[Data]
ハード:Playstation
メーカー:ジャレコ
発売日:1995.11.22
ジャンル:スポーツ・野球
実勢価格:30~100円(中古価格)

評価:

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[Review] 2012.01.06

燃えろ!!プロ野球'95 DOUBLE HEADER

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 ジャレコのある意味有名な野球ゲームシリーズ、「燃えろ!!プロ野球」シリーズの据え置きハード最終作品。しかし、ダブルヘッダーをタイトルにつけるって凄いよなと。意味がわかってたら、まずタイトルにはしない単語だと思うのだが。これなら燃えプロ'95だけでも良かったんじゃないですかねえ…

 PSの初期はスポーツゲームがなかなか少なく、パワプロシリーズ以外での野球タイトルは地味にこのゲームが初だった。いまさら考えてみると、この次世代機と呼ばれた時期はスポーツゲーム受難だったよな、と思う。ちょうどゲームとリアルの境に来ていた時期だよね。
 話が若干逸れてしまったが、燃えプロシリーズと言えばTV中継視点のリアルなグラフィックがウリとなっており、ゲームの内容そっちのけと言わんばかりに気合の入ったグラフィックは一見の価値ありだったが、今作も”最先端ポリゴン技術・CGレンダリングによるリアルな質感”という謳い文句で、やはりグラフィック面を最大の特徴としていた。

 グラフィックの面に行く前にまずはオープニングムービーに触れておきたいのだが、このゲームのオープニングムービーはNHK・日テレの協力により実写のTV中継画面を使ったムービーとなっている。途中に挟まるCGムービーにちょっとがっかり感が漂うものの、なかなか気合の入った作りと言えるだろう。

 さて、グラフィック面がどうだったか、ということなのだが。これは画像を見ていただければ一目瞭然。関節を動かせる人形のようなグラフィックになってしまっており、質感もリアルからは程遠い出来となってしまった。
 本来の燃えプロシリーズでは、一部選手のモーションが異常に似ているというところもあったが、今作では投手は完全に同じモーションのみとなり、ここも前作までのシリーズ作品と比べて退化している。野手(打撃時のフォーム)は選手ごとにモーションが異なっているが、これも似ているとは言いがたい。

 投球時のアングルは従来通りのセンター後方からの中継視点のままだが、打撃時に関してはファミスタなどと同様のバッター後方視点に変更された。わざわざ視点を2つに分ける意味がどこに?とは思うのだが、今回のセンター後方視点はバッターや捕手がやたら小さくなっており(ある意味リアルなのかも)、この視点のままバッティングやれと言われてもそれはそれで困っただろうから、仕方ないのかなーとか。理由が完全にマイナスから入ってるけど。

 打撃について。一言、難しい。
 ミートポイントがよくわからないっていうのが一番で、何試合かこなした後になってもどうやったら外野に打球が飛ぶのかの感覚が養われない。結構バットの先のほうにポイントがある感じなのだが、ポイントが狭いのか何なのか、やたらとピッチャーゴロを打ちまくってしまった。

 守備面については、打球の飛び方・送球のスピードが前作くらいからおかしかったが今回も直らず、ものすごい勢いで打球が外野まで到達し、凄い勢いで内野に帰ってくる。この守備のバランスの良し悪しが野球ゲームの出来を決めると思うが、パワプロシリーズがすでに猛威を振るい始めていた時にこの前時代的な出来で人気を博すわけがない。
 投球も燃えプロらしい部分で、スタミナがちょっとなくなると、8割とか残ってる状態でも155km/h投げる伊良部が120km/h台のスピードになってしまったりする。これもFCやSFCの野球ゲームではよくあった話だが、これもやっぱり前時代的。

 ゲームモードは、1試合の「エキシビジョン」とおなじみの「ペナント」・それからどこかで聞いたような感じの「シナリオ」も入っている。選手のトレードやオリジナルチームを作るチームエディットも搭載しており、メモリーカード4ブロックを使うのは痛いものの、当時としては画期的な内容だった。

 特筆すべきは「データベース」モード。ベースボールマガジン社の協力により、1994年終了時の登場全選手の過去成績が参照できるというもので、全ての選手はベースボールカードとして実写で登場。チーム別に探せるのはもちろんのこと、94年の各種成績TOP10から探せたり出身都道府県別で探せたりと、このモードに関しては至れり尽くせり。肝心のゲーム本編がさっぱりの出来なので、このデータベースモードの凄さがさらに際立つという皮肉な結果になってしまった。

 深沢弘アナウンサーを採用した実況もウリのひとつだったが、「1回の」 「表」 「終わりまして」 というぶつ切り実況では何の意味もなく、音質以外は間違いなくSFCで再現できただろうという。

 今の時代であれば選手の通算成績なんてインターネット上でいくらでも出てくる。そういった意味でもデータベースモードの価値はいまさらないに等しく、ゲーム本体の出来も合わせて考えると、今このゲームをわざわざプレイする価値はないと言っていいだろう。
 燃えプロファンからすると燃えプロらしさは微塵も感じられず、一般の野球ゲームファンからすると何だこの出来は?となってしまう。このゲームがひとつの区切りになった理由が何となくわかってしまう、そんなゲームなのでした。