[Data]
ハード:Playstation
メーカー:バンダイ/トムクリエイト
発売日:1998.08.06
ジャンル:シミュレーション
実勢価格:100~150円(中古価格)

評価:★★★

[Review] 2015.03.16

SDガンダム GGENERATION

 ガンダムシリーズの原作ストーリーを再現したステージ内にオリジナルの軍隊を介入させて戦う、SDガンダムシリーズのシミュレーション作品。好評につきシリーズ化され、現在でもシリーズ作品がリリースされ続けている(最新作はスマホ用の「フロンティア」)。
 SFCの小型カセットアダプタ「スーファミターボ」でリリースされた、SDガンダムジェネレーションというシリーズ作品が今作の元となっており、本拠地システムを中心としたかなりの要素がそのまま採用された。G CENTURYの続編的位置付けだそうだが、その前作のダメっぷりがひどく、SDガンダムシリーズの地位を大分落としたと思われるので、思い切った路線変更がうまくいった好例と言えるだろう。

 基本的な内容はスパロボ旧シリーズに程近い、見下ろし型マップでユニットを動かすオーソドックスな形のシミュレーション。戦闘時にはアニメーションによる戦闘が展開される。スパロボシリーズに先駆けて戦闘アニメのオンオフが効くようになっているが、中盤以降になるとユニットが増えすぎてオフにしないと正直やってられないレベルなので、順当な要素というところ。
 そんな感じで後半はほぼオフにされてしまいがちな戦闘アニメだが、これがなかなか気合の入った作り。声やカットインは一部武器やユニットに限られるが、戦闘開始時のロード画面は所属部隊のエンブレム(もしくは作品アイキャッチ)、それぞれ戦闘時の音楽も異なるというこだわりよう。BGMはすべて原作のアレンジとなっており、質も非常に高い。

 メインとなるメニューは「シチュエーションモード」で、ファースト・第08MS小隊・外伝ブルーディスティニー・0080・0083・Z・ZZ・逆襲のシャアまで、宇宙世紀0079~0093までを時系列に再現した全42ステージでストーリーが展開される。プレイヤーはこのステージ内にオリジナルの軍隊を出撃させ、それぞれの作品の主役に属する軍隊と共闘する。
 戦艦を破壊すると属するユニットを回収して自軍のユニットにできる「捕獲」・ステージ間のオペレーションルームで購入することにより部隊を作り、ユニットを育ててレベルアップさせ違うユニットにする「開発」・2種類のユニットから新しいユニットを作る「設計」によって自軍を育ててゆく、というのが基本となる。
 最初に捕獲するなどして手に入るユニットは当然時代に沿ったユニットになるが、その後の育て方によっては時代を先取りした強力なユニットを作成することも可能で、開発・設計をうまく使えば1年戦争のア・バオア・クーあたりでZガンダムを作成して戦場に投入出来る。
 ガンタンク→ガンキャノン→プロトタイプガンダム→ガンダム→ガンダムMKIIやGP01…などと育つごとに変わってゆく開発も面白く、ユニットをレベルアップさせてゆく楽しみがとても大きい。
 登場ユニットはストーリーを追うファーストから逆シャアまでの8作品に加え、F90/F91やMSV・ガンダムXやW・Vガンダム・Gガンダムなども登場、総数は300以上になる。手に入れたユニットはプロフィールモードで説明を見ることが出来、集めた数による達成率もあるのでコンプリートを目指したくなる作りだが、レベルアップや捕獲を繰り返すことを考えると相当手間はかかる。おそらく普通にプレイしてクリアまで進んだ場合、達成率は60%を超えればいいほうだろう。
 シチュエーションモード42ステージを一度クリアすると、名前が「シチュエーションクエスト」に変わる。簡単に言えば好きなステージを選んで開始できるようになる「ステージセレクト」で、1回目で取り逃してしまったユニットを捕獲しに行ったり、ユニットのレベルアップをさせに出撃させたりといったことが出来るようになる。

 連邦・ジオンなどの枠を超えたごちゃまぜ軍隊を作成して投入できるというこのコンセプトがとにかく素晴らしい。変にクロスオーバーさせず、ストーリー自体は原作を忠実に再現しているというのも良い。

 シミュレーションとして見ると、敵軍のAIがいまいち頭が良くなく、癖を覚えると難度が駄々下がりになってしまうというのが気になるところ。
 わかりやすい例が宇宙などのマップ間移動のあるステージ。移動先の同座標にユニットがいるとマップ移動できないという当然の仕組みなのだが、このような状態になった時に敵軍ユニットは空いている座標に移動を繰り返すだけで、移動の都度同座標に自軍ユニットを配置させておけば、いつまでたっても攻め上がってこない。
 敵軍がまとまって攻めてくるというシチュエーションは数々あるが、なぜか自軍ユニット&本拠地ギリギリまでマップ移動をせず近づいてくるという特性も相まって、大量に攻めてきたはずの敵軍を座標移動によって各個撃破出来てしまう。
 後半になると登場するファンネルやサイコミュ兵器持ちのユニットに関しても、隣にユニットを配置するとファンネル射程内に違うユニットがいたとしても隣のユニットに対して攻撃してくるという謎の習性があり、ビームサーベルがあるキュベレイやサザビー・ヤクトドーガなどはまだしも、α・アジールのようなサーベルなしユニット(弱いバルカンはあるが)は、この時点で耐久力が高いだけの雑魚ユニットになり下がる。

 そのほか、戦闘アニメをオフにしてもユニットの移動を含めてテンポがあまり良くないのも難点。大きな戦いになるとユニット数がとんでもないことになるのは仕方ないことではあるが、ファースト最終のア・バオア・クーや3つの戦力が乱れるZZのラストなど、このテンポで進めると1ステージクリアまでに数時間はゆうにかかる。中断セーブも出来るが、残念なことにメモリーカード9ブロックというとんでもない容量で使いにくい。基本3ブロックのほかに9ブロック必要なので、合計12ブロックにもなってしまう。

 素材やコンセプトの良さと出来上がったものが残念ながらうまくかみ合っていないところが多いが、ガンダム好きを引き込む要素はたっぷり。開発・設計・収集要素に魅力を感じる人向けで、硬派なシミュレーションを求める層には向いていない。