイムグラフィックス
発売日:1998.01.29
ジャンル:リズムアクション
実勢価格:100~300円(中古価格)

評価:★★★★

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[Review] 2012.12.20

BUST A MOVE -Dance&Rhythm Action-

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 エニックス初の対戦型リズムアクションゲーム。開発はアーケード版の初代アイドルマスターなどで知られるメトロ。キャラクターおよびステージデザインはフレイムグラフィックス(田中秀幸氏)が担当、独自の世界を作り上げている。エイベックスが音楽を担当しているのも当時話題となった。

 「ダンスのかっこ良さをタイマン勝負で競う」というのが基本ルール。1小節4拍子が基本リズムとなり、4拍のリズムのうち、最初の3拍分は十字キーによるコマンド入力、4拍目にタイミング良く○か×を押すことでまず1つのダンスが成立。これを連続で成功させることで長いダンスを作り上げ、スコアを稼ぐ(注目を集める)。ダンスを成功させると、画面下部ノリノリゲージ(テンションみたいなもの)が上昇し、難しいダンスが踊れるようになる(コマンドも難しくなる)。注目が集まるとカメラアングルがどんどん片方に寄って行き、曲終了の時点で注目が集まっているプレイヤーが勝利。
 曲の途中にはそれぞれのキャラクターのみにカメラが当たる「ソロパート」があり、ソロパートではノリノリゲージが上昇しやすい。ここで失敗しないことが勝利への近道となってくる。
 4拍目に△で発動する「ジャマー」という要素も。ジャマーが決まると相手を転ばせることが出来、ダンスを途中で遮ることが出来るほか、テンションも下げることが出来るというもの。ジャマーを仕掛けられた小節時の4拍目に□を押すことで回避も出来る。

 いろいろルールがあるように見えるが、とにかく3拍までにコマンドを入力して4拍でボタンを押す、これを失敗しなければいいだけ。たまにジャマーを避けたりこちらから仕掛けたりすればいいくらいなので、4拍のリズム感さえあればルールはすぐ覚えられる。ビートマニアも登場して音ゲーがちょっと手の届きにくいラインに進んでいた頃なので、この単純明快な仕組みは良かった。
 どちらが勝っているのかという判断基準をスコアやゲージなどにせず、カメラアングルにしたのも仕掛けとして面白い。勝っているほうに画面全体で寄って行くのだから、プレイに集中していても現状がすぐに理解できる。
 田中秀幸氏のデザインしたキャラクターがまたいい味を出していたし、キャラクターごとのステージBGMもキャラクターに合ったものが用意されていた。ショーティーの「笑ってポン」のようにちょっと抜けた感じの歌があるかと思えば、KITTY-N「青空のKnife」のようなキャッチーなダンスポップ・ヒロくん「THE NATURAL PLAYBOY」のようなベタなディスコソングもあったりと、バラエティに富んでいる。

 難点も挙げていくと、全キャラの基本コマンドが同じなのでさっさと覚えてしまうということ、コマンドをどこまで押したかがわからないこと、ジャマーの位置付けが中途半端なこと。コマンドについては、ソロパートのほうに専用コマンドが用意されているが、それが出来るなら各キャラの基本部分も変えられただろうと。あと、どこまで押したかくらいは暗くしたりで表示できるようにしてほしかった。
 ジャマーについては、出すのも簡単なら避けるのも簡単なので、闇雲に出しているだけではほぼ無意味。ソロパート直前での攻防が若干面白くはあるものの、逆を言えばそこ以外にジャマーの有効な使いどころがない。

 デザインをはじめとした全体の空気感・単純明快でわかりやすいルール。とっつきやすさが最大の武器で誰にでもプレイしやすい作品だが、反面ゲームとしての奥深さや対戦ツールとしての面白さはそれなりと言ったところ。発売当初から評判はかなり良いが、内容がどうこうと言うよりは雰囲気の良さで押し切った(得をした?)作品かなと。うまく作ったとも言えるが。

 完全に余談だが、発売当時のゲームショップ試遊台にはほぼこのゲームがあったのをよく覚えている。自分もその試遊台でこのゲームを初プレイしてソフト購入に繋がったのだが、ネットのほぼない時代はこの試遊台の存在がとても重要だったなあと思う。