[Data]
ハード:Playstation
メーカー:スパイク/Codemasters
発売日:1999.03.11
ジャンル:レース
実勢価格:150~400円(中古価格)

評価:★★★★

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[Review] 2012.12.18

コリン・マクレー ザ・ラリー

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 1999年当時、WRCで活躍し大きな人気があったラリードライバー、コリン・マクレーが監修したラリーレースゲーム。ラリーをよく知らない自分でも名前をとりあえず聞いたことはあるくらいだからよっぽど有名な人物だったと思われるのだが、2007年に自家用ヘリ墜落という不慮の事故によりわずか39歳の若さで死去。ラリー界ではF1の伝説的レーサー、アイルトン・セナに匹敵するとまで言われたとか。
 製作はイギリスのコードマスターズ社で、このコリン・マクレーシリーズのほかにもTOCA ツーリングカーシリーズ、2009年以降のF1シリーズなどを手がけており、レースゲームに強みを見せている。

 ラリーゲームとしてのシミュレーターに特化した作りなのが最大の特徴と言える。今までのラリー系ゲームは”複数台の車のタイムを同時に競う”という一般的なレースゲームと変わらない方式だったが、このゲームではライバル車は同時に走ることがなく、自分ひとりだけがコースを走行し、先に走り終わったライバル車とコースの合計タイムを競うという形となっている。敵車にぶつかることもないし邪魔されることもない、純粋なタイムアタック勝負ということになる(実際のラリーはタイムアタックではなく、チェックポイントごとに決められた通過時間に近づくように走るらしいが)。

 まず、さすがなのはグラフィック。もちろん1999年という発売年度は考慮しなければならない(最後期にあたるため)だろうが、それを差し引いたとしてもPSのレースゲームでは間違いなくトップクラス。走行中の砂ぼこりから始まり、レース中の汚れもしっかり再現。汚れを再現するだけならグランツーリスモで既になされていたが、このゲームではライト部分が壊れるとライトがつかなくなったり、側面にぶつかるとガラスが割れたりするなど、さらに一歩踏み込んだ作りになっている。
 サウンド面については、BGM自体が少ない(レース中はBGMなし)が、それ以外のSE関連は素晴らしい出来。エンジン音や排気音は正直細かくはわからないのだが、臨場感もありかなりの精度と思われる。ほかには、小石が車体に当たるパチパチパチ…という音や、木やコース外の障害物にぶつかったときのガラスが割れる音まで再現するというこだわりぶり。
 レース中、助手席に座り指示をくれるナビゲーター「コ・ドライバー」の声は、コリン・マクレーのコ・ドライバーを実際に務めたニッキー・グリストを起用するなど、こちらかなりのこだわりを見せている。

 ゲームメニューは4つ。メインとなる「CHAMPIONSHIP」は世界8ヶ国(ニュージーランド・ギリシャ・モナコ・オーストラリア・スウェーデン・フランス・インドネシア・イギリス)の計52コースを回り、各国で順位ごとに与えられるポイントでチャンピオンを競うというもの。F1のポイント制をイメージするとわかりやすいか。
 ほかには、国を1つ選んで国内全コースを走り競う「RALLY」モード・コースとチェックポイントを選択してチェックポイントごとのタイムを競う「TIME TRIAL」モード・挙動や操作方法を学べる「RALLY SCHOOL」モードがある。

 ラリーゲームとして当たり前のことだとは思うが、挙動は普通のレースゲームとはまったく別物。普通のゲームのようなブレーキングをしているとあっという間にコースアウトするので、加速・減速は他のゲーム以上に慎重に行う必要がある。視界がさほど良くないステージも多く(高低差による部分・夜や天候による視界不良)、コ・ドライバーの指示やナビゲーションアロー(画面上に表示される次のカーブを示す矢印)を最大限に生かさないと、スムーズな走りは難しい。理不尽に復帰できないなどの変な難しさではないため、プレイしていけば十分慣れていけるが、敷居はちょっと高い。

 PS海外ゲーの宿命かもしれないが、ロード時間の長さはちょっと気になるところ。ゲームスタート時やモード選択後など、必要とする場面も多くて、特にコーススタート時のロードは20秒以上と時間も取られる。クオリティの高さである程度相殺は出来ているが、もう少し短く出来なかったのかとも思う。
 もうひとつ、CHAMPIONSHIPモード中は2ステージごとにセッティング画面に入り、60分という持ち時間内で消耗した部分の修理やタイヤの変更などのセッティングを行える。コースの天候を見てタイヤを変えたりとさまざまなことが出来るのだが、困ったことに説明文が全英語になっているため、それなりに英語がわかるくらいじゃないと内容がわからない。ちなみに、コ・ドライバーの声ももちろん英語。こちらはナビゲーションアローである程度カバーは出来るが。
 路面によってのセッティングがかなり重要なゲームだが、タイヤ以外の部分をどう変えたらいいのか、ある程度この手の知識がないことにはさっぱりわからないというのも痛い。せめて説明文だけでも日本語で出てきてくれれば。

 難点はそれぞれ痛い部分だが、基本のレース部分に関して言えば、ラリー系に限らず初代PSのレースゲーム全体でも屈指の完成度の高さ。レースゲーム好きなら少なくとも損はしない出来と言える。まずはセッティングを抜きにして、普通に遊んでほしい。それでも十分楽しめるはずなので。