[Data]
ハード:Playstation
メーカー:SCE/G-Artists
発売日:1995.07.28
ジャンル:シューティング
実勢価格:100~300円(中古価格)

評価:★★★

 

ps4

[Review] 2012.01.18

フィロソマ

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 宇宙軍所属の海兵隊艦艇「ギャラント」が受信した惑星220からのSOS信号。この事態に、ギャラントは戦闘機「ストレガ」を惑星220に降下させ、惑星内部への侵入を試みるのだが…

 SCEがPS黎明期に送り出したSFシューティングで、おそらくSCEとしては初のシューティングと思われる。同年4月に発売されたガンナーズヘヴンのほうが先のようにも思うが、アクションシューティング(どちらかと言うとアクション寄り)なので。製作は後にポポロクロイスシリーズなども担当したジー・アーティスツ。

 イントロダクションをはじめ、ステージ(今作ではフェイズと表現される)の合間に挿入されるCGムービーのクォリティが高いことで有名な作品で、しかもその長さは合計30分にもなる。ムービーからシューティングフェイズへ移行する際には、シームレスにはならないものの場面の切り替えがほぼないまま移行するように作ってあり、グラフィック以外にもかなり考えられていることが伺える。本当はシームレスに作りたかったんだろうけども。

 ストーリーや世界設定もかなり細かく作られている。詳細なストーリーは調べればいっぱい出てくるのでそちらを参考にして欲しいのだが、この深い設定をムービーで表現するために登場人物には全てに声優が当てられており、その声優も鈴木勝美・田中敦子・大塚明夫・堀内賢雄・岡村明美など、洋画の吹き替えで実績のある声優を採用し、迫真の演技を見せてくれている。
 ステージはフルポリゴン・高品質なムービーを織り交ぜた「映画的な展開」と、いまさら考えてみれば、この時点でプレイステーションというハードの方向性を決定付けるかのような構成だった。

 シューティング部分に移ると、まずスクロール方式がさまざまあるのが特徴。普通のゲームであれば「縦シュー」などの言葉がある通り、アングルは基本的に1つだけというのが一般的なシューティングだが、このゲームでは縦・横(真横)・横その2(斜め上からの視点)・3D(自機の後ろから見る視点)・3Dその2(自機の前から後ろを向く視点)と、なんと5つもの視点が用意されており、場面によって切り替わる。
 この5つの視点のうち、横その2の斜め上視点に関しては縦軸がうまく判別できなくて、敵のレーザーに当たりまくる結果になった。この視点そもそも必要だったのかな…?

 通常×ボタンで発射する武器は4種類あり、R1/R2で装備の切り替え。Powアイテムを取るとレベルアップ(最大でレベル3まで)し、攻撃力が上がったり攻撃範囲が広くなったり(レーザーは射出時間が長くなる)する。
バルカン→攻撃力低・攻撃範囲が広い
レーザー→攻撃力中・貫通する
アサルトブレイカー→攻撃力高・溜めて発射すると威力が上がる
レイブレッド→後方攻撃用

 レイブレッドはほぼ3Dその2視点専用武器なので、ほとんどの場合バルカン・レーザー・アサルトブレイカーで進めることとなる。アサルトブレイカーのレベル3は相当威力が高く、対ボス戦はこの武器があればいいくらいの勢い。○ボタンは回数制限ありのグレネード。シューティングでよくあるタイプの敵弾打ち消し作用のある全体攻撃で、アイテムで増やすことも出来る。

 自機は2回まで当たっても大丈夫というライフ制に近い内容となっており、画面上中央にあるSHIELDゲージで示される。SHIELDで2回まで耐えられ、SHIELDがない状態で敵弾やオブジェクトに当たると1機失う。
 1機を失った段階ではその場で即復活するが、そのときに装備していた武器のみレベル1に戻るようになっているため、武器の装備の仕方が重要になってくる。上記の通り、アサルトブレイカーのレベル3が対ボス戦で威力を発揮するため、アサルトブレイカーをなるべくレベル1にしないように戦うのが良い。
 ということで、頻繁にR1/R2での武器の切り替えを行うことになるゲームだが、咄嗟に切り替えるのがなかなか難しい。アサルトブレイカーを選ぼうと思ったら1つ行き過ぎてレイブレッドになったりとか。ボタン配置上仕方のないことだとも思うんだけど。

 決して出来が悪いわけではない。敵弾が多いかというとそこまで馬鹿みたいに多いわけではないし、敵もそんなに多すぎない。なのに、かなり難しい。当たり判定が大きいこと・自機の移動速度が遅いこと(速くすることもできない)が足を引っ張っている。
 まず、当たり判定は自機全体にある。今のような弾幕系シューティングがそれほどなかった時代では、こういった当たり判定が大きめの自機はさほど珍しくはなかったと思うが、自機やオブジェクトが全体的に大きめというところが今作品の問題点となる。
 PHASE1からいきなり大量の隕石が(しかも大きめ)降ってくるところから始まって当たり判定の大きさに驚愕、自機にカメラアングルが迫ってくるようなステージ(最初の一部だけだが)まであり、敵弾を避けにくい。敵弾が背景とほぼ同化するステージも後半にあり、ここは単純に辛かった。

 シューティング部分がダメとまでは言わないが、ストーリーやムービー・グラフィックなどの高水準から比べるともうちょっとバランス取ってくれたらな、という感じはした。とは言え、PS発売半年でこれだけのものを作り上げたのはさすがハードデベロッパーというところ。SCEの底力を見せ付けた作品のようにも思う。