[Data]
ハード:Playstation
メーカー:ナムコ
発売日:1996.07.26
ジャンル:スポーツ・野球
推定販売本数:約40万本
実勢価格:50~100円(中古価格)

評価:★★★★

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[Review] 2012.01.06

ワールドスタジアムEX

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 ファミスタシリーズ製作でおなじみ、ナムコの野球ゲーム。プレイステーションでは初のナムコ製野球ゲームとなる。
 ”ファミスタ”は任天堂の家庭用ゲーム機専用名称となっており、パソコン版や携帯アプリを除いては、セガ・ソニーをはじめとした他社ハードには一切この名前が使われていない。2012年現在でもこの仕組みはしっかり守られているのだが、ナムコにこだわりがあってのことなんだろうか。それとも任天堂の問題か?

 さて、スーパーファミスタ4あたりからパワプロを意識したのかどうなのか、投球・打撃画面に高低をつけ始めたりして若干の迷走が見えたこのシリーズだが、ワースタに変わってからは従来通りの見下ろし視点に戻った。(PSでは最終的に5作出たが、全て視点は同じ)

 ワースタになって変わったところは様々あるのだが、グラフィックの面はハードが変わったことでもちろん大幅にパワーアップ。全ての球場がフルポリゴンとなったほか、ホームラン時には様々なアングルでのリプレイが流れるようにもなった。そのほか、守備画面での全てのプレー中にSTARTボタンを押すことで、プレー終了後にリプレイを出すことが出来るようにもなっている。ファインプレーの際にリプレイを流す、といったような使い道になるだろうか。

 守備画面は従来通りの見下ろし視点だが、モーションが大幅に改良されて動きが良くなったほか、十字キーのタイミングにより送球スピードが変わるのも従来作品よりさらにわかりやすく、小気味良い操作性に進化している。
 打球の飛び方と送球のバランス・球場と選手の大きさのバランスなど、守備面については他の野球ゲームではなかなか追随できないほどの高水準。ダブルプレーを取るのがこんなに楽しいゲームはなかなかないぞ。これがワースタ1作目からほぼ完成されていたというのがナムコの凄いところだと思う。

 投球・打撃システムも大幅に変更された。
 投球については、今までは十字キー左右で投げ始めるマウンドの位置を選び、投球を開始してから十字キー左右で変化の曲がり具合を調整するという形だったが、今回は十字キーで変化球を選択し、画面下のキャッチャーミットでコースを選択するという、パワプロなど他の野球ゲームでおなじみの方式に(視点は違うが)。今までのような変化球の軌道の調整は出来なくなっている。
 今までのシステムだとスライダー・シュートとフォークしか再現できなかったが、変化球の選択によってカーブなどが加わったこともあってか、カーブ・フォーク・シンカー(スクリュー)などの縦に落ちるタイプの変化球に関しては、途中で急激にスピードが落ちるという形となった。従来のフォークボールは振っても当たらないラインに落ちていくというものだったので、今回はタイミングさえ合えばフォークも普通に打てる。

 打撃は、十字キーの上下でスイングをミートかパワーの2種類から選択し、L2/R2ボタンで「引っ張り打ち/流し打ち」ができるようになった。何も押さないとセンター方向中心のバッティングとなる。上下をスイングタイプに使ったので、バッターボックス内での移動は左右に限られ、上下の移動は出来なくなった。

 冒頭にもちょっと書いた通り、ワースタシリーズはPSで全5作出ているのだが、この投球・打撃システムを採用したのはこの作品のみ。2以降はほぼ昔ながらのファミスタと同じシステムに戻っている。PSワースタ第1作ながら、今ではファミスタシリーズの異端児のような存在になってしまった。…ってことで、このゲームを駄作と見る向きもあるようなのだが、素晴らしいシステムだと思うんですよね、個人的には。ただ、ちょっと敷居は高くなってしまったように感じる。ミートスイングとパワースイングとでタイミングが異なるので合わせるのに慣れを必要とすること、L2/R2の引っ張り・流しをうまく使えないと、思った以上に打てないこと。

 名前は変わってもファミスタシリーズ、誰でもすぐにプレイできるというのがいいところだった。さて、このゲームがそうだったかというと…。
ファミスタシリーズ作品、というところが首を絞めたのかなという部分と、ミート・パワースイングをタイミングの違いにしてしまったのも痛かったかもしれない。ただ、守備を初めとした全体のバランスはナムコじゃないと実現できないだろうくらいの素晴らしいもので、慣れれば今でも十分楽しめる。グラフィックやシステムの進化が凄まじい野球ゲームの中にあって、これだけ楽しめるのは貴重だと思うんですが。いかがでしょうか。

 新しいモードとして、テストを通じてオリジナル選手を作る「分身くん」が登場。ナムコってこういうモード好きだよな、と思いつつ。とりあえず、投球の的当てがちょっとむずかった。的がかなり小さいので3ptを稼ぐのにかなり慣れが必要ではないかと。守備・走塁のほうがやりやすいんじゃないかな?

 当時、ナムコはネジコンという真ん中をぐりっとねじれる変なコントローラを出していて、このゲームはネジコンを使った感覚的なバッティングが出来ると評判だったのだが、さてネジコンを使って何人このゲームをプレイしただろう。

 野球ゲームをそれなりにやりこんだ経験のある人ほど一度はやってみてほしいゲーム。逆にあまりやりこんでいない人は、ワースタ2から入ったほうがやりやすいのは間違いない。古いと思わず、飛びついてみてくださいよ。騙されたと思って。

 試合終了後には、リザルト代わりの「日刊ナムコスポーツ」が刊行され、これを保存したりも出来るようになっている(シリーズ恒例となった)が、この中にあるナムコキャラやゲームをもじった広告センスの良さは必見。「アンドアジェネシス シャンプーハット」や「ポールポ辞書」「RIDGEドライビングスクール」などなど。”究極の食品包装 ファイナルラップ”には爆笑した。