[Data]
ハード:Playstation
メーカー:プリズムアーツ
発売日:1996.05.24
ジャンル:スポーツ・レース
実勢価格:100~300円(中古価格)

評価:

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[Review] 2010.02.25

サーキットビート

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 ラリー・デ・アフリカなど3本のレースゲームを発売したメーカー・プリズムアーツの家庭用ゲーム参入第1弾作品。メーカーサイト見に行ったんだが、そもそもプリズムという親会社が何の会社なんだかよくわからなかった。まあそれはさておき。

 特にどういうレースゲームというジャンルは見出せないのだが、当時としてはベーシックなリッジレーサー的なレースゲームと言うべきなんだろうか。車種は5種類・コースは初級・中級・上級のような(ゲーム中に難易度は書いてないがこんな感じ)3種類。
 車種とコースの少なさは時期を考えても結構ひどい。これが94年95年発売ですってことであればわからなくもないが、96年と言えばほぼメジャーなレースゲームが出切ったくらいの世代。大手メーカーに及ばないのはわかってるが、それにしても周回遅れすぎじゃないのかと思う。

 グラフィックが全般的に初期リッジレーサーに近い雰囲気なのもポイントとして上げておきたいのだが、コースの色使い・海が臨める部分・トンネル内などいろいろとそっくり。だが、残念ながらグラフィックそのものが1年半前には世に出ている初代リッジに追いついていない。

 あと車のデザインの凄さ(ひどさ)はある意味必見。

 コースに関しては全体的に狭くて敵車を抜き難い・壁や敵車などの障害にぶつかっても減速が極端に少ないのでぶつかったままスライド状態で前進できる・縁石上で減速かけただけでものすごいスリップする・壁にぶつかった際の視点があまりにも見難いなど、作り手側の完全な技術不足を露呈するようなマイナス面が多い。車の挙動に関してもお世辞にもいいとは言えない。

 オリジナルのシステムとしては、「メモリ対戦」というのがある。

 これは、自分のプレイした走行データをメモリーカードに保存し、その内容を敵車のCPUと置き換えて対戦が出来るという画期的な?システム。似たような機能として、これはいろんなレースゲームで採用されている「ゴースト対戦」があるが、あくまでゴーストのため接触があるわけではなく、あくまでタイムアタックの指標や個人のレベルアップの指標として存在するものだった。

 だがこのメモリ対戦機能の場合、あくまで保存したプレイヤーの走りが敵車の動きに置き換わるだけでゴーストが走るわけではないため、普通に邪魔もされるし順位もきちんと決まる、完全なる擬似対戦が楽しめるという寸法だ。走りは4台分まで読み出せるため、自分の走りを4台分読み出して、”自分の過去の走り4台に挑む自分”なんてことも可能。

 自分と対決するよりも、「マルチタップがなくても最大5人対戦が出来る(擬似的な対戦)」というのが本筋かとは思うのだが、擬似5人対戦をしようと思った場合、それぞれのプレイヤーが一人ずつ走ってプレイデータを保存し(最低でも4回)、それを合わせて対戦しなくてはならない。リアルタイムで対戦するのとはまた違った楽しみもあるとは思うんだが、そこに至るまでの過程がさすがに長すぎた。

 このころのレースゲームはまだシミュレーター云々という世界ではなく、まだゲームとしての要素が色濃かった時代。グラフィックが実車張りというのはもとから求められてはいない時代だったわけで、グラフィックがもし大手に追いつかないのであれば、それ以外の部分で面白く出来る可能性は十分あったのではないか?何かいろいろと残念なゲームだった。

 あ、最後に。音楽のすさまじいMIDIっぽさにも触れておきたい。これは別に悪い点ばかりではないだろうが。