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ハード:Playstation
メーカー:SCE / PSYGNOSIS
発売日:1996.12.23
ジャンル:レース
実勢価格:100~300円(中古価格)

評価:★★★

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 大ヒットとなった近未来レースゲーム「ワイプアウト」や、タビネズミ(レミング)を脱出させるアクションパズルゲーム「レミングス」などで知られる、イギリス・シグノシス社(→SCEスタジオ・リバプール、2011年スタジオ解散)開発した、リアルな挙動で26台フルグリッド(当時)でのレースを体感できる史上初のフルポリゴンF1レーシングゲーム。
 登場チーム・ドライバーは全て実名・ドライバーは顔写真つきで登場。デーモン・ヒルやミハエル・シューマッハ、デビッド・クルサードなど1995年当時の有名選手が扱える。日本人選手では、鈴木亜久里や片山右京などが登場。コースも当時のチャンピオンシップで使われた17コース全てを収録しているほか、隠しコースも1つある。
 今作以降、SCEがライセンス(独占契約権)を持っていた2006年までは、このシグノシス社及びSCE買収後のスタジオ・リバプールがシリーズ作品全ての製作を担当した。2009年以降はCodemasters社が権利を獲得している。

 TV中継を可能な限り再現しているのが最大の特徴で、日本版ではフジテレビのF1中継を再現するため、当時の実況・解説メンバーをそのまま採用。実況には三宅正治アナ・解説とコメンテーターもおなじみの今宮純氏・川井一仁氏となっている。
 周回ごとに上位陣の順位の発表及びプレイヤー前後の順位の読み上げがあったりするなど、臨場感のある内容となっている。棒読み加減は少なく、特に三宅アナの実況は気合の入った出来と言える。
 順位表示なども当時のTV中継をほぼ再現しており、コースごとに決められた数箇所のチェックポイントごとに首位とのタイム差(首位にいた場合は2位とのタイム差)や自分の前(もしくは後ろ)を走る車とのタイム差が出たり、周回ごとに現在の最速ラップタイム(Fastest Lap)が出たりと、情報量もなかなかのもの。当時のオフィシャル計測を担当していたタグ・ホイヤーの表示も印象深い。

 主なメニューは、5周勝負でチェックポイントごとの制限時間がある「ARCADE」と、制限時間なしの「GRAND PRIX」の2つ。それぞれ1コースの実の「SINGLE RACE」・決められたライバルよりも上の順位を目指す「CHALLENGE」・実在のF1同様の順番で世界17コースを周ってドライバーズポイントを争う「CHAMPIONSHIP」がある。
 全てのモードに共通するのは難易度設定(EASY/NORMAL/HARDの3種類)と出走台数。出走台数に関しては、フルグリッドか1vs1のバトルかを選択できる。フルグリッドのほうが面白いとは思うけど。そのほか、ブレーキ&コーナリングアシスト機能まで備わっているのはプレイヤーを選ばない仕様でポイント高い。
 メインモードとなるCHAMPIONSHIPは、スタート時点での燃料搭載量を選択できる(燃料の減りを考慮しない設定にも出来る)ほか、コースの長さは1%刻みで設定でき、100%にするとグランプリで実際に走行した周回数(コースによって違うが約60~70周)で走ることが出来る。マシンのダメージのON/OFFも設定可能で、コース100%・ダメージON・燃料搭載ONにすると、初期の燃料搭載量からピットインの回数なども考慮した本格的なF1を味わえる。(1コースで2時間近くを要することにはなるが)

 当然ながら上位チームと下位チームでは車体そのものの性能差が大きく出ており、ウイリアムズやベネトン・マクラーレンあたりの強豪はともかく、下位チームに関しては難易度設定どうこう以前に車体性能だけでかなり難易度が高くなっている。難易度NORMALでも上位陣のスピードにまったく追いつかず、ドライバーの腕だけでは解決できないというチームならではの世知辛さも。

 グラフィックは96年という年代を考えれば十分キレイな部類だろう。市街地コースが少なく、オブジェクトが少なめで済んでいるというところもあるんだろうが、道路でたまにテクスチャ欠けが見られるくらいで破綻も少ない。
 難点を挙げるとすると、当時の海外ゲーの宿命ともいうべきロード時間。特にシグノシス製はワイプアウトシリーズもそうだったがロード時間はかなり長く、最初のメインメニュー突入時とコース読み込み時は15~20秒は待たされると思っておいた方がいい。
 もうひとつ、これも当時の海外ゲーに多かった仕様だが、セーブ・ロードを含めたオプション画面の使いにくさ。オートセーブなどもないので、いちいちメイン画面に戻ってきてセーブしなければならない。1ブロックで済むのは救いか。

 次世代機ならではのF1ゲーム。思った以上に古さを感じない作りで今でも楽しめるのでは。