[Data]
ハード:Playstation
メーカー:バンプレスト/フライト・プラン
発売日:2000.01.06
ジャンル:シミュレーションRPG
実勢価格:150~300円(中古価格)

評価:★★★

サモンナイト

●あらすじ(公式HPより)
 「リィンバウム」は、かつて楽園とも呼ばれていた世界であった。魔力に満ちあふれた大地は、生きとし生けるものに豊かな恵みをもたらしてくれた。だがそれゆえにまた、この地は異界の侵略者たちに狙われ続けていた。強大な破壊の力をもつ彼らに対抗するため「リィンバウム」に暮らす人々はふたつの魔術を生み出した。「送還術」と「召喚術」。異界の者を退去させ、自在に使役するこの力で、彼らは侵略者たちを迎え撃ったのである。
 果てることなきこの戦いは、一人の青年の登場によって終演を迎えることになる。「誓約者(リンカー)」と呼ばれたこの青年は、「世界の意志(エルゴ)」の力を用いて強力な結界を張り巡らせ、異界からの侵略者を完全に追放してのけたのである。リィンバウムは、再び平穏を取り戻したかに思えた。
 だが、外敵を退けるための力は、そのまま同胞に向けられてしまうことになった。魔物たちによってもたらされた悪徳により人々は争うことを覚え、リィンバウムは楽園とは呼べぬ世界に変わっていった。

 そして今、リィンバウムから我々の暮らすこの世界に向けて、かすかに呼びかける声があった・・・。
「誰か、助けて・・・」
 届くはずのないその声を、一人の若者が受け取ったその時「召喚術」の輝きがふたつの世界の壁を貫いた・・・。不思議な声に導かれ学生がリィンバウムに召喚された!!

●概要
 シリーズ化されることとなるシミュレーションRPGシリーズの記念すべき第1作。制作のフライト・プランは2010年ごろ事業停止となったが、同社社員が立ち上げたフェリステラ社が2012年以降の続編制作に関わっている。
 イラストに飯塚武史(黒星紅白)氏、オープニングアニメーションはスタジオ・サインが担当。クォータービュー視点でターン制という、このころではかなりオーソドックスなシミュレーションゲームと言える。

 飯塚氏はちょうどこのころ小説「キノの旅」の挿絵を黒星紅白名義で描いていて、氏のイラストはそちらで知ったのだが、かわいらしいイラストと小説中身のギャップが非常に良かったなあ、と。現在20巻も出てるらしいが、見たのは半分くらいかな… 。サモンナイトシリーズは現在ほぼ飯塚氏のデザインで、もう飯塚氏以外のシリーズは考えにくいほどサモンナイト=飯塚氏になっている印象。

●アドベンチャー→シミュレーション→夜会話 の3パート構成 アドベンチャーパート
 ストーリーは「○話」の方式で進められ、全19話の構成。まずマップの移動や会話などでストーリーが進行する「アドベンチャーパート」があり、その合間にユニットを動かし敵と戦う「バトルパート」を進める。シナリオの部分部分では「夜会話パート」が挟まり、仲間のうち1人を選んで会話を行うイベントが発生する。

 アドベンチャーパートはシナリオ進行の中心になり、舞台となるサイジェントの街やアジト内のポイントを選択してキャラクターと会話したり、ショップで買い物をしたりすることができる。選択肢によっての隠しイベントや隠しキャラも。
 飯塚氏の描くキャラクターに加えて主人公以外フルボイスという仕様も相まってキャラクターに対するイメージが非常につきやすく、頭に入ってきやすい。イベント進行以外で各地に散らばっているキャラクターとの会話もかなり多く、それぞれの個性をしっかり把握することが出来る丁寧な作りに感じる。最終的にみんないい人たちすぎるでしょ…というのも、まあ全体の作風としてありかなという。

 マップ移動については、ポイントポイントを左右キーで順番に選択していく形式なので、中盤あたりのポイントが多い状態だとカーソル移動がちょっと面倒だったりと言った難点も。上下左右うまく配置できなかっただろうか。
 最終盤までお世話になるショップについて。装備品の購入前に「試着」が出来ると言うのがちょっと面白い試み。本来は買う時にステータスの増減が出てくれるのが理想だが、仲間になるキャラクターが30名にもなる今作だと表示も一覧もなかなか大変なので、仕方ないところか。

●バトルパート…仕様を理解してしまうと激ヌルバランスに
 オーソドックスなクォータービューで展開されるバトルパートは、味方となるキャラクター達から最大8名をユニットとして参加させて戦うもの。
 物理攻撃と召喚攻撃の2つを駆使して戦う。物理攻撃はユニットによって装備できる武器が決まっているというよくある形で、主に近距離武器・遠距離武器に分かれている。
 召喚攻撃は、主人公のみが使える「誓約」によって召喚獣の石を作り、その石を各ユニットに装備させて使用するというもの。他ゲームで言うところの魔法に近く、攻撃系はもちろん回復系のものも。戦いの最中手に入る5種類の「サモナイト石」と、装備品の一つである「アクセサリ」とを組み合わせて誓約を行うことで、さまざまな召喚獣を生みだすことが出来る。

 最初から最後まで「こちらが一定距離まで近づいてから敵ユニットが動き始める」仕様なので、ある程度攻撃してくる敵の数を予測しながら戦うことが出来る。そのため、強いキャラをとことん強くして突っ込ませるという戦い方が一番有効で、バランス良くいろんなユニットを育てる必要がなく、パートクリア後にもらえる経験値は少人数に集中投入するだけでOK。極論、主人公に全投入して単機特攻!でも進めちゃうくらいのヌルバランスだ。
 レベルアップすると各種パラメータアップのボーナスポイント振り分けができるが、ここもとりあえず攻撃のパラメータに全振りしておけば、大半の敵は一撃で倒せる。
 ただ、全体的にマヒや沈黙などの状態異常に弱すぎて後半のマヒや沈黙召喚連発の敵にはちょっとイライラさせられた。見た感じ、状態異常の回復は出来るが防御の手段はないように思えるが、アクセサリで用意できなかったもんだろうか。

●バトルパートその2…召喚術について
 上記の通り、召喚術は基本「誓約」で作成してから各ユニットで使用ということになるのだが、その誓約は「アクセサリ1つ×5種類のサモナイト石」で1アクセサリにつき5つの発動パターンがあり、アクセサリは全70種類あるので350ものパターンがあることになる。発動結果は発動してみないとわからず、すべてが召喚になるわけでもなく、アイテムが入手できる宝箱が出現するパターンもあれば、少量ダメージを受けるだけのハズレパターンもある。
 これだけのパターン数を何のヒントもなくこなしていくに当たって、そもそも疑問なのは「バトルパートでしか誓約が発動できない」ということ。当然のごとくコマンド1ターン分消費になるので、誓約を発動するとそのターンは攻撃できないことになってしまう。

 バトルパートでサモナイト石を集めて、アドベンチャーパート内で誓約ではだめだったのかなあと。バトルパートのターンを消費して行うということがかなり面倒で、単純なプレイ時間の間伸びにしかなっていない感じがする。

●夜会話イベント
 シナリオの合間合間に10回ちょっとくらいかな?挟まるのだが、何せ1回に選べるのが1人だけ、選べるキャラは最終的に15名以上にも…というわけで、全員見ようと思ったら相当の周回が必要となってしまう。今作はシミュレーションRPGとしてはクリアまでの時間が短いほうだと思うが(おそらく15~20時間前後)、それにしたって厳しいだろう。
  しかも会話自体も短くそれほど盛り上がらず、会話後の主人公の感想?も短い。繰り返しいろんなキャラクターのを見てみようかな…という方向に持って行ってくれない感がある。アドベンチャーパートではしっかり会話させて魅力が出ているだけにもったいない。

●総評
 せっかく召喚をメインテーマにしているのにその召喚関連が一番めんどくさい、というのが残念極まりない。アドベンチャーパート部分は全体の空気感・キャラの立て方・非常にいいものが多く、シミュレーション部分はごくごくオーソドックス。絶対プレイしとけ!という内容ではないけど、イラストに惹かれたならそこそこ楽しめるのでは。