[Data]
ハード:Playstation
メーカー:D3パブリッシャー
発売日:2000/08/03
ジャンル:シューティング
実勢価格:200~500円(中古価格)

評価:★★

[Review] 2010.09.19

Simple1500シリーズ vol.35 THE シューティング

 Simple1500シリーズの中から、フルポリゴンの横スクロールオリジナルシューティングゲームを。そもそもはテレ朝のクリエイター発掘を目的にした異色の深夜番組「D's Garage 21」から生まれた(応募されたんだっけ?)作品なのだが、個人的には渡辺浩弐しか覚えてないと言う。

 Simple1500シリーズとのタイアップによりいくつかのゲームが生まれたわけだが、プロではない「クリエイターを目指す人」の作った作品なので、簡単に言うと「同人作品」ということになる。今でこそネットを探せば同人シューティングなんぞ無料でも有料でも死ぬほど出てくるが、きちんとした商業作品にするという意味合いは決して小さくなかった。と思いたい。

 中身だが、オーソドックスな2D横スクロールシューティング。自機の周りを動いてメインショットの方向を変えられるオプションが大きな特徴で、自機が前に行くとオプションは自機を回って後ろ方向へと配置され、その状態でメインショットを打つと自機の前後にショットが打てる。逆に自機は後ろに行くとオプションは前方向に配置され、角度をうまく調整すると擬似的な3WAYの状態に出来たりする。ショットを打ってる最中はオプションが固定されるが、打ってないと普通に動いただけでもオプションが移動してしまう。

 ×ボタンでロックオンミサイル。上記のオプションの角度に合わせたロックオンの範囲が表示され、範囲内の敵に自動でミサイルが発射される。R1ボタンは「ブースト」と呼ばれる高速移動。瞬間で高速移動が出来るほか、バックファイアで敵を倒すことが出来、連続して敵を破壊した場合やブーストで回避した場合にボーナスがついて高得点になるという仕組みも。R2ボタンでは「オーバードライブ」という幅広めの貫通レーザーが出せる。ブーストとオーバードライブは画面上のOVDゲージがMAXまで溜まると一定時間使えなくなる。

 いい点も欠点も数あるゲームだと個人的には思うのだが、とりあえず爽快感とスコアアタックを前提とした割り切ったシステムになっているのは評価できるポイント。どこかで見たような…というものが多いことはさておき、素人目から見たときの「こうやったら一気に殲滅できて爽快だろうな」「スコアがどんどん上がっていくのは楽しいだろうな」というようなものをこぞって入れたような内容で、これは組み入れたことに価値があるのかなと思う。

 逆に欠点は、そのいいところを生かすバランスになっていないと言うところか。

 敵が画面に登場してから撃てるようになるまでの切り替えが圧倒的にわかりにくいのが最大の難点。基本、敵はフルポリゴンの背景の後ろ(もしくは手前)から敵が登場して、ある程度の時間を置いて撃墜可能なターゲットとして出てくるようになっている。

 まあこの内容自体は他のシューティングでもよくある話でさほど珍しくもないしおかしなことではないんだけども、後ろ(攻撃範囲外)にいる敵と手前にいて撃てる敵の大きさが同じくらいで見分けがつかないとか日常茶飯事。急激に画面の左側から敵が手前に出てきていて気付いたら激突していたりとか、理不尽に自機を削られていることが非常に多かった。

 弾幕は安全地帯がそれなりにあるようなのでまだ許せる部類かと思うのだが、敵の配置のひどさに関してはどうも納得できない。オプションが全方向に動くからこそ+ブーストがあるからという敵配置だとは思うのだが、それならばもっとオプション自体がキビキビ動いてくれないと。結局後ろの敵を攻撃するのにタイムラグが出来てしまうのではせっかくの敵配置の意味がないと思う。ブーストにも無敵時間がしっかりあったら使い勝手も良くて最高だったと思うが、ブーストでよけた挙句無敵時間終了後に結局削られてしまうので、回避のためのシステムのはずが使わなくてもよくなってしまう。

 冒頭にも書いたが、爽快感はそれなりに高く作ってあるんだよ。オーバードライブの極太レーザーで一掃する快感はあるし、最大16発のロックオンミサイルで一気にミサイルが飛んでいくさまも、シューティング好きな人向けの部分としてはありだと思う。ただ、よほどこだわる人でなければ、オーバードライブだけで十分進めてしまうためにロックオンミサイルの必要性がない。オプションの角度によって変わるロックオンの範囲というのもシステム的に面白いだけで使いにくくしてるだけでは?

 Amazonかなんかで「彩京あたりに手伝ってもらったらもっといいゲームになっただろう」みたいなレビューがあったが、まさしくその通りだなと。他社からのアイデアだったとしても、そのいくつかをまとめ上げて完成形にするのは大変なことじゃないだろうか。シューティングを熟知したメーカーが作ればもっとうまくまとめることが出来たんじゃないかな、とは確かに思うわけです。