[Data]
ハード:Playstation
メーカー:SCE/G-Artists
発売日:2000.01.27
ジャンル:RPG
実勢価格:100~500円(中古価格)

評価:★★★★☆

[Review] 2014.08.03

ポポロクロイス物語II

 96年に発売された人気RPG、ポポロクロイス物語の続編。前作から5年後・15歳に成長したピエトロ王子の活躍を描いている。シリーズとしては間に「ポポローグ」があるため3作目となっている。

  ポリゴンを得意とするPSであえてドットグラフィックを最大限に活用、暖かみのある雰囲気作りを可能にした前作をそのまま踏襲し、今作でも特技等を除く基本的なグラフィックは全て2Dドット描画となっている。PS最終盤に出されたタイトルということもあるだろうが、初代でも十分高かったグラフィック水準は前作以上に高い。
 イベントシーンはフルボイス化され、キャラクターの細かい動きに豪華声優陣による演技も加わって、前作をはるかに超えた素晴らしい空気感を作り出している。途中途中に入るアニメも大幅に増え、さすがは3枚組といったところ。
 ガミガミ魔王以外のキャラについては初代から声優が変更となっている。声変わり的なイメージで見ることも可能なピエトロやナルシアは置いといて、白騎士などについては正直違和感を覚えないでもないが、フルボイス化された今作のほうが印象には残りやすく、2をプレイし終わると1の声を忘れてしまうほどのインパクトがある。結果的に上書きされたからいいのかな?
 ピエトロとナルシアの恋の行方はもちろん、白騎士とレオナの関係・各キャラクターの抱える過去・・・それぞれが暖かみのあるグラフィックとフルボイスで構成される。今プレイしても十分に通用する演出の凄さ。

 前作のテイストはほぼそのまま受け継がれており、行った先々で新しい展開が待つオーソドックスなRPGだが、今回は中盤くらいから目指す最後の敵がある程度はっきりしていて、悪役はとにかく悪役!という感じなのでわかりやすい。裏をあまり考えなくてもよいと言うか…。

 戦闘については、見た目に反してなかなかシビアなバランスだった前作からは大きく様変わりした。

 各キャラクターの固有技・魔法がとにかく強力になっているというのが一番。ザコ敵を一撃で葬り去れるような技を各キャラクター1つは持っているという状態。通常攻撃に比べての技威力が大きすぎ、中盤くらいからは技・魔法連発で進んだほうが早い。火力の高さに反してコスト(消費MP)は低いものが多く、MP回復アイテムは序盤から店でガンガン買える。
 前作ではザコ敵の攻撃力がやたらと高かったが、実は今作でもザコ敵の攻撃力自体は高めで、集中攻撃を喰らうとあっという間に戦闘不能に追い込まれる。レベルが足りないと速さが足りずに先制攻撃を喰らうパターンが多くなって苦戦するが、こちら側が先に動けるようになった段階で技ごり押し戦法で殲滅。
 これがボスになると、不思議なことにほとんどのボスがザコ敵より攻撃力が低くなる。1しか喰らわないとかはザラにあり、体力が高くて戦闘に時間がかかるだけというレベルになっている。強いなーと思ったのはウッキーカイザーくらいで、ラスボスですら攻撃力が低くて体力が無駄に高いだけ。
 アイテムの使い勝手が異様にいいという前作の仕様はそのまま受け継がれており、「全体回復をまともに覚えない序盤から全体回復アイテムは安価で買えてしまう」という謎の状況も引き続き発生する。

 技のごり押し+アイテム無双さえ覚えてしまえば、戦闘で躓くことは正直ほとんどない。歯ごたえはないと言い切ってもいいほど難易度は低いので、そこは認識した上でプレイするべきだろう。
 その他、戦闘についてはガッツが廃止され、あわせて気合コマンドが廃止。さらに技や魔法・大魔法もすべて同じコマンドに統合され、システム自体はオーソドックスなものになった。戦闘終了後のエフェクトも簡略化されて全体的にスピードアップしている。

 そこまで難点らしい難点はない(簡単すぎると言うのはひとまず置いといて)ゲームだと思うが、前作に引き続きエンカウントの異様な高さだけは引っかかる。移動スピードが速いことも影響しているようなのだが、それにしてもという感じはする。エンカウント一定時間無効(マジカルロード)がこれほどありがたいのも凄い話だ。

 すんなり入り込めて、すんなりプレイできる。素晴らしい作品。