[Data]
ハード:Playstation
メーカー:SCE/メディア・ビジョン
発売日:1999.09.02
ジャンル:RPG
実勢価格:200~300円(中古価格)

評価:★★★★☆

ワイルドアームズ 2ndイグニッション

 どこにでもいるような青年、「アシュレー・ウィンチェスター」。騎士団付属の銃士隊に所属する新米隊員アシュレーは、古代遺跡における巨大怪獣覚醒騒動の際、目覚しい活躍をみせる。この功績が、彼を緊急任務遂行部隊、『ARMS』へ配属させることになる。だがこのことがこれからの運命、ひいてはファルガイア全土を巻き込む「焔の災厄」の始まりであることは知る由もなかった・・・。(PS公式サイトより)

 荒野の広がる世界ファルガイアを舞台にしたRPGシリーズ第2弾。「英雄」をテーマに、「英雄」になりたいと願うアシュレー・「英雄」でなければならないとそれに応えようとするブラッド・「英雄」として尊敬する姉に追いつこうとするリルカ・「英雄」として人柱になることを求められるティム・「英雄」の末裔に生まれその縛りに苦しむカノン。プレイヤーキャラクターそれぞれが英雄に縛られ、英雄とは何かを求めてゆく。

 前作も熱い展開(意地悪な言い方をするとベタベタな展開)が散りばめられていたが、今回もシリーズ作品の名に違わない熱い展開の数々。その熱い展開を引き立てるのが、今作特有の「ヒーロー感」。
 冒頭の事件により、アシュレーは黒騎士ナイトブレイザーという変身ヒーローに(ストーリーが進むと金色のオーバーナイトブレイザーに進化するオマケつき)。ボスの登場シーンはウルトラマンを髣髴とさせる赤バックに黒シルエット。ARMS本拠地になる豪邸「ヴァレリアシャトー」は謎の仕組みにより空を飛べるように。序盤~中盤の敵となるオデッサの面々はヒーローものの悪の幹部っぽくそれぞれキャラが立ち、特に頭領の恋人でありながらも過去の憎しみを抱えるアンテノーラあたりはベタ設定ながらもうまく物語に溶け込んでいる。
 特撮もの・ヒーローものというのはベタベタな展開を数多く取り入れていたが、同じスタンスを取り入れることで世界観を壊さず面白いストーリーに仕上げた、改心の内容。当時は批判的な意見も多かったと聞くが。

 キャラクターそれぞれに多数の魅力が詰まった作品だが、中でも「剣の聖女」アナスタシアが少ない出番ながらもいいスパイスに。祭り上げられた「英雄」に対しての答えがこのキャラクターに詰まっていたと思う。

 戦闘部分はRPGとしてはごくごくオーソドックスで、戦闘中の行動で溜まるフォースポイント(FP)を用いた技魔法関連・装備して使う召喚獣的な「マテリアル」など、基本的に前作を踏襲している。
 移動中の回復がアイテムでしか出来ない(しかも後半になるまで店で買うことも出来ない)という少々特殊なシステムだが、戦闘ではフォースアビリティを使わなければFPの消費がない(弾数制限のあるアシュレー・ブラッド以外は通常技が実質無限に使える)仕様のため、”回復は戦闘中に行う”と徹底していればさほど苦になる内容ではない。
 ザコ敵は通常技を使えばほぼ一撃(アシュレー・ブラッドは通常攻撃でもほぼ一撃)、ボスは少々手ごたえがあるものの体力が少ないせいか短期決戦になることが多く、全体のバランスとしては簡単な部類かと思う。
 ポイントを振り分けて能力値アップや耐性をつけたり出来る「パーソナルスキル」というのも搭載されたが、クリティカル・アドバンスドガード・カウンターあたりの一部スキルがバランス崩壊に近いくらい強い。クリティカルを3レベルまでつけると、体感20~30%位のクリティカル率になるのではないだろうか。
 前作と比べるとグラフィックも進化してエフェクトも派手になったが、弊害としてもっさり感も出てしまい、戦闘がちょっと長い印象になってしまったのは残念だ。

 戦闘といえば、今作ではフィールドエンカウントの際に「!」の噴出しが出るのだが、マークが出ている間にボタンを押すことで戦闘突入をキャンセルできる「エンカウントキャンセル」が導入されている。余計な戦闘を避けつつ進める点は大きかったが、ダッシュの際のキャンセルがやりにくかったな・・・と思う。(メニュー画面を開けば解決するんだが)
 エンカウント噴出しについては、緑の噴出しが「初めて会うモンスター」・赤が「不意打ちなど」・白が普通と色分けされている。道中「怪獣図鑑」というコンプリート要素が出てくるが、この噴出しのおかげで判別がしやすく、非常に便利なシステムだ。その代わりなのか、局地的にしか出現しないモンスターがかなり多く、これだけ親切な仕組みがあってもコンプリートは相当骨が折れることも追記しておこう(通常プレイだと80%埋まれば頑張ったほうじゃないだろうか)。

 2D1枚絵で構成されていたフィールドグラフィックは今作から完全3Dになり、360度回転が出来るようになった。コンパスがついているので迷いにくい・・・と思いきや、迷いやすい構造のダンジョンが多くなっていて困ったもの。ついていること事態はうれしいことだが。
 前作でもさまざまな仕掛けがあり、各キャラクターの持つ「グッズ」を駆使して進んでいたが、今作も各キャラ最大3個づつのグッズが用意され、キャラとグッズを切り替えながら進んでゆく。プレイヤーキャラクターは前作の3人から6人に、グッズの数も前作の9から18までそれぞれ倍増したのだが、グッズがさすがに多すぎてほぼ使い道のないものも出てきている。
 手に入れたところ以外ほぼ出番がないものとしては、リルカのチェンジロッド・ブラッドのアースシェイカーやカノンのジャンプシューズあたりがあるが、もうちょっとグッズ数は整理しても良かったんじゃないかな、という感じ。ちょこちょこ挟まるアクション性・パズル性の高い仕掛けはさすがの一言。よく考えられてます。

  フィールドについては、情報を聞いてフラグを立ててから、□ボタンでサーチすることにより街や施設・ダンジョンを発見する「サーチシステム」が導入された。フラグを立ててからというのがなかなかの曲者で、中盤以降に複数存在する隠しダンジョンについても、どこかしらで情報を聞かなければいくらサーチしても出てこない事態になったりするし、サーチしなきゃならないのかと思って一生懸命探したら実はサーチが必要なかった(最初から出現してた)という場所まであったり。
 途中、カノンの能力により画面左下にレーダーがつき、フラグが立ったがサーチで発見できてない場所を記してくれたりするが、1回発見してしまうと何も表示されなくなってしまい、少々不親切。街はポイント表示されるのだから、ダンジョンやそのほか施設も同じように表示してくれるとありがたかった。

 プレイ時間は40時間を軽く超えるほどで、ボリュームもたっぷり。多数登場した初代PSRPG群の中でも上位に入る作品なのは間違いない。歯ごたえのない&もっさりな戦闘がちょっと惜しいけれども。