[Data]
ハード:Playstation
メーカー:バンプレスト/バンプレ企画
発売日:1996.04.12
ジャンル:スポーツ・野球
実勢価格:20~100円(中古価格)
推定販売本数:約2万本

評価:

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[Review] 2012.01.19

プレイスタジアム

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 PS発売から1年半以上が経過していた1996年、「PS初のフルポリゴン野球ゲーム!」という触れ込みで発売された、バンプレスト開発の野球ゲーム。おそらく、PSに限らず次世代機初なんじゃないかと思われる。SSだとグレイテストナインってポリゴンじゃなかったっけ?と思ったら、最初のほうは2Dだったんだな。

 バンプレストはSDコンパチヒーローものとかでは有名な会社だが、スポーツゲーム自体今作が初(バトルドッジボールをスポーツに入れていいのかどうか悩ましいが)だった。それにしては「プレイスタジアム」とは思い切ったネーミングにしたものだ。ナムコ謹製のシリーズを意識したものか、はたまたPS一の野球ゲームへという思いを込めたものなのか。
 96年の開幕直後に発売したために選手データが間に合わなかったのか、95年終了時のデータが採用されている。選手は12球団実名だが、球場は実名ではない。

 フルポリゴンで動く選手は魅力的…と言いたいのだが、選手のグラフィックが全体的におかしい。無理やりリアルな頭身にした結果なんだろうが、腕・胴・足とパーツパーツを繋げた人形感がどうしても出てしまっており、リアル頭身にした意味が感じられない。むしろ頭が小さいので結果的にリアルっぽくなっただけのように見える。この作り方であれば、リアルな頭身にこだわらなかったほうが良かったのでは…と思う。

 中身はごくオーソドックスなパワプロタイプの野球ゲームで、投球と打撃は捕手視点で行い、守備は上からの見下ろし視点で高さ(ズーム)をLOW・MIDDLE・HIGHの3種類から選択可能となっている。この視点変更が効くあたりがポリゴンの良さだが、通常視点以上に全体を見渡せるようになるHIGH視点はいいとして、LOW視点の存在する意味がわからない。選手にすごい近い(寄った)視点になるのだが、近すぎて周りが何もわからず、自分が打ってる時はまだしも守備の際に使うと大変なことになる。

 投球・打撃もパワプロとほぼ同じ。特徴的なのは、△にアッパースイングが割り振られていた点で、×の通常スイングとの差別化が図られていた。とは言え、普通にプレイしていてほぼ使わなかったんだけど(タイミングが難しく、内野フライを打ち上げまくるため)。
 守備操作は通常だとパワプロ式(○1塁・△2塁・□3塁・×本塁)になっているが、オプションでファミスタ式(十字キー+○ボタン)に変えることもできる。

 野球ゲームは投球・打撃はもちろん、守備も含めた全体のバランスですべてが決まる。ここは作り慣れているメーカーとそうでないメーカーとの差がはっきり出るところなのだが、やはりバンプレスト、作り慣れていなかった。
 とくにひどかったのは守備面。まずひとつにキーレスポンスが良くない。打球が速めなのに反応が一歩遅く、取れそうなゴロが野手のすぐ横を抜けていくようなシーンが非常に多い。×ボタンによるダイビングも結局出が遅すぎて使えない。出ないことも。
 そして選手自体の動きに微妙な慣性があり、内野ゴロもそうだが、特に外野フライの取り難さは今までいろいろな野球ゲームをプレイしてきた中でも屈指の高難度。どのくらい打球が飛んだか一瞬で判別できないのも致命的で、落下位置にマークがつくようになっていてもそれほど役に立たない。ベースカバーに至っては、遊ゴロの際にダブルプレーを取りに行こうとすると二塁手がベースカバーに入っていないとか、他にも投手が一塁のベースカバーに入っていなかったりするなど、ここは単純にお粗末としか言いようがない。

 投球・打撃は守備ほどまずくはないが、難しいことに変わりはなく、キーレスポンスが微妙に良くないのも守備画面同様。投球部分では、投手のコンディションによって出せるスピードに違いがありすぎ、絶好調時150km/h出せる選手が不調時120km/hになるなどあまりに極端なのも微妙。

 ゲームモードについては、オープン戦にペナントレース・ホームラン競争とおなじみのメニューが並ぶほか、チームエディット機能が搭載されている。これは、12億円の資金で好きな選手を雇い1チームを作りあげると言うもので、シリーズ化されることとなるプレイスタジアムシリーズではおなじみの要素となった。
 何人選んだとかどのポジションを選んだとかの参照が面倒なのも難点だが、ドリームチームを作れると言う意味ではなかなか面白いモードだ。年俸で選ぶため、やきゅつくの選手選択のように高年俸のベテラン選手がどうしても切り捨てられてしまいがちだが、まあこれは仕方のないところか。

 バンプレスト自身初の野球ゲームなのだから、フルポリゴン!というところ以外に何かしら野心的なものが欲しかったところだが、基本システムは全てパワプロの後追いでバランスはすこぶる悪い、といいところがほとんど見つけられなかった。こういうゲームを見るにつけ、ナムコやコナミの偉大さを痛感するとともに、もっと偉大なる先人を研究して欲しかったと思うのですが。このゲームに限らずだけども。