[Data]
ハード:Playstation
メーカー:エレクトロニック・アーツ
発売日:1998.05.14
ジャンル:スポーツ・サッカー
実勢価格:100~300円(中古価格)
推定売上本数:約45万本

評価:★★★☆

 

fifa98

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[Review] 2012.01.19

FIFA Road to WORLDCUP 98

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 1998年と言えば、日本が念願のワールドカップ初出場を果たした記念すべき1年だが、Jリーグがスタートして5年になり、国内サッカーはすでに固定の人気があったところに、ようやく海外サッカーにも陽の目が当てられてきたのはこの年からになるだろう。
 EA SPORTSブランドとしてはおそらく現状最も有名であろう、FIFAシリーズのPS第2作となる今作品だが、日本人が海外サッカーに親しみがなかった97年以前は海外サッカーゲームに関する認知度ももちろん高くなく、FIFAシリーズの知名度もほとんどなかったと思われる。

 売上で見てもはっきりわかるのだが、前年97年に出た第1作「FIFAサッカー'97」は推定販売わずか1万本。今作は45万本強と大ヒット作となり、日本でのFIFAシリーズの人気・知名度を確固たるものにしたタイトルだと言える。ちなみに次回作'99も日本代表補正がないタイトルにもかかわらず8万本を超える売上を叩き出しており、出来の良し悪しではなく、単純に関心がなかったことがはっきり見て取れる。

 W杯開催時にはそれに乗じたサッカーゲームが出てくるのはいつものことだが、PSがちょうど全盛期に入っている98年は、この年だけで海外サッカーゲームが11本も出ており、大御所コナミ・EAに加えてセガやヒューマンなども参戦した群雄割拠の年となった。
 ちなみに2002年日韓W杯の際には、サッカーゲームと言えばコナミかEAかという状況になりつつあり(合併前のスクウェアやエニックスが細々出しているが)、98年のような状況にはなっていない。

 前置きが長くなったが、今作「FIFA'98」はそんな多数出たW杯サッカーゲームの先陣を切って、W杯開幕1ヶ月前に投入されたタイトルとなる。

 FIFA公認として、各国選手を実名で登場させ(すべてかどうかはわからないが、少なくとも主要国は実名で登場)、しかもその数がものすごい。まずナショナルチームだけで170カ国以上が登場。ちなみにウイイレはこのときまだ40カ国で、日本以外実名でもなかったので(ネームエディット機能はあったが)、ここはさすが長年公認ゲームを作っているだけはあるなというところ。
 もうひとつ、各国のリーグに所属するクラブチームも使えるのだが、こちらも11カ国の175クラブを使用可能。イングランドやスペイン・フランスなどの著名な欧州リーグはもちろん、マレーシアリーグまであるという充実ぶり。需要があったのかどうか定かでないが…

 アクション部分は、○でシュート・×がサーチパス・□でサーチでのロングボール・△でダッシュという基本操作。スルーパスがなく、ロングボールもサーチでしか出せないのがちょっともどかしい。シュートもほぼゴール枠内に飛んでいく正確さで、キーパーもペナルティエリア外からであればほぼキャッチするという超反応でそれに応えてくれる。この辺はウイイレよりも劣るかなという部分。その代わりウイイレよりも間違いなく簡単なので、このへんはプレイヤースキルで判断してもいいのではないかと思う。
 キーパーが超反応なおかげで、ペナルティエリア内にいかに侵入できるかが重要なバランスとなっていて、このへんはどう崩すかを考えることが出来て面白い。

 実況は小谷泰介氏・解説を金田喜稔氏が担当。この当時から考えれば、選手の名前は言うしバリエーションもかなり多い。まあ、ちょっと辛辣というか、ダメなプレー、ダメなチームにはぼろくそ言うあたりが他のゲームとは一線を画しているところかもしれない。
 あと、大量得点の試合を優遇するようなコメントが多い印象。0-0のドローだと「見ているほうも疲れる試合でした」とか、逆に大量得点になると「こんなエキサイティングな試合を待っていた!」といった具合。

 ゲームモードについては、1試合対戦の「フレンドリーマッチ」・11の各国リーグ戦を戦い抜く「リーグ」・あと「トレーニング」「PK戦」と続き、選手の移籍や能力値変更が出来る「チームエディット」もある。
 チームエディットは、まずクラブチーム同士の選手移動が可能な「トレード」がある。クラブチーム自体の資金力と選手の移籍金が定まっており、資金力に収まらないと移籍できない。本格的な仕様ではあるが、なにぶん登場するチームがあまりに多すぎて選ぶのに苦労するので、使うことはそうそうないだろうと思われる。
 もうひとつはナショナルチーム・クラブチームともに名前や容姿・能力値の変更が出来る「選手エディット」。こちらはチームごとに上限能力値が決まっているので、選手間の調整のみが可能。あとは登場全チームのユニフォーム変更も出来る。

 「Road to WORLD CUP 98」モードは、1国を選んで予選ラウンドからW杯本戦までを戦うモード。他国の試合結果まで全てをシミュレートするこちらも本格派。EAはこのへんのシミュレートを得意としているように思うが、シミュレート自体にかなりの待ち時間を要するのが難点。

 EAは昔から言えることだが、メニュー画面周りの使いにくさだけはどうにも改善されず、今作でもこのあたりはまったく収拾がついていない。今作では決定ボタンが○なのか△なのかをはっきりして欲しいのが一番で、場面場面でどちらが決定ボタンなのかが変わるという不親切さ。画面下にはセーブ・ロードなどのアイコンメニューがあるが、アイコンだけではよくわからないというのと、わざわざ□で切り替えないとメニューにたどり着かないのも微妙。
 チームマネジメント(スタメン・フォーメーション変更など)あたりも普通のゲームであれば頻繁に使うところだと思うが、出来ることの豊富さに対して決定ボタンの不親切さと画面の見にくさが勝り、使う気を失くしてしまう。
 先に紹介したエディットも同じく、出来ることが非常に多いのにメニュー周りが不親切で、結局ここでやる気を削がれるという残念な展開となってしまう。初心者にもプレイしやすく、マニアックなプレイヤーにも対応できる幅広さを持つだけに、このユーザビリティをもっと考えていればなあと。

 個人的にはシミュレーションとしてCPUvsCPUをやらせるのが凄く楽しかったんだけども、こういったさまざまな楽しみ方が出来るのはこのゲームならでは。いまさらプレイするようなものでもないとは思うが、当時の最高峰に近い内容は一見の価値あり。
 オープニングのムービーやメニュー画面で流れる曲が印象的ですごく頭に入ってくるのだが、ブラーというアーティストの曲だとのこと。選曲にセンスを感じます。