[Data]
ハード:Playstation
メーカー:アイディアファクトリー
発売日:1998.10.15
ジャンル:シミュレーション
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:★★★

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[Review] 2010.02.25

スペクトラルフォース2

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 40カ国以上の国々がひしめく世界「ネバーランド」の国の中から一つを選び、大陸統一を目指して戦いを繰り広げるシリーズ第2弾。グラフィックの書き直しや一部国・キャラクターの変更が主な変更点で、戦闘では初代同様の最大1000人vs1000人のバトルはそのままに、陣形システムが一新された。

 基本となるシステムは前作とまったく変わっていない。1ヶ月を一つのフェイズとし、「徴兵」「戦闘」「人事」「外交」「内政」の5つをこなしてゆく。まずは内政で国の投資を行って国力を増やすことから始まり(国力×10が兵力となるため)、徴兵で兵を最大まで集めたら隣国へ攻撃、この繰り返し。

 前作では年が変わっても1月徴兵で3・6・9・11月は戦闘…など、月によって当たるフェイズが決まっていたのだが、今作からは、年が変わるとフェイズの内容が変わるようになった(1月の徴兵だけは固定だが)。固定のほうがプランは立てやすいのだが、毎年同じフェイズ構成だとどうにも作業っぽさがついてきてしまうので、この変更点は良かった。徴兵フェイズが年2回になることもあり、これによって戦闘フェイズの動き方が前作とは大きく変わったのも嬉しいところ。

 戦闘部分について。前作の戦闘では陣形の意味があまりなく、基本的に各武将の必殺技の強さでほぼ決まってしまうという内容だったが、今作では一変。基本陣形を「密集」「包囲」「中央」の3種類(突破と防御はあるが)に減らし、密集は包囲に強い・包囲は中央に強い・中央は密集に強い…と、完全な3すくみを設けて陣形に優劣をつけた。一定確率で発動する特殊陣形もあり、攻撃・防御の最強陣形「三方不敗」「波状防壁」と必殺技発動専用陣形「魔方陣」・あと失敗陣形「陣形分断」もある。100人以下になった場合は「専攻」「攻守」「専守」の3陣形となるが、こちらも3すくみの構図となっている。

 この陣形の優劣は大きく、例え1000人vs500人でも優位な陣形にさえできれば突破人数が逆転するほどの効果がある。1000人vs1000人の場合、武将の武力にもよるが一方が全滅、一方は800人以上生き残るなんていう事態も普通に起こる。陣形にも成功と失敗があり、知力の高い武将ほど高い確率で自分の選んだ陣形が発動し、失敗した場合はまったく別の陣形に変わる。必殺技を発動している状態で陣形失敗になった場合、陣形は魔方陣のまま変わらないが必殺技だけ変わったりすることも。

 前作で猛威を振るった必殺技だが、まず発動の方法が”戦闘の突破人数等に応じて溜まる技ゲージで発動”に変わった。武将ごとに3種類の必殺技があるのは前作と同様だが、レベル2・3の技は溜めるゲージも多く、簡単に発動出来なくなっている。これで、前作のように戦闘開始直後にレベル3必殺技を出す…なんてことも出来なくなったのだが、こうなると気になるのが陣形優劣の強さ。
 先ほど書いた通り、今回は兵士数MAX同士で戦ったとしても、陣形によっては片方が全滅するほどの展開になる。陣形がうまくはまった場合必殺技など使わなくても簡単に進めてしまうし、レベル2・3の必殺技を使えるような状態になったときにはすでにやられてしまっていたりすることも。
 さらにこれが敵国から攻められた場合、相手側の陣形が最初から見えている(これは前作からだが)ため、知力高めの武将で相手陣形に対応する陣形を出しておけば、よほどの兵力差がない限り攻め落とされることはまずない。このへんはさすがに緊張感がなさ過ぎて面白みを感じない。
 前作よりは必殺技頼みでもなくなって戦略的になったように見えるが、今度は陣形の優劣が大きすぎてそれさえわかってれば進めちゃうという。せっかく各キャラクターに武力・知力パラメータがあるのに、陣形成功率に関わる知力はまだしも、武力に関しては高くても陣形優劣に潰されるという残念なパラメータとなってしまっている。必殺技に関しても、あまりに使えない必殺技が多くて格差があった前作と比べると、ある程度使える技に改善されたものも多い。せっかく使えば強い技が増えたのに、今度は使う場面が少なくなってしまった。

 破綻しているかというとそういうわけでもなく、単純に簡単になっただけ。前作もさほど難しくなかったのでちょっと簡単にしすぎたきらいもあるが、そもそも簡単なキャラゲーという位置付けのゲームなので、もともとの位置付けをさらに強化したと思えばしっくり来るかもしれない。

 前作では位置付けが不明だった増壁(前作で言う結界)については、増やせば確実に城を守れるものへと変わり重要性が大きく増している。まあ、通貨50というコストパフォーマンスの悪さは相変わらずで、同じ通貨50を投資に使ったほうが早いというのは変わっていない。あと、上にも書いたが敵国から攻められた場合の対処が楽すぎて、城壁を強くしなくても進めてしまう。

 ちょっと長かった戦闘についてもかなりスピーディになっていて進めやすくなったが、グラフィックが全般書き直しで良くはなっているものの、カメラワークが寄りすぎて全体がまったく見渡せなくなってしまい、右下に新しく備わったレーダーでしか全体を把握できなくなってしまったのは残念。

 …ということで、前作から直すべきところはある程度改善しており、そういった意味ではまっとうな続編という感じなのだが、直した部分についてはそれ以外の欠点が噴出するという状態になってしまっている。まあ、個人的にはこういうツメの甘いところが非常にアイディアファクトリーらしいなと思うのだが。

 簡単になったことを含めてとっつきやすさは相当上がっているので、スペクトラルシリーズをこの作品から始めるのもいいかもしれない(ストーリー上での前作との繋がりはない。というより同じ時間軸のようだ)。もちろん歯ごたえのあるシミュレーションをやりたい人には簡単すぎてまったく向かないのだが。