[Data]
ハード:Playstation
メーカー:SCE
発売日:1996.12.20
ジャンル:RPG
実勢価格:100~300円(中古価格)

評価:★★★★☆

ワイルドアームズ

 それぞれ重い運命を背負った3人の主人公たちが集い、復活した魔族によって荒廃する世界・ファルガイアを救うための旅を描いたRPG。3Dフルポリゴンで表現された戦闘画面や、西部劇・SFを組み合わせたファンタジー世界などが大きな特徴。

 中身はとにかくオーソドックスなRPGで、特徴のあるシステムと言えば戦闘中に自動でたまる「フォース」やストーリーの根幹にもなるロディの武器「ARM」・ダンジョンや町の中で使えるキャラ固有の「グッズ」くらい。「マテリアル」は装備する召喚獣ってところ。

 戦闘以外の画面は通常の見下ろし型2D画面。この時期になっての2D画面は地味に見えるが、3Dが得意なハードだからといって無理に3Dにする必要はないわけで、2Dでもグラフィック的に全く違和感はなく、むしろ2Dらしいうまい表現をしている。PS初期のRPG…アークザラッドシリーズでもそうだが、SCE各制作メーカーの2Dの使い方はとてもうまかったと思う。

 ストーリーも素晴らしい。個人的にストーリーでゲームを評価することは少ないんだが、3人が3人それぞれに背負うものがあって、それが本編の中でうまいこと関わってくるというのが絶妙。ザックの話なんかはかなりベタな内容なんだが、それを感じさせない進め方が良かった。ロディについては素直にびっくりできたし、感情移入が素直にできるストーリーってのはいい。詳しいことはわからんけど、セリフ部分の使い方がうまいんだろうな。

 それから、ダンジョンにはかなりのところで何かしらの仕掛けがあるのだが、難しすぎないし理不尽でもない、アクション的な要素もそこそこあると非常に面白い。このゲーム以外だとエストポリス伝記シリーズがこんな感じの小気味いい仕掛けをしていたRPGだったと思うが、それを思い出させる出来のいい仕掛けの数々のように思う。

 基本システムとしては、フィールドで最初から使える「ダッシュ」・ボタン一つでヘルプ参照可・戦闘面では十字キーの4方向で選べる戦闘コマンド・覚えやすくて使いやすい「フォース」など、こちらもオーソドックスながら気持ちいいくらいの配慮がなされている。クリア後のお楽しみはないものの、隠しボスや隠しイベントなども。通常にプレイすると20時間そこそこでクリアできてしまうので長いストーリーではないが、 こういった隠し部分を探すのも楽しいかも。

 戦闘画面については、同時期にFFVIIが出てるとは思えないガキガキグラフィックとキャラの無表情っぷりに苦笑いって感じだが、 無駄な動きが少ないせいかテンポは良かった。動きが少ないゆえにしょぼしょぼに見えるのも確かで、2Dフィールドとのギャップはかなりあるような気がする。 あとデフォルトのカメラアングルに難ありで、大きなモンスターだとアングルによって与えたダメージが見えなかったりすることもあったのは微妙なところ。

 ほか、戦闘についてはいろいろと難がある。バランス自体は簡単に取られているように思うんだが、バッドステータスが無駄に多いのも一つ。「バッドオーメン」とか「病気」とか、普通にいらない(かかることすら少ない)ステータスがあるし、逆に眠りや混乱などはかけてくる敵が多い上に回避率が低いという有様で、かかったら戦闘時間が無駄に間延びするなどの難点もあった。

 それでも、最近RPGをプレイする気力がなかった自分でもまったく歩みを止めずにクリアまで持ってこれた良作RPG。音楽面も世界観とばっちりマッチしていて素晴らしいし。オーソドックスがこんなにいいかと思わせてくれる見事な作品でした。オススメ。