[Data]
ハード:Playstation
メーカー:バンダイ
発売日:1999.11.02
ジャンル:格闘アクション(シミュレーション)
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:

一撃 鋼の人

●概要
 国際空手道連盟極真会館公認の空手ゲーム(格闘アクション)。極真会館に入門して黒帯を目指す「育成」モードがメインとなるが、実在の選手を扱って戦う「対戦」モードや、極真選手のデータベースなどが見られる「極真資料館」、館長・松井章奎による「道場訓読み上げ」などがある。
 極真との繋がりは不明だが、ゲストキャラクターとして声優の宮村優子氏が参戦しており、対戦モードでのキャラクターとして使用できる(裏技で育成モードのキャラクターとしても使用可能)。

●格闘部分
 □・△に左手・右手、×・○に左足・右足が割り振られ、L1がガード・R1が捌きとなっている。感覚的にはガードが違うものの鉄拳っぽい感じ。レスポンスは正直言って良くはなく、これをリアルと見るのかゲームとして見てもっさりと取るのかは微妙なライン。
 ここもリアルにこだわったのか、間合い(当たり判定)が異様に短く、あれ?これ当たらないの?ということが多発する。懐に素早く飛び込もうにもレスポンスが悪くてなかなかすんなりと行かず、近づいては殴られの繰り返しに。攻撃の命中具合による部位破壊が特徴で、主に骨折と脱臼があり、ガード不可や能力ダウンなどの効果となっている。

 操作キャラクターはすべて実在の35名以上と相当の数になっているが、基本の動きが全員同じなのでバリエーションとして多いとは言えず、選んだ人物による戦略というのは正直言って期待できない。

●育成モード
 本作のメインモードで、極真会館に入門する主人公を鍛え、段を上げて黒帯になるまでを描く。入る道場を選ぶところから始まり、登場人物がすべて実在人物というこだわりがすごいところ。
 鍛錬したい項目(優先項目)を一つ選んで日程を進めると修行している画面になってパラメータが上がってゆくのだが、とにかく淡々と進む。途中途中に挟まるイベントも薄っぺらで、先輩から何か言われた・ガールフレンド?から応援されたなどの短い会話イベントの後に2つの選択肢から1つを選ぶだけ。しかも選択肢を選んだ結果何が起こるのかが分からない。(「俺の中で何かが変わった気がした」「極真魂が心に宿った気がした」「炎が立ちあがった気がした」などのメッセージが出るのみ。そもそも”気がした”レベルの時点でどうかとは思うが)

 途中、試合などで部位破壊を受けることもあるのだが、骨折や脱臼が治ってなかったとしても次の試合で平然と出場する(部位にもよるが能力は格段にダウンしている)などしており、どういう管理で成り立っているのかを疑う仕様。骨折時に至っては相手の中段1発で1本負けするレベルの弱さで、現実であれば確実に休場させているはずだ。

 何にせよ、格闘部分の癖ある動きをある程度ものにできないと育成中の大会ではほぼ1回戦負けになる。パラメータも上がってはいくものの育っている感じはなく、「育成モードなのに育成している気がしない」という何とも言えない内容になってしまっている。
 ちなみに、前述の宮村優子氏を裏技でプレイヤーとして育成することもできるのだが、キャラグラフィックがちゃんと専用のものになったり一部セリフを喋ってくれるようになる一方、テキストでは1人称が「俺が(俺も)」となるなどしており、詰めの甘さを露呈している。

●総評
 淡々としていてとにかく薄い。極真がいくら好きな人でもこの内容では辛いだろうと思う。選択時に毎回「押忍!」というボイスが入るあたりがちょっとした笑いどころではある。