[Data]
ハード:Playstation
メーカー:スクウェア
発売日:1997.01.31
ジャンル:RPG
実勢価格:700~900円(中古価格)

評価:★★★★☆

[Review] 2020.05.09

ファイナルファンタジーVII

●プロローグ
 それは、星の命運をかけた戦い。

 巨大企業・神羅が支配する魔晄都市で、反乱グループの手により壱番魔晄炉が爆破された。
 そのグループの名はアバランチ。星の生命・魔晄エネルギーを吸い取り、自然を破壊する神羅に対抗するため、秘密裏に結成された集団だ。過去、ソルジャーとして神羅で活躍したクラウドも、今回の爆破作戦に加わっていた。
 あまりにも強大な敵・神羅に対し、はたしてクラウドたちは、滅びゆく星の生命を救うことが出来るのか!?

●概要
 スクウェア(現スクウェア・エニックス)の人気RPG「ファイナルファンタジー」シリーズの7作目。7作目にして初めて任天堂以外のハードから発売されたFFシリーズ作品であり、当時覇権を争っていたセガサターンとのハード次世代機戦争勝利の立役者と言われた作品。
 深夜を中心に大々的に流された長編CM(→Youtube)や前年発売の「TOBAL No.1」に体験版を付属させるなど徹底的なプロモーションでも大きな話題を呼び、PS初の売上300万本突破タイトルになった。
 2020年4月にはPS4で「FINAL FANTASY VII REMAKE」としてリメイク版が発売された。

 当時、確か深夜放送のCDTVのあたりで見たんだったと思うけど、FFVII、始動。のこのCMのインパクトは凄まじく大きくて、これだけワクワクさせてくれたCMは思い返しても他に思いつかない。もちろん当時の補正がかかっていることは間違いないんだけども。

 リメイク出たし、この機に再プレイしてみよう…というのが今回プレイのきっかけ。そういう人、他にもたくさんいると思う。発売日入手してクリアして以来なのでおそらく23年ぶりの通しプレイになったはずだが、思った以上に途中途中を覚えてなくてビックリ。やっぱり定期的にプレイしてないとだめだな、と実感しました。

●世界観・ストーリー
 中世ファンタジー世界を長らく続けてきたFFシリーズだが、6で魔導エネルギーを使った”機械文明”の要素が強くなり、この7は「魔晄エネルギー」による機械・科学文明がさらに進む世界観となった。シリーズで初めてクリスタルが最初から最後まで一度も登場しない作品でもあり、その代わりのエネルギー結晶として「マテリア」が今作ではゲーム中の重要な要素となった。
 当たり前の要素が謎に変わって行きそれが後半に向けて次々と明かされてゆく、今見ても秀逸なストーリー展開だなあと思う。この流れ、よくよく考えてみると次の「VIII」も似たような展開になっていたような気がするが、ストーリーについてはVII・VIIIがシリーズ通してみても至高ではないか、と今でも思っている。

 あと、まだこのころのFFシリーズはおちゃらけた要素というか、フフっと笑わせてくれるようなセリフや場面がそこかしこに散りばめられていて、そういう部分も面白さの一つになっていたような気がする。世界観にそぐわないのも確かなんだろうけど、グラフィックが美麗になったXあたりから影を潜めてしまった印象。

●戦闘・マテリアシステム
 マテリア装着による魔法や特殊技の変化を除けば、比較的オーソドックスなATB(アクティブタイムバトル)採用の戦闘システムで、そこまで難しいものはなくすぐに慣れることが出来る。
 属性などを気にせずとも回復さえ整っていればほぼほぼ押し切れてしまうので、全体的に見るとかなり簡単な部類。あと序盤から手に入れることが可能な青魔法が強すぎて、これさえ覚えてしまえば、となってしまったのは惜しいところか。

●グラフィック
 一部の動くオブジェクトなどを除いた街やダンジョンなどは全て2Dの1枚絵・キャラクターは全てフルポリゴンの構成で、続編の8、9やパラサイト・イヴなどにも採用され、PS時代のスクウェアのフォーマットとなった。この1枚絵の美麗さはこの後数年続く初代PSソフト群の中でもトップクラスで、街の家の中も全て違うグラフィックになっているなど枚数も相当に多い。
 ニブル山やコスモキャニオンの一部マップなど、広く見せようということを主軸に置いたと思われる遠くからの視点のマップがところどころに見られるが、そこにキャラクターを歩かせることでキャラ表示が豆粒ほどに小さくなるところもあり、SELECTボタンでどこにいるかを指さし表示してくれる機能があるとは言えかなり厳しいところがあった。
 マップ切り替えの場所がどこにあるかがわかりにくいのもかなりの箇所で発生。これはインターナショナル版になって出口表示機能が付くことで多少改善されるのだが、全体的に暗い色調のマップが多かったことも一因か。

 フルポリゴンのキャラクターはテクスチャなしのカクカクポリゴンキャラで、クラウドの頭とかバレットの腕とかが相当目立っていたし、各キャラ目だけで口の表現はなし(戦闘時は除く)だった。まだこのころは人物ポリゴンはこなれてなくて、FF7発売わずか1ヶ月前リリースのハードデベロッパーSCE(の子会社)製「ワイルドアームズ」ですら戦闘時のキャラクターはビックリするくらいかっくかく、そのくらい各社苦戦していたところであり、FF7のキャラは当時の中ではかなりの高水準だったのは間違いない。
 フィールドも全面3Dフルポリゴンだったが、こちらも当時の水準から考えれば相当高いレベルで、全体的に見やすい表示。

●音楽
 ここまでのシリーズ全てを手掛けている植松伸夫氏によると、「世界観が一新したので、作る音楽も変わるべきだと思った」とのことで大きな変化を遂げた。特に、シリーズ共通で採用されていた通常戦闘BGMイントロ部分の消滅は印象深いところ。もはや中世ファンタジーではない独自の世界になったFFシリーズだけど、それを「変わったので変えた」、しかもそれを高いレベルでやってのけるというあたりがさすが植松氏、という感じ。
 エアリスのテーマや飛空艇ハイウインドの曲、メインテーマに星に選ばれし者…曲を聞くと大体どこかの場面が思い出される、印象強い曲が多い印象。これでも邪魔しないようおとなしめを意識したらしいが…

●豊富なミニゲーム
 ストーリー中でプレイできるGバイク・スノーボード・潜水艦ゲームなどの様々なミニゲームは、中盤以降立ち寄れるゴールドソーサーでアトラクションとしてプレイできるようになる。特にスノーボードの完成度の高さはピカイチ。初級中級上級と複数コースに挑めるのも面白く、解体新書スタッフの記録以上にチャレンジしたプレイヤーは自分だけではないだろう。(初級以外は越えられなかったけど)

●総評
 歯ごたえは正直言ってあまりないが、それを補って余りあるグラフィック・高品質な音楽・今までにないストーリー。ハードの牽引役とまで言われた実力は間違いない。初代PSのRPG作品の中でぜひプレイしてほしい作品の一つ。今プレイしても完成度高い。