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ハード:Playstation
メーカー:タイトー/ポリゴンマジック
発売日:1997.04.25
ジャンル:格闘アクション・3D
実勢価格:100~200円(中古価格)

評価:★★☆

ファイターズインパクト

 タイトー発売・ポリゴンマジック製作、アーケードで登場した3D格闘アクションのPS移植タイトル。ポリゴンマジックは現在でも家庭用ゲーム・ソーシャルゲームなどを開発する著名な開発会社だが、そのポリゴンマジックのデビュー作と言えるタイトルでもある。キャラクターデザインおよびイラストを手がけたのは新貝田鉄也郎氏。

 軸移動ありのごくごく一般的な3D格闘アクションに見えるが、オリジナル要素もさまざま打ち出した非常に実験的な作品となっている。

 まず特徴的なのは、キャラクター選択後に選べる「流派選択」。キャラクターは初期8人・隠しキャラ入れると全12人になるが、初期の8人にはそれぞれ3種類のファイティングスタイルが用意されており、最初に一つを選択する形となる。メインとなるスタイルが1つあり、2つのサブスタイルも使える…というのが基本で、主人公の鴉羽士郎はメインスタイルが”劈掛拳"で、サブスタイルが”ストリートファイト””空手”の2つ。ヒロインの源楓はメインスタイルが"大東流合気柔術"で、サブスタイルが"テコンドー"と"劈掛拳"…といった具合。
 同じファイティングスタイルでは、キャラが違ってもモーションが似ている(当たり前だが)なので、8×3=24種類あります!というのはさすがに無理があるが、1人のキャラでも違った戦い方が出来るという点では面白い。

 次に、このゲームならではの「モーションスライドコンボ」。技をタイミングよく連続入力することで、どんどんコンボを繋いでいけるというもの。コンボ内で同じ技を2回以上入れるとその時点でコンボが途切れ、一定時間技が出せない「ヒート」状態となる。ヒート状態のときはガードは出来るものの、ヒートのときに転ばされると起き上がりにふらつきが発生する(このときはガード不可)。
 このコンボ内で2回以上同じ技を使わないというのがかなり厳しく、最初はヒートしまくりで試合展開が止まることが大半だと思う。意識してコンボを続けるのはなかなか大変ではないだろうか。

 誰でもいいので1回クリアすると、「COMBO DE MAMBO」モードが解禁される。オリジナルのコンボを作れるモードのようなのだが、インターフェースが簡略すぎてなんだかよくわからないモードになっている。トレーニングモードがないので実質このモードがトレーニングモードも兼務しているような感じだが、このあたりは不親切感が否めない。
 2回クリアすると、OPTIONのGAME MODEに「NO HEAT MODE」が追加され、これをONにすると文字通りヒートしなくなる。つまり、モーションスライドコンボ中に同じ技を入れたとしてもコンボが途切れなくなるのだ。対人戦でもこれはなかなかに楽しい。当たるかどうかはまったく別問題にはなってしまうが。

 □ボタン(PS初期配置)に割り当てられたシフトボタンを使った軸移動やショートジャンプ攻撃(下段攻撃をかわしながら攻撃できる)・さらには相手の攻撃に合わせた軸ずらしや背面取りなど、3Dらしい要素も取り入れて、なかなか奥深い内容に作り上げている。

 対CPU戦に関してだけで言うと、難易度選択に関係なくガードが堅すぎ。4人目以降くらいになると上下段に振ってもまず当たらず、ちょっとの隙を突いて投げられるという状態。逆に投げ耐性はそれほどないのか、ちょっと固めて近づいて投げるとすぐ決まるという有様で、CPU戦は正直言って面白くない。
 先に書いた通りこのゲームにはトレーニングモードが存在しないが、これだけのオリジナル要素を詰め込んだゲームにこそトレーニングモードを用意すべきだった。慣れる前にCPUの超ガードを体感しなきゃならないというあたりで、このゲームの取っ掛かりを相当悪くしたと感じる。100歩譲って、スタート(一時停止時)の技表くらいは用意してくれても良かったのでは。

 グラフィック水準については、モーションキャプチャーで動く60fpsのキャラクターはなかなか機敏な動き。キーレスポンスも良い。ちょっとポリゴン臭さが出すぎて、一見しただけだと綺麗には見えないというのが残念なところか。 音楽部分はあまり目立たず。ZUNTATAなんだけどねえ。

 意欲作、ただ家庭用としては?という感じ。ストイックな対戦ツールとしては面白いんだけど。