[Data]
ハード:Playstation
メーカー:日本一ソフトウェア
発売日:1998.01.08
ジャンル:シミュレーション
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:

サテライTV

●概要
 新規に参入する衛星放送会社の社長となり、様々なジャンルの番組を作成・放映して加入者を増やし収益を上げることが目的となる衛星放送会社経営シミュレーションゲーム。1996年に開始した当時の「パーフェクTV!」や、今作発売直前に日本上陸を果たした「ディレクTV」など、衛星多チャンネル放送がようやく認知されてきたかな?くらいの時期に出されたソフトで、題材としてはなかなか意欲的。
 制作・発売は日本一ソフトウェア。今の日本一のラインアップからは想像もできないジャンルの作品だが、日本一の代名詞ともなった「シミュレーションRPG&やりこみ」が本格実装されたのはPS2に入ってから(ラ・ピュセルが最初?)で、初代PSの時代はジグソーパズルのゲームを出したり麻雀ゲームを出したりと、まだ路線が定まってなかった様子。

●システム
 細かい経営部分はすべてぶん投げという内容で、社長であるプレイヤーが行うのは「番組のジャンルを決める」「制作責任者(ディレクター)を雇う」の主な2点。はじめは16chまでのチャンネルを作成することが出来るが、加入者が増えることによって64chまでに増え、最終的には1,000chまで同時に放映させることが可能となる。スカパーなんて目じゃない増やし方。

 ジャンルは映画・スポーツ・エンターテイメントなど様々。ディレクターは総勢200名で能力によるランク分けがあり、基本的には能力が高いほど高い製作費が必要となる。製作費については基本製作費からの増減も可能で、25%単位で調整することとなる。作った後は加入者数の増減・黒字/赤字の確認などが可能。秘書室では月の収益や加入者数・チャンネル数などが確認できる。
 加入促進策としては「CM」があり、1番組200万円で一定期間放映することで新規加入者を増やすことが出来る。赤字から抜け出せない番組については打ち切りもできる。

 ディレクターについては、同じディレクターに複数の番組を持たせることも可能だが、あまりに持たせすぎると他社へ移籍してしまうこともある。

●簡単だけど…
 ジャンルを決めてディレクターを決めて放映開始!まではまだいいのだが、その後に出来ることがあまりに少ない。放映後のチャンネルに関与できるのがCMだけなのだが、効果がすぐ切れる(放映すぐは加入者数が上がるが、すぐ下がってゆき元に戻ってしまう)のでほぼ意味がない。
 秘書からは「放映させたまま放っておくと大変なことになるよ」と言われるが、何年放っておいても加入者数に増減がほぼなく、黒字の番組はいつまでたっても黒字のまま。逆もしかりなので赤字の番組はいつまでたっても赤字のままで、CMの効果も一瞬。結果、赤字のままの番組は打ち切るしかないという結論になってしまう。

 どうやら、加入者数の判定は番組のジャンルではなくディレクターの能力+製作費に直結しているようで、とりあえず能力の高いディレクターに任せておけば確実に黒字番組となる。序盤でお金の少ないうちは高いディレクターが雇えないが、製作費の上昇である程度カバーできる仕組みで、製作費200%で番組を作らせるとほぼ黒字化する。
 ディレクターの能力+製作費さえ高ければ、明らかに需要が薄いはずの教育分野の番組が軽く1番の加入者数を叩きだしたりするし、まったく同じジャンルの番組を複数作ったとしてもディレクターの能力+製作費(以下略)。

 公式HPには「加入者・契約者の動向を予測して番組を作って」と記載されているが、上記の仕様のため動向の予想など必要なく(それ以前に加入者の動向を知る画面やパラメータもない)、黒字になる条件さえ分かればそれに対応して番組を作るだけ。最序盤さえ切り抜ければ、後はじゃんじゃん稼いで新しい番組をどんどん作ってチャンネル数を埋めていくだけという作業ゲーと化す。
 衛星放送新規参入というテーマにもかかわらず、肝心の相手(ライバル)がいないというのも単調さに拍車をかけている印象。経営シミュとしての壁があまりになさ過ぎて、最序盤以外は赤字にすることが困難なレベルだ。

●総評
 内部のアルゴリズムを含めていくらなんでも単調すぎ。市場予測や流行・ライバル会社の概念なんかがあったらもしかしたらもっと面白くなったのかも…と感じる。題材と最大1,000chというスケールの大きさは良かっただけに、さっぱり生かし切れていないのは残念だった。