ザ・コンビニ~あの町を独占せよ~
コンビニチェーンのオーナーとなって店舗を展開し、シナリオをクリアしていくことが目的の経営シミュレーションゲームで、現在まで続く有名シリーズとなった作品の第1弾作品。96年にWindows版として初作がリリースされ、翌年にPS・SSへ移植された。製作はヒューマン、マスターピースはパソコン版の製作を担当したメーカーとなる。
シナリオは「都庁を誘致せよ」(街の人口を20,000人にする)・「10店舗建設する」といった内容で、プレイヤーはコンビニの出店場所から始まり、内装や店員の採用・商品の選定や販売価格などを自ら決定して自店の売上・利益を上げてゆく。利益を上げて、周辺の土地を買い取って様々な施設を「誘致」することで町の人口を増やし、さらに来客数を増やして利益を上げてゆく…というのが基本的な流れ。
同じ町にはライバル店が既に何店舗かのチェーン店を構えているが、謎の出店を繰り返したりするだけで目立ったことはしない。ただ、近くに店舗があると一部販売許可申請が必要な商品が扱えなくなるので注意が必要となる。
まず、シナリオが始まると新規出店の場所を決めるところからスタート。場所を決めたら、販売許可が必要な商品の申請を出すかどうか(今作ではたばこ・酒・医薬品の3種類・それぞれ有料)を決め、店舗の大きさを選択。
次に店長と従業員2名の計3名を雇う作業に入る。明らかに能力の低い人は数名いるが、ほとんどが勤務していく中で能力が上がってゆくので、そこまで気にせずとも気軽に選んでも問題ない印象。
あとはレジ・休憩室から棚の配置・商品の配置を決めていく。基本的には実際のコンビニのような配置をしたほうが売上が上がりやすいそうだが、最初は店舗の大きさが小さいためすべての商品を置くことは難しく、ある程度の取捨選択を迫られる。もちろん現実に即する必要はまるでなく、弁当オンリーやパンオンリーなど実質専門店のような作りにすることも出来るので、幅広いプレイが可能だ。
開店時間は24時間のほかに7~23時・10~18時・10~翌2時・12~翌4時・19~翌11時と全6種類から選ぶ形。店員の能力が上がってくるとほぼ24時間にしたほうが利益が出る作りなので、初期だけ時間設定をすると良い。商品については品目ごとの利益率の調整も可能で、やろうと思えばかなり細かく設定することもできるが、全品目一括設定が出来るのでそちらを使ったほうがわかりやすくていいだろう。
開店した後は放っておいてもそこそこの来客があるものの黒字になるほどは来ないので、知名度を増やすために「宣伝」を行い、人気を上げてゆく。さらに、町の中に様々な施設を呼び込む「誘致」を使って町の人口・自店周りの人口を増やし、売上増に繋げていく。
初級編のシナリオは人口を増やすことが目的で売上を増やすミッションではないが、売上・利益増は誘致できるだけの金額を稼ぐことが出来て人口増に直結していくので、誘致→売上増→誘致→売上増…というのが鉄板のコンボとなってくる。
地価の設定もある。繁華街になればなるほど周辺地価が上がるほか、年数が経つほどに全体のどんどん地価が上がってゆく仕組みとなっており、年数経過によっては誘致しようにも土地が高すぎて…ということも起こる。
出来ることがさほど多くなく一括設定もあるなど、この手のシミュレーションとしては軽くスタートできる点が非常に優秀で、いったん軌道に乗ってしまえばあとはほぼ放置で進む。退屈と言えば退屈かもしれないが。
駐車場をいくら増やしても駐車場に入れないお客さんが出たり、店員の能力を上げるとどれだけのお客さんがいてもレジを1人で回そうとするので買えないお客さんが出たり…と微妙な不備がちらほらと見られるが、最大の欠点は処理落ち。
店舗内でもお客さんが多数入ってくると途端に処理落ちし、カーソルの動きがガクガクに。店舗が増えて3店舗くらいになってくると、全体マップ上ですら処理落ちが発生して時間の進みが極端に遅くなるという有様で、店舗視察すら満足にこなせなくなる。
セーブ・ロードの仕様も注目で、まずセーブに驚愕の14ブロック・ほぼカード1枚まるまる使用というコスパの悪さに加えて、セーブに90秒・ロードに70秒かかる(しかもセーブ・ロード画面に目安時間として表示されている)というとんでもない遅さ。元がPCソフトから来ているので、その処理を家庭用にやらせた結果だとは思うが、改善方法はなかったのだろうか?
いいところはいっぱいあるのだが、とにかく処理落ちが痛すぎた。せっかくゲームとしての評価が高いのに処理落ちで台無しになった「シムシティ2000」と同じような感じ。