[Data]
ハード:Playstation
メーカー:スクウェア(AQUES)/NOW PRODUCTION
発売日:1997.06.20
ジャンル:スポーツ・野球
実勢価格:200~500円(中古価格)

評価:★★★

 

[Review] 2009.02.06

デジカルリーグ

 PSに参入してからのスクウェアは、いきなり格ゲーから参入してみたり(TOBAL No.1)、コンビニ販売の会社デジキューブ作ってみたり、SFC時代とは違った戦略というのを取っていた。結局成功したとは言いがたいんだけど。
 そんなスクウェアはPSに参入してすぐくらいにサブブランドというのを作って、従来のRPG主体の製作方針からの脱却を図ったことがある。それが今回のデジカルリーグなどで採用していた「AQUES(アクエス)」というやつで、スポーツゲームやテーブルゲーム専門ブランドとして数本のソフトを発売した。
 ただ、気付いたらなくなっていたくらいにして、いつまであったのか不明。Wikipediaで発売ソフト一覧を見た限りでは、おそらく1998年4月の「パワーステークス2」が最後の作品だろう。その後スクウェア本体はしばらくRPGだらけのラインアップに戻ったので、成功しないとあっさり悟ったのかもしれない。
 で。このゲームはスクウェア史上初の野球ゲーム・スポーツゲームとなった作品。とは言え製作はNOW PRODUCTION(元々野球ゲームの開発を得意としていたらしい)なので、スクウェアが作ったというのは語弊があるかもしれないが。

 1996年のデータが採用されており、オープニングのムービーはオリックスが96年にパ・リーグ優勝したときの再現(イチローがレフトへサヨナラタイムリーを打ったときのもの)になっていたりする。当たり前だが、全体的にオリックスと巨人(同年セ・リーグ優勝)は強めに設定されていた気がする。

 投球・打撃画面はパワプロ式というか、このころ既に一般的になっていた捕手視点で特徴はそれほどない。キャラはかなりカクカクしていて、スクウェアキャラっぽいつんつん頭になっている。動き自体はかなりいいが、フォームなどが似ているわけではない。

 他のゲームにない特徴となっていたのは、カメラがボールを追いかけていく独特の視点。投球・打撃画面から打ってから先の守備画面まで、画面の切り替えが一切ないという珍しい視点になっていた。従来のスタジアムを真上から見下ろす視点に慣れているとかなり戸惑うが、これが慣れるとなかなか面白い。外野に飛んだときに視点が引き気味になるので、前後(手前/奥)がわかりにくくなるのは難点だったが。

 投球・打撃システムは「2×3Dシステムと呼ばれる独自のものを採用。横は自由に動かせるが縦は2ラインのみ(投げられないがさらに低めの3ライン目もある)となっており、かなり簡単にバットに当てられるようになっている。打撃は長打スイングと巧打スイングの2種類。
 長打と巧打をタイミングで分類していてその差が顕著なため、巧打はあまりに打ちやすく、長打は逆にあまりに打ちにくい、とこのあたりはバランス調整を思い切りすぎた感も。十字キーとの組み合わせで内角&外角打ちも可能だが、これまた極端すぎて微妙なボールに対処できない。

 CPU戦に関して言うと、流れの要素らしきものがあるようで立て続けに打たれたりすることがあるため、全体的には総じて打撃戦になりがち。ただ、カーブ・シンカー(スクリュー)が一定の曲がり以上のピッチャーは外角低めに投げてるだけで抑えられてしまう。オリの星野やヤクルトの高津あたりがいい例で、CPUが手も出せないような状況になる。
 逆に対人戦では投手戦になりがち。それもこれも、投球は左右フレキシブルに投げられるのに打撃は極端な位置取りになっているということがやはり大きく、投打のバランスがもうちょっと取れていれば名作になったかもしれない。

 応援歌がホームとビジターできちんと左右に分かれて聞こえてきたりするのが意外とこだわってるなと。あと、ウグイス嬢には声優の久川綾さんを起用。あんまりそれっぽく聞こえないんだけどなぁ。ちなみにGS神戸で流れる男性DJの声は古田信幸氏だそうだ。

 ゲームモードがオープン戦とペナントレースしかなくボリュームは不足気味だったりといろいろ惜しいところはあるが、視点を含めたオリジナリティとグラフィックの部分で評価できるところも多いゲーム。データが古いのもあり、持ってない人が今手に入れるゲームではないと思うのだが…田口・大島・イチロー・ニールと続くオリックス黄金時代の打線を体感したい方に。