[Data]
ハード:Playstation
メーカー:タイトー
発売日:1996.10.04
ジャンル:格闘アクション・3D
実勢価格:100~200円(中古価格)

評価:★★★

[Review] 2014.08.11

サイキックフォース

  

 360°全方向バトルの触れ込みで話題となった、アーケード3D格闘アクションゲームのPS移植タイトル。移植に当たって各登場キャラクターのストーリーモードが追加された。アーケードでは初代と初代のバランス調整版「サイキックフォースEX」が出ており、EXになってからかなり調整されて遊びやすくなったが、今作はそのEXの家庭用移植版となっている。
 主人公であるバーン・親友かつ敵組織のボスであるキースをはじめとした特色あるキャラクターと、そのキャラクターたちを織り交ぜたストーリーを揃え、圧倒的なキャラクター人気を掴んだ作品でもある。

 プレイヤーキャラとなるサイキッカー(超能力者)は空に浮いている。一般の格闘ゲームのような「ジャンプ」という概念はなく、「結界」と呼ばれる定められたフィールドの中を上下左右に飛び回りながら対戦することとなる。横からの視点・いわゆるサイドビューとなっており、奥行きの概念はない。そういった意味では、360°オールレンジバトルという触れ込みはどうかなあ?と思うところでもあるが。
 相手との距離感やダッシュ/クイックダッシュの活用によるスピーディな展開、結界の壁を使った攻撃と位置取り・間合いの駆け引き、サイコゲージの残量を考えた攻守の切り替えなどなど、対戦ツールとしてのシステムがどれもこれも素晴らしく、オリジナリティ溢れる作品となっている。中でも、エミリオなどが所持する「設置型超能力技」は大きなインパクトで、うまく配置することで、思わぬ方向・タイミングから攻撃を当てたり、連続ヒットさせたりといったことが可能になった。

 熱狂的なファンが多いゲームでなおかつオリジナル要素をたぶんに含んだゲームのためか、Wikipediaやゲームカタログではこのシリーズの特殊なシステムを事細かに解説してくれているので、細かい部分についてはそちらを参照していただきたい(→Wikipedia / →ゲームカタログ)。
  超能力技のコマンドは全体的に簡単(←→とか←→→とか)で、なおかつ方向の縛りがない(←→のコマンドは↑↓でも↓↑でも→←でも発動できるし、相手がどの方向にいても←→で発動可能)ので覚えやすかった。ちょっとキーレスポンスが悪いなとは思ったが、フレーム数もあるし仕方のないところか。スピーディーな戦いになるので、なおさら目立っているというところもあるだろう。

 惜しい点はバリアガードがあまりに無敵すぎたことだが、アーケードの初代→EXに変わったときにバリアガード発動時の消費サイコゲージ量が倍に変更されており、タイトー側でも意識して調整していたことがうかがえる。続編「2012」ではバリアガードそのものを破壊できる「バリアブレイク」が導入され、いっそう強い読み合いが可能になっている。

 この初代が出てから18年になるが、今までの3D格闘アクションでこのシリーズ以上のオリジナリティがあるゲームがあるだろうかと考えてみると、やっぱりないよなという結論になる。インカム等さまざまな問題があり、結果として2012を最後にアーケードでは登場しなかった不遇のシリーズだが、もっともっと表舞台に出てきておかしくないゲームだったと思うのだけど・・・
 この初代に限って言うと、続編である「2012」が今作の欠点をほぼ解消した素晴らしい作品なので、今このゲームをプレイする価値が相当薄くなっているのは間違いない。ストーリーモードが家庭用としての最大のウリだが、テキストがイマイチなせいかあんまり盛り上がらない(声優は高山みなみ氏・関智一氏など好演揃い)のも痛いところ。