[Data]
ハード:Playstation
メーカー:SCE/ノーティドッグ
発売日:1996.12.06
ジャンル:3Dアクション
実勢価格:200~400円(中古価格)

評価:★★★

[Review] 2014.11.03

クラッシュ・バンディクー

 バンディクートの主人公クラッシュが、島の動物を凶暴化させ世界征服をたくらむ科学者ネオ・コルテックスの野望を阻止するため、そしてさらわれた恋人タウナを救うために冒険する、3Dアクションゲーム。
 「宇宙初の奥スクロールアクションゲーム」という触れ込みとSCEお得意の大プロモーションで話題となった、クラッシュ・バンディクーシリーズの第1弾。一時期はムームー星人(ジャンピングフラッシュ!シリーズ)に代わってSCEのマスコットキャラに近いレベルまで露出し、パラッパなどとCMで共演するなど人気を博した。
 自社発売ソフトのプロモーションにかけては他社の数歩先を行っていたSCEだけに、このゲームもテレビCMなどでの知名度は相当高かったと思われる。CMソングとコミカルな踊りを覚えている方も多いだろうが、日本オリジナルで考案されたものだそう。開発は初期のクラッシュシリーズや最近では「アンチャーテッド」などで知られるアメリカのノーティドッグ社。

 アクション部分はもちろんいろいろと新しい部分があるものの、リンゴを100個集めると1UPになったり、踏んだり下から頭突きしたりすると10個のリンゴが出てくる10コインブロックみたいな箱があったりと、基本的にスーパーマリオシリーズの影響を色濃く感じさせる内容となっている。最近のゲームではなかなかなくなってしまったが、基本的に当たったり落ちたりすると一撃死。アクアクという仮面(に乗り移った精霊が正しいが)を取ると最大2回身代わりになってくれるほか、3つ取ると一定時間無敵に。これもマリオのスターみたいなもの。

 奥スクロールに限らず、場所によっては横スクロールがあったり、奥から転がってくる岩から逃げる(手前にスクロールする)ステージがあったりとバリエーションは多く、次世代機PSだからこそできたフルポリゴンを存分に生かしたゲーム内容となった。ステージ数はボスステージと合わせて計32で、正直なところ多いとは言えない数。1ステージにかかる時間は長くて15分ほど、総じて4~5時間あればクリアまではたどりつけそうなボリュームだ。
 この手のアクションゲームによくある収集要素については、各ステージにある箱をすべて破壊することでもらえる「ダイヤ」がある。ボスステージ以外の26ステージに存在し、すべて揃えると裏エンディングに進むことができる。

 奥スクロール自体当時目新しかったことは間違いないのだが、ステージギミックをいろいろ詰め込みすぎたのか序盤から結構な難易度の高さで、大衆向けアクションと言うにはちょっと厳しい。
 序盤から足場が特にシビアで、足場が狭い・足場の判定感覚や距離感がつかみにくい・クラッシュの動きに微妙な慣性がある・足場を渡って進むところは落ちるとほとんど一撃死と、完全に殺しにかかってきている。ザコ敵も、一部に登場する原住民は正面から当たるとクラッシュを遠くに弾き飛ばすという厄介な攻撃を持ち、それも大体狭い足場に出現する。
 せめて釣り橋ステージなどでクラッシュの影が見える状態であればまだ感覚がつかみやすくなるが、神殿や暗闇のステージになると足場以外がほぼ真っ暗なために影も見えず、高さが動く足場まで多数登場。場所場所で若干アングルやズームが変わるのもまた厄介で、掴んだはずの感覚で飛び込んだら死ぬ、ということが頻繁に起こる。
 身代わりになってくれるアクアクもトラップなどには確かに有用なのだが、身代わりになってくれた瞬間クラッシュがジャンプするという謎の動きが挟まり、狭い足場だと トラップに当たる→アクアク身代わり→クラッシュ飛び跳ねる→落ちる というコンボになったりも。
 ある程度の長さのステージにはチェックポイントがいくつも存在するので、死んでもチェックポイントからやり直しは可能。まさに死んで覚えろを地で行く作品だ。

 ダイヤ集めに関してはステージ上の箱をすべて壊すことが条件だが、困ったことに「チェックポイントで復活した場合、チェックポイント到達前に壊した箱はノーカウントになる」という意味不明の仕様となっており、ダイヤを手に入れるためには実質ノーミスでのクリアを強いられる。長いステージの後半で足場を踏み外した時の落胆と言ったら。

 おそらく制作側も難しいことはわかっていたんだろうが、それに対する対策が「1UPを大量に置く」というのはひどい。序盤からステージに必ず1つ以上は1UP箱が配置され、リンゴもどんどん取れるので残機がどんどん増えていく。この大量に増えた残機を一部の難しいステージで放出していく感じ。

 セーブの仕様も謎で、セーブできるのが「ダイヤを手に入れたとき」「ステージ内にある3枚のタウナプレートを集めて進めるボーナスチャレンジをクリアしたとき」「同じく一部ステージにあるコルテックスプレートを集めて進めるボーナスチャレンジをクリアしたとき」の3つのみ。タウナプレートのチャレンジに関しては、チャレンジステージをクリアできないとセーブ画面にならず、しかも再チャレンジ不可。コルテックスプレートはそもそも2ステージにしかなく、手に入るのも中盤以降。ダイヤは先に書いたとおりノーミスステージクリアが大前提。
 つまり、プレイヤーの腕によっては「セーブできるところまで進めない」ことも十分考えられるというわけ。せめてボス戦終了後にはセーブできるようになっていれば…
 セーブからの再開時にも、残機がセーブされないという仕様でいくら増やしても再開時には5に戻る。

 知名度・キャラクターのイメージの割にゲーム内容がかなりハード。通常エンディングを迎えるだけ(ダイヤ集めを考えずにクリアするだけ)で考えればある程度ごり押しできると言えるが、ダイヤ集めについては辛いの一言。初期PS時代のグラフィックと微妙な足場判定・ダイヤ集めに納得できるプレイヤーなら。