[Data]
ハード:Playstation
メーカー:ナムコ/日本テレネット
発売日:1997.12.23
ジャンル:RPG
実勢価格:200~300円(中古価格)
売上本数:約83万本

評価:★★☆

テイルズ オブ デスティニー

●あらすじ
 若者の名はスタン・エルロン。望みは剣士としての名声を得ること。大国セインガルドを目指し飛行竜に密航したのもつかの間、モンスターの襲来によりスタンは絶体絶命の危機を迎える。
 しかし倉庫で見つけた1本の剣が彼の命を救った。「知能ある剣」ディムロスとの出会い、この出会いを境にしてスタンの運命は大きく変わってゆく。

●概要・基本仕様
 1995年にSFCで発売された「テイルズ オブ ファンタジア」の流れを組む、テイルズシリーズの2作目にしてPSでのシリーズ最初の作品となるファンタジーRPG。キャラクターデザインはいのまたむつみ氏、以降シリーズのキャラクターデザインをいくつも担当することとなる。
 アクション性の高い戦闘「リニアモーションバトル」や、DEEN「夢であるように」を主題歌に採用したオープニングなどが大きな特徴で、1997年の年末を盛り上げたソフト群のひとつだろう。オープニングをはじめとしたゲーム内のアニメーションはProduction I.Gが担当している。ゲームでのアニメーション制作は今作が初で、この後テイルズシリーズを中心に様々なタイトルに関わっていくこととなる。

●戦闘(E-LMBS)
 テイルズシリーズ特有のアクションバトル「リニアモーションバトル」は、第2作となる今回「エンハンスト・リニアモーションバトル」となった。PSにハードが移ったことによる最大敵数の増加・ エフェクトの強化などがメインとなっている。そのほか、前作であった「近距離・遠距離」の設定がなくなって簡素化された。前作でもそこまで違和感なく使えていたのでそこまでメリットとは感じなかったが。

 場所によって飛び抜けた難度になった前作と違って、今作は全体的に簡単になった印象。終盤短い詠唱時間で呪文を連発する敵だけが若干厄介だったくらいで、詠唱中に攻撃を1回当ててしまえばあとは突くだけという単純作業になりがち。ボス敵についても、大半が飛燕連脚の崩しにすら耐性がないので崩して攻撃し放題で、1回パターンに入れるとほぼ無傷で撃破できることすらある。
 あるボスに至っては、空中浮遊中じゃないと呪文が詠唱できないらしく、空中に浮かんだら叩き落とすだけでほぼ攻撃を封じることができてしまう。
 オートで動く他キャラの動きがえらく鈍いのもどうかと思うところで、呪文すら発動せず突っ立っていることもしばしば。L1で隊列を逆転させて無理やり敵に近づけさせるとか、謎の動きをさせないとまともに動いてくれない。
 敵も同様に、前に出てくる敵は活発に動くのに後ろに配置されている敵がほとんど動かない、なんてことも頻繁に起こる。敵味方問わず、AIの動きが非常に鈍い感じ。

●世界観・ストーリー・フィールドについて
 今作については全体的にファンタジアより薄いストーリーに思える。前作だとダオスの様々な事情がストーリーの中に入り込んでいた印象があるのだが、今回は悪役が全体的にストーリー上に出てきてもさらっと流されているイメージで、強く印象に残らない。単純に敵として見た時に”弱い”というのも一因な気もするけど。
 レオン関連のイベントは衝撃的…だったけど、セリフの割に展開自体はあっさり気味。いろいろ考えていくと、セリフ以外で入り込める要素がないので、セリフ量や内容によっての印象のみになってしまう、ということなんだろうと思う。もちろん当時のハードの制約があるので、フルボイスにするわけにもいかないし、ムービーを大量に突っ込むわけにもいかないのはわかるんだけど、それでも音楽の入れ方・場面場面の切り方・うまくカバーできていたゲームはいっぱいあったと思うんだけどなあ、と。

 ちなみに、世界の見せ方はこの時からあんまり上手くなかったんだなということがよくわかる。空飛ぶ乗り物(今作では飛行竜)が手に入るのは最後の最後、この段階で手に入れて世界を回ったところでサブイベント潰しにしかならない。これは次回作のエターニアでも同じことをやっているが、ここまで遅く登場させるくらいなら必要ないのでは?と率直に思ってしまう。
 フィールドマップは地平線が丸く表現された「グローバルスフィアマップ」になっているが、地平線の表現に重点を置きすぎたか角度をつけすぎて特に上下が見難い。画面下のパーティウインドウでの掛け合いは種類も多くて楽しいけどね。

 フィールドをくまなく探索しようにも、前作から続く異様なエンカウント率の高さが引っかかる。10歩くらいでエンカウントするんじゃないだろうかくらい高く、上記の戦闘AIの単純さも相まってフィールドに長く滞在したくない感覚に陥る。
 RPGとしては、歩き回っていろんなシンボルを探せるというのも重要な要素かと思うんだけど、どうもこの感覚は自分には合わなかったということかもしれない。

●ソーディアン
 今作のストーリー中の肝となる、意志を持つ剣ソーディアン。装備することでソーディアンの持つ呪文(晶術)が使え、ソーディアンも戦いを進めるごとにレベルアップして強化されてゆく。アタッチメントディスクと呼ばれる強化アイテムも存在し、装備することで攻撃力の強化や専用晶術の取得などが行える。

 ソーディアンを装備しないと呪文が使えないのでソーディアン装備が優先されてしまうこと・育てて強化+アタッチメントディスクによる強化を組み合わせると、結局他の武器を装備するよりソーディアンのほうが強くなってしまうこと。
 結局ソーディアンマスターである4名については、ソーディアン以外を装備する意味がほとんどないので最初から最後まで同じ武器で戦い続けることになってしまいがち、というところが惜しいなあと。いろいろ縛りプレイは可能かと思うんだが。

●総評
 ファンタジアの後継作・PSという当時最新ハードの作品…として見ると、進化したところが非常に少なく粗が多いと、何か物足りない作品のように思う。ファンタジアの後継ということで期待値高く見たのも確かだが。トライエースに移行しているスタッフもいたりして前作のスタッフからはかなりの変更があったようだが、だから許されるというわけでもないだろう。

 ここから余談。「戦闘時にセリフ音声がバグり戦闘終了後にフリーズ」「仲間にならないはずのキャラが仲間になる」など、バグの多さが当時からささやかれていたが、我が家であったバグは「エンカウント後に戦闘画面に移らず元の画面に戻ってしまう」というもの。結果シンボルエンカウントで先に進めなくなって一度断念した。