[Data]
ハード:Playstation
メーカー:ナムコ
発売日:1996.12.20
ジャンル:格闘アクション・3D
実勢価格:60~100円(中古価格)

評価:★★★★☆

soul_edge04

soul_edge05

soul_edge06

soul_edge07

soul_edge08

[Review] 2012.11.09

ソウルエッジ

soul_edge01 soul_edge02 soul_edge03

 16世紀の中世世界を舞台に、伝説の剣「ソウルエッジ」を求めて世界各国の勇士たちが戦いを繰り広げる、ナムコ初の剣劇格闘アクション。後にソウルキャリバーシリーズとなる「ソウル」シリーズ第1弾作品。

 ナムコは「SYSTEM11」と呼ばれるプレイステーション互換の基板をアーケードゲーム用として展開しており、この基盤で作成されたゲームがPSに数々移植されてPS陣営におけるナムコの地位を不動のものとしたわけだが、このソウルエッジは鉄拳1・2に続くSYSTEM11基板3作目。バランスが調整されたVer.2も登場し、そのVer.2を移植したのがこのPS版という経緯を辿っている。リアルタイムでVer.1を知らないので違いはわからないが、初期Ver.は空中コンボもなかったとのこと。うーん、それはなあ。
 もともとPS本体と同じ性能の基板(PSとSYSTEM11基板はまったく同じCPUを採用)で作ったものの移植作品なので、移植度に関してはほぼ完璧。これに加え、家庭用としての味付けが数多くなされたボリュームのある作品となった。

 まず、格闘部分の基本だが、縦斬り(初期配置△)・横斬り(初期配置□)・蹴り(初期配置○)と3種類の攻撃方法を組み合わせ、ガードはボタン式(初期配置は×)。ガード+前方向キーで斬り攻撃を弾く「ガードインパクト」を出すことができる。斬りのどちらか+ガードボタンで投げ。そのほか、十字キー↓↓か↓↑で前後に軸移動ができるようになっているが、これは業務用の3D格闘ゲームで初だったそうだ(家庭用だとZERO DIVIDEなどがあるが)。
 キャラクターの持つ武器には耐久度の設定(武器ゲージ)があり、ガードしたり「クリティカルエッジ」と呼ばれる強力な攻撃を使用したりするとゲージが減少してゆく。ゲージが0のときにガードすると武器が弾き飛ばされてしまい、攻撃力が大きく低下するほか、防御しても削られてしまうなど、戦況が大きく不利になる。

 全体的なゲームスピードが速く、ガードがかなり強い(ガードされた後の隙が全体的に大きい)。どのキャラも上下段に振り分ける連続技を持っているので、ガードがうまく出来ないとまず一方的にやられる。ガードをまず覚えてからの投げ・軸移動を中心とした”読み合い”を重視した作品で、決してコンボをメインにしたタイプではない(空中コンボもあるにはあるが)。
 ということで、CPU・対人戦ともに、ガードをきちんとできるようになってからが楽しい。逆に言うと、適当に攻撃しているだけでは対CPU戦ですらさっぱり勝てないので、きちんと段階を踏まないと…というあたりはうまい作りになっている。
 これだけのゲームスピードを持っているのに秒間30フレームというのは至極残念で、これが60フレームだったらかなり世界が変わっただろうなと思うところだが。30フレームのゲームにしては操作のもったり感を感じないのはさすがだと思うが。

 それ以外の部分に目を向けると、まずは様々な賞を獲得したことで話題となったオープニングムービーの凄さ。間違いなく当時の家庭用作品の中ではトップクラスの出来で、ナムコの技術力の高さを見せ付けた。キャラクターによって登場回数の違いや出来の良さがはっきり分かれているような気がするのは気のせいか…(御剣・タキ・あとソフィーティアの後半部分だけ異様に出来がいい)
 もう1つはサウンド。今作ではアーケードのオリジナルバージョンに加えてアレンジバージョンを収録、さらには家庭用完全オリジナルのKHAN SUPER SESSIONと計3バージョンが収録された。オリジナルバージョンでもロックステージの「Recollect Continent」など名曲が多かったが、家庭用オリジナルはセルバンテスステージ「Castaway in Darkness」・ヴォルドステージ「Another Fanatic」などこちらも名曲揃いで、サウンドテストでの聴き比べが楽しい。全ての曲が最初から聞けるのも地味にありがたい仕様。
 ロード時間の短さも特徴。ここはさすがの互換基板といったところだろうが、ステージ間やエッジマスターモード内など、ロード時間でストレスを感じることはまったくないと言っていい。

 さて、ゲームモードは「ARCADE」に対人戦「VS BATTLE」・1~5人のチーム対抗戦「TEAM BATTLE」・何人勝ち抜けるかを競う「SURVIVAL」・練習モード「PRACTICE」・そしてもうひとつのメインモード「EDGE MASTER」の6つ。
 特筆すべきはやはりEDGE MASTERモード。各キャラクターが世界各地を転戦して様々な武器を手に入れてゆくというモードで、最終的には1キャラクターにつき8本の武器が手に入り、手に入れた武器は他のモードでも使用可能になる。武器によって攻撃力や武器耐久力などが異なるため、同じキャラクターでも持つ武器によって戦い方を変えられるというのは素晴らしい。
 所謂ミッションクリア型となっていて普通に勝てばいいだけのステージはほとんどなく、大体は”~秒以内に倒せ”などの制約があるのだが、”投げ技だけで倒せ”とか”クリティカルエッジで倒せ”など、基本操作以外のいろいろな技を使わせるミッションが多く登場し、このあたりはソウルエッジならではのシステムを覚えてもらおう、という意図を感じさせる。
 いいところばかりでもなく、”~秒以内に倒せ”のミッションについては15秒~20秒というかなりシビアな時間制限が出てきたり、最終2ミッションあたりになるとCPUが超反応になってくる上に受けるダメージも半端なく大きい、とクリア条件以前の問題。テンポがいいのでやり直ししやすいというのがまだ救いにはなっているが、アクションが得意じゃないプレイヤーにはなかなか辛い難易度設定だと思う。

 まとめると、全て完璧!という内容ではないのだが、もともとある程度完成されていたゲームを家庭用に移植するに当たって、ここまでの新しい要素を組み込んだゲームはなかなかないだろう。この頃のナムコは「こんなに詰め込んでいいのか?」というくらいの移植作品を数多く出していたが、鉄拳3とこのゲームはその中でも最たる存在と言える。
  ナムコ良移植の歴史を辿れる優秀作品。今の価格ならオープニングとサウンドだけでも元が十分取れるのでは。