[Data]
ハード:Playstation
メーカー:SCE/ユークス
発売日:1995.09.29
ジャンル:アクション・2D横スクロール
実勢価格:500~1,000円(中古価格)

評価:★★★☆

[Review] 2017.06.18

ハーミィホッパーヘッド~スクラップパニック~

●ストーリー(説明書より)
 ある昼下がり、ハーミィはいつもの場所でガールフレンドのトリッシュと待ち合わせ。ところが、ひょんなことからハーミィはダストボックスへ落ちてしまいます。それがハーミィのパニックの始まりでした。なんとそのごみ箱は、月の裏側にある誰も知らない小さな星、タマゴ星への入り口だったのです!

 …タマゴ星は、タマゴに似たかわいい生き物たちが暮らす平和な星です。タマゴ星の生き物たちはタマゴ星名産のスターをバクバク食べて、のほほんと暮らしていました。そんなある日のこと、地球のスクラップ工場が時空の歪みから突如出現し、スターをバクバク食べ始め、強大な力を身につけてしまったのです!
そのスクラップ工場の名は”マッド・ミーゴ”。スターをしこたま食べた”マッド・ミーゴ”は、体内に貯めていたスクラップモンスターたちをタマゴ星にばらまき始めました。平和なタマゴ星は、”マッド・ミーゴ”によって支配されるゴミだらけの星になってしまったのです。

 そんな所へ来ちゃったハーミィ…。ああ、とにもかくにもトリッシュと待ち合わせた場所へ戻るため、地球への通路を探し出さなければなりません。トボトボと歩き始めたハーミィは、タマゴ星の住人達と出逢います。タマゴたちはハーミィを親とでも思ったのか、どこまででもついてきます。そして手に入れたスターをタマゴに与えると、不思議なことにタマゴが成長するではありませんか。成長したタマゴたちは自分の特技を生かしてスクラップモンスターを倒してくれるようです。
 ひとりで地球への通路を探すのは大変だ…そう思ったハーミィは、タマゴたちを引き連れてスクラップモンスターだらけのタマゴ星を冒険することにしたのでした。が、どうなることやら…

●概要
 PS初年度に発売された2D横スクロールアクションゲームで、制作はPSでは「エキサイティングプロレス」シリーズや「双界儀」など、現在はゲームやパチスロなどを手掛けているユークス。
 パッケージ裏にはでかでかと「ハーミィシリーズ第1弾」と書かれており、当初シリーズ化させることを前提として作られていたようだが、結局公式アナウンスでの後継作品が世に出ることはなかった。4年後の1999年に発売された「たまごDEパズル」という作品に本作のキャラクターが登場しており、これが第2弾か?と言われているが、先の通り公式に第2弾を名乗っていたわけではないので、詳細不明。

●基本アクション・マップ
 ジャンプとダッシュを基本に、敵であるスクラップモンスターは一部を除き踏みつけて倒すことができる、スーパーマリオタイプのオーソドックスな作品。ダッシュ中or坂道で↓を押すとスライディングになり、この状態でも敵を倒すことができる。
 8つのワールド、全65ステージ(移動のみのステージ込み)をクリアしていくマップ型。ステージ内には別のマップに移動できるダストボックス(マリオでいうところの土管)があり、ステージによって2つのゴールによる分岐があったり、ワールド間の移動を簡単に行える大砲ステージがあるなど…いろいろ見ていくと、特にスーパーマリオワールドの影響を色濃く感じさせる作りのように見える。

 レスポンスが良くもっさり感はほとんど感じず癖も少ないが、唯一敵を踏む際の当たり判定が結構シビアで、ほぼ真上にのみ判定がある模様。ちょっと斜めでもミス扱いにされる。

●オトモ君
 ストーリーでも紹介されているタマゴ型のキャラクター「オトモ君」。ステージ内の様々な場所にいるオトモ君は4種類、最大3匹まで連れて歩くことができる。
 ステージ上には至るところに「スター」が配置されていて、そのスターをステージクリア後オトモ君に与えることでオトモ君を成長させることもできる。ハーミィ自身に分配することもでき、自身の分配時はスター300につき残機1UPとなる。

 このオトモ君については、敵に向かって攻撃にしに行く「活躍モード」 ・その場で止まる「ストップモード」・ストップモードのオトモ君を回収するとハーミィの後ろをくっついてくる「追っかけモード」があり、場面場面によって△orL1ボタンでモードを切り替えていく。敵に当たると基本1ミスの仕様だが、オトモ君「追っかけモード」時だけは敵に当たってもミスにならず、自動的に「活躍モード」に切り替わる。
 今どんなモードになっているかは画面上部のじゃんけんアイコンである程度分かるようになっており、グーで追っかけモード、パーで活躍モードorストップモード。ストップモード時はオトモ君がその場で点滅する。
 そのほか、ステージ上にある看板では「足場モード」や「栓抜きモード」などになり、オトモ君が変化する。足場モード時は画面上部のじゃんけんアイコンがチョキになるが、見た目で容易に判別可能なのでアイコンを見る機会は少ないだろう。

 そのオトモ君達、敵を踏みつけに行ってくれるのはいいけど精度が悪く時間がかかったり、あっさり穴に飛び込んでいなくなったりと、全体的にあまり頭が良くない。穴に飛び込んでいなくなってもダストボックスに入るなどして画面を切り替えると復活するが、一部溶岩のステージだと溶岩に飛び込んだ瞬間にオトモ君が消滅してしまい、また一から育てなおしになってしまう。
 スターをたくさん分け与えてタマゴ君をMAXまで育てたとしても、タマゴ状態からの精度は多少上がるが別に敵をせん滅してくれるほど強いわけでもない。逆に活躍モード時にハーミィが敵に当たると1ミスになるので、結果「いかに追っかけモードをキープし続けられるか」になる。
 足場などで十分活躍の場はあるのだが、先に書いた精度の悪さが災いしてボス戦なんかでは全くと言っていいほど役に立たないので、もう少し場面場面で使いどころを見いだせるようになっているとなお良かったかもしれない。

●グラフィック・音楽
 PS初期だなあ、と感じさせるグラフィックだが水準は決して悪くない。遊園地や雪・草原・森など様々なワールドがあるが、背景も含めてしっかり作られている。
 音楽については、ミュージシャンの大堀薫氏が担当した。どうやらゲームの作曲は唯一の模様。サックスのメロディが特徴的な地上ステージ基本音楽を中心に耳に残るものが多いが、同じメロディのアレンジや似た感じの曲が多いせいか、曲数が少なめに感じられるのが残念(実際20曲程度と少なかったようだけど)。

●難易度
 遊園地の足場を潜り抜けるステージ・溶岩が下からせりあがってくるステージなど高難度のステージが点在しており、苦労するところはとことん苦労するという感じ。一直線にクリアまで進むならそこまでの難度ではないように思うが、100%を目指すとなると点在する高難度ステージによって評価が分かれるかも。

●総評
 まずまずあるボリューム・癖の少ない操作とアクションゲームとしての基本は大体抑えてあるが、踏み付けの判定やオリジナル要素であるオトモ君の仕様など、もうちょっと頑張ってくれたらなあ…と思ってしまう部分もあった。シリーズ化を実質中止にするほど悪いゲームだったとは思わないが、売上そんなに悪かったんだろうか。
 まったくの余談だが、本作のCMは非常に楽しいので必見。官房長官会見風のもので、当時でも珍しい1分CMとなっている。