[Data]
ハード:Playstation
メーカー:アイディアファクトリー
発売日:1999.11.25
ジャンル:シミュレーション
実勢価格:500~700円(中古価格)

評価:★☆

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[Review] 2012.06.01

純情で可憐 メイマイ騎士団 スペクトラルフォース聖少女外伝

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 アイディアファクトリーの1000vs1000バトルが特徴のシミュレーションゲーム「スペクトラルフォース」のシリーズ第4弾。前作「愛しき邪悪」からわずか3ヶ月足らずで発売されたタイトル通りの外伝作品であり、前作の主役・シンバが統治していたムロマチ国すぐそばに位置するメイマイ騎士団(メイマイ王国)を舞台に、東の国からやってきた青年フォルトとメイマイ騎士団の少女たちがネバーランド大戦を終結させるために戦う。主人公とメイマイ騎士団の少女たちとの恋愛要素を絡めた作品ともなっており、イベントも女性キャラクターとの会話イベントを中心にした作りとなっている。
 前作とまったく同じ時間軸のため、前作でスタート後数年後に自動加入した武将や出奔→他国入りしていた武将(無名兵団のアル・ムロマチ軍のヒロなど)はそのまま今作でも生かされるようになっているほか、戦闘時の会話イベントも基本的には前作同様の組み合わせと内容になっている。

 今までは、1国をクリアするごとに選べる国が増え、選んだ国によってエンディングが異なるという形式を取ってきたが、今作では「メイマイ騎士団の少女たちとのイベントによる好感度でエンディングが変わる」という内容に変わり、他国選択が出来なくなっている。イベントと言っても特に選択肢があるわけでもないため、単純にイベントを見れれば好感度が上がってゆく仕組み。好感度は武将能力の画面で確認できる。

 まずはイベント云々の前にフェイズ・戦闘などの各種システムについてだが、これは前作「愛しき邪悪」とまったく同じ。戦闘については陣形などの部分も一切変わっておらず、前作で欠点だと指摘したテンポの悪さまでそのまま残ってしまった。直す時間もなかったのだろうが、それならもう少し間を空けてでも直して欲しかったなとは思う。
 変わった部分は、”他国を滅ぼした際の武将対応”で、今までは一部武将から仲間に入りたい旨の希望が出た場合のみ仲間にするかどうかを選べる(それ以外は開放か処刑しか選べない)仕様だったが、今回は開放か処刑かを選ぶ前に、全ての武将に対して仲間に引き入れるかどうかを選択できるようになった(相手に断られることもあるが)。これによって武将を集めやすくなったと言え、総じて戦闘部分の難易度は前回よりも低下した印象。

 さて、今回の目玉とも言えるメイマイ騎士団の少女たちとのイベントについてだが、基本は「勢力を広げたとき(国数を増やしたとき)」に会話イベントが発生。開始直後はまずメイマイ騎士団の少女たち(ラト・リム・キラット・アニータ)が1人づつ仲間に加わるイベントからスタートし、それが終わった段階からは「メイマイ騎士団の少女の誰か&特定の武将一人」がメイマイ騎士団に加わっていることが条件のイベントが発生する。このイベントのどれを見ているかでエンディングが変わるということなのだが。
 まず最初の仲間に加わるイベントについては、武将の枠に空きがあることが絶対条件。序盤で武将を集めすぎて10人にしてしまうと、イベントが起こらず仲間に加わらないという落とし穴が待っている。エンディングによってはメイマイ騎士団全員が揃うことが必須のものもあるので注意したいところ。
 その後の”特定の武将一人”というのも、在野武将(初期状態でどこの軍にも所属していない武将)だったり他国の君主だったりするのがさらにややこしい。在野武将の場合は探索をこまめにするしかないし、他国の君主の場合は説得で引き抜くことも出来ないため、その国自体を滅ぼしに行くか、他国に滅ぼしてもらって在野武将にしてもらうくらいしか方法がない。
 序盤~中盤のイベントには勢力13国でのキラット+グリーザのイベントや、14国のティナ+シンバ・16国でのリム+イヌオウ・17国でのラト+ウェイブのイベントなど君主キャラが目白押し。しかもグリーザとウェイブの2名に関してはメイマイ国とほぼ正反対の場所にある国の君主キャラであり、イベントを見ようと思ったら全力で他国を潰して西へ攻めあがらなくてはならない。(もしくは他国が滅ぼしてくれるのを祈るか)
 18国になった段階でメインヒロインのティナがいったん出奔してしまうのだが、ティナのエンディングを見るためには当然ティナを連れ戻さなければならず、しかも単なる在野武将になるだけなのでこれまた探索するしかない。

 まあ、そんなこんなでイベントをこなすのがいろいろと面倒なゲームになっているのだが、そんなこのゲームの最大の問題点は「イベント発動条件のヒントがゲーム中にほとんどない」ことに尽きる。会話イベントの中で「君主キャラがいいよ」とか「目立つ武将がいいよ」などの漠然としたヒントはくれるが、君主キャラだけでも30名以上いるのにこんなヒントを出されてもまったく意味がないし、目立つ武将~に至っては個人個人の感性の問題でヒントでも何でもない。タイミング(勢力何国目でイベントが発生するのか)に至っては完全にノーヒント。

 たとえ各種攻略サイト等を使って目当ての武将がわかったとしても、その武将を自軍に引き入れるための労力が異常すぎることも難点。このゲームに登場する武将は全体で170名以上。自国が滅ぼして武将を処刑しない限り、CPU同士の闘いで滅んだ国の武将は全て在野武将化するので、終盤になってくると在野武将の中からイベントに必要な武将を探すだけで大変な労力が必要となる。一回出奔してしまうティナもこの凄まじい数の在野武将の中から見つける必要があるわけだ。
  自分の国がどんどん攻めあがって片っ端から処刑しまくることで母体は減らすことが出来るが、それでも数十人は確実に在野武将化するだろう。そこから探索でランダムに出てくる武将から目当ての武将を見つけるというのは、もはや苦行の域に達する。

 結論としては…1国にこだわった展開が間違っているわけではないと思うのだが、とにもかくにもイベントの作り方がめちゃくちゃすぎて、本編のシステムとさっぱり合っていないところがこのゲームの全てではないかと。よほどメイマイ騎士団のキャラクターに魅力を感じない限り、前作(もしくは2)でいいじゃない…となってしまう。シリーズの黒歴史にしてもいいのでは…くらいの評価。