[Data]
ハード:Playstation
メーカー:コナミ
発売日:1997.11.13
ジャンル:RPG
実勢価格:500~1,000円(中古価格)

評価:★★☆

アザーライフ アザードリームス

●あらすじ
 黄金色に光る砂漠の砂が届く、辺境の街モンスパイア。その隣には「魔物の塔」がそびえている。この塔には魔物の宝や「魔物のたまご」があり、特にたまごは、そのままでも・孵化させて人に懐かせても高値で取引される代物であった。
 そんな街に住む1人の少年。彼の父は優れた魔物使いであったが、魔物の塔で命を落とした。しかし彼は生前の父のように魔物の塔に入って、誰も見たことのない魔物のたまごを手に入れたいと願っていた。
 そして、彼は塔へ入ることが許される、15歳の誕生日を迎えた。

●概要
 砂漠の街「モンスパイア」を舞台に、入るたびに地形の変わる魔物の塔を冒険するRPG作品。いわゆる”ローグライク”と呼ばれる作品の一つで、不思議のダンジョンシリーズなどと同じジャンルに当たる。
 タイトルの「アザーライフ アザードリームス(OTHER LIFE AZURE DREAMS)」は直訳すると「異なる人生・青空(紺碧)の夢」となるが、タイトル通り、ゲームのコンセプトは魔物の塔を攻略するだけではない「人生」であり、モンスパイアの人たちを助けたり、様々な女の子とのイベントを進めて仲良くなったりするなどの”本筋以外のイベント”が存在するのが大きな特徴となっている。

●基本システム・操作
 魔物の塔は入るたびに地形が変化する。段差があるのが珍しく、段差の上から攻撃すると攻撃力がアップするという仕組みも。操作は○で攻撃・□で方向合わせ・×でダッシュなど、基本的に既出のローグライクゲームとほぼ同じ操作系なので違和感は少ない。その他、R2でジャンプが出来るようになっている。
 主人公は、塔で手に入れたたまごを孵化させることで仲間に出来る「使い魔」を最大2体まで一緒に戦わせることが出来、この使い魔も主人公と同じようにレベルアップしていく。そして、主人公が塔を出るとレベルが1に戻されるのに対し、使い魔だけは塔から出てもレベルが下がらない。主人公のHPが0になっても使い魔のレベルは下がらないが、持ち物だけなくなるといった形だ。

 主人公のみが装備できる武器・盾についても、この手のゲームおなじみの強化・弱体要素があり、道中拾えるアイテム「砂」によって強化することが出来るほか、フロア内の罠によって逆に弱体化することも。他にもモンスターハウスらしきものがあったりするなど、不思議のダンジョンシリーズの影響を色濃く受けている感が強い。
 もうひとつ、この手に良くあるのが「満腹度」だが、今作に関しては主人公に満腹度の概念がなく、いくら動いても問題ない。使い魔については満腹度に属するものがMPになっており、MPが0になると行動不能になる。こちらは専用のアイテムで回復可能。

●使い魔前提のバランス+少ないフロアの活用
  塔は40フロアしかなくこの手のゲームではかなり少ないほうだが、1フロアごとに敵の強さがガラッと変わっていくので、使い魔のレベルをしっかり上げて少しづつ進んでいかないといけないバランスになっていて、なかなか考えられている。脱出アイテム「風の水晶」(トルネコでいうところのリレミトの巻物)がかなりの数出てくるというのもこのコンセプトに沿ったものだろうと思われる。
 階層やダンジョンをむやみに増やすというよりは1つ1つの階層に時間をかけるという作り方だが、何度も何度も同じようなマップを繰り返しプレイすることにもなるので、特に前半のマップに飽きが来るというデメリットも生まれている。

●使い魔について
 使い魔はAIによる大まかな行動指定が可能で、その場に立ち止まる・何もせず主人公の後をついてくる・補助魔法による攻撃支援・直接攻撃・積極攻撃の5種類から選べる。使い魔を含むすべての魔物には属性が存在し、属性による優劣が非常に大きいので、使い魔の属性も考えながらのプレイも要求される。属性を変化させる種がかなりの数落ちているので、魔物ごとの固有属性があっさり変えられてしまうのはどうかと思うが。
 その他、レベルが上がると進化する使い魔がいたり、2体の使い魔を融合させたりと幅広い運用が可能で、お気に入りの魔物をとことん強くしたりといったプレイもできる。

●各種イベント
 もうひとつの特徴であるモンスパイアでの各種イベントだが、主に建物を建築することによる街の発展・街の人々から依頼を受けての人助け・女の子との会話イベントの3つとなる。

 まず「街の発展」だが、街の人々との会話を繰り返すことによってフラグを立て、大工の家でお金を払って建ててもらうという流れ。自分の家を大きくすることもできるし、カジノやボーリング場などの娯楽施設を作ったりもできる。一部の建物は会話イベントのフラグになったりもするので基本全部建てるのが望ましい。それほど数はないので…
 2つ目の人助け。こちらも会話でフラグを立て、魔物の塔の中で必要なアイテムを入手し渡す。こちらも一部イベントのフラグになることがある。
 3つ目の会話イベントだが、7名の女の子との会話を進めることで仲良くなれる!という恋愛?イベントになる。ほとんどが会話→塔へ→帰ってきて会話→塔へ…の繰り返しで完了するため、イベントと言うほど大掛かりなことはないが、ヒロイン全員フルボイスというところは頑張った部分と言えるだろう。それから、7人同時攻略可能というのも新しい。
 しかも、幼馴染の活発少女・高飛車お嬢様・病弱な深窓の令嬢風女子・本が大好きなぐるぐる眼鏡の人見知りなど、当時のポイントをしっかり押さえた?7名。絵に特徴があるので好き嫌いはわかれそうだが。

 全体通して”イベント”というにはちょっと内容が薄く、やることが結局同じなのでバリエーションに乏しいというか。

●こなれていない部分も多い
  探索の部分に戻ると、フロア内に段差(高さ)があるのはいいとして、どうにも視点と合っていなくて見難い。回転させての視点切り替えが可能だが、そもそもこの手のゲームに視点切り替えが必要かと言われると…
 さらに、ローグライクとして致命的なのがテンポの悪さ。特に使い魔の補助魔法による支援があると1回の攻撃エフェクトが長く、これをデフォルトで使うのがためらわれる。
  これは探索に限ったことではないが、文字送りもデフォルトの遅さから変えられない。×で高速化できるものの連打すると表示されきる前にウインドウが閉じたりする始末で、いまいち使い勝手が悪い。
  逆に×のダッシュは超高速だが、アイテムの上に乗っても完全スルーするのが痛い。

 こなれているかどうかという問題ではないと思うが、フリーズ(操作不能によるリセット)がやたら多いゲームとして当時から有名で、今回の通しプレイでも5回はフリーズに見舞われた。罠によるワープでフリーズ・階層にいすぎると崩れていく階層で落ちて行く途中にフリーズ・火の水晶でサラマンダーを出したらフリーズ…などパターンもバリエーションに富んでおり、回避はほぼ困難だと思う。
 プレイするときはフリーズの覚悟をしたうえで、ということになってしまうだろう。

●総評
 ローグライクとして見たときに、この少ないフロアの有効活用という作り方は他にはない特徴で、こつこつ進んでいく面白さがある。一方、こつこつ時間をかけるゲームなだけにテンポの悪さが悪目立ちしている傾向にあり、これに加えて予期せぬフリーズがのしかかってくる。薄っぺらなイベントは置いといたとしても探索部分はいろいろ考えられているのだが、悪いところが悪すぎるという感じ。