[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:テクモ
発売日:2002.12.05
ジャンル:アクションアドベンチャー
実勢価格:200~300円(中古価格)

評価:★★☆

[Review] 2020.05.18

アルゴスの戦士

●ストーリー
舞台は古の孤島・アルゴス島。

海洋の楽園の誉れ高きこの島の運命は、邪悪なる古代生命"titan"の復活によって一変する事となった。

天変地異が大地を切り裂き、人々の魂は禍々しきモンスター達に奪われ、
残されたすべては"titan"の支配下に置かれ、
楽園は一夜にして地獄と化した。

突如としてアルゴス島を襲った深き絶望の闇、希望は一片の欠片すら残されていないかの如き状況の中・・・
一人の戦士が運命に導かれ立ち上がった。

彼は伝説の神具を手に、単身危険なモンスターの巣窟を目指す・・・。

●概要
 1986年にアーケードで、そして1987年にはファミコンでリリースされたテクモのアクションゲーム「アルゴスの戦士」を、同社が15年ぶりに同名作品としてリリース。
 周囲に刃が付き、伸縮自在の鎖でヨーヨーのように操ることが出来る盾型の神具「ディスカーマー」を操って、攫われたハルモニア姫を助け出すために立ち向かう青年ゼーンを操ることとなる。

●システム
 □・△ボタンでの攻撃と×ボタンのジャンプとR1のガードをメインとするアクションゲーム。最初はディスカーマーを振って攻撃するくらいしかやることがないが、途中で冥・天・海の3種のディスカーマーが手に入ると攻撃のバリエーションが大きく増え、L2/R2で使い分けながら進めることが出来るようになる。近距離攻撃用で攻撃速度の速い海、中距離攻撃用で出は遅いが攻撃範囲が広い天、遠距離攻撃用で攻撃速度は普通・直線的な攻撃の冥と特徴もはっきり分かれており、L2/R2の切り替えも一瞬なのでストレスなし。
 このような武器を使ったゲームはほかにないと思うが、挙動や切り替えなどよく考えられていて、敵によっての使い分けが楽しい。ボス戦ではほぼ冥か海・ザコ敵相手では天がメインになりそうだが、自身のスキルや使い勝手で変えてもいいだろうし。

  さらに中盤以降になると、鎖の伸縮を使った専用の移動アクションが追加され、離れた足場を移動することが出来るようになったり、空中のスイングターゲットに引っ掛けて連続移動することが出来るようになる。ゼルダのフックショットみたいな感じ?を想像してもらうといいのかな。他には、ディスカーマーごとに異なる召喚獣を呼び出すことも出来るようになる。これがないとダメージを与えられない敵も。

 ディスカーマーは、様々な場所で手に入る「秘石」を装備してカスタマイズすることもできる。攻撃力・防御力などの基本パラメータアップや、ガードキャンセル・ダッシュなどの特殊行動を追加するものなど全25種類。

●ストーリー
 同名作品の復活という形の本作だが、ストーリーに前作までとのつながりは全くなく、そもそも舞台背景がまるで異なっている。アーケードのアルゴスの戦士は”西暦19XX年…”と始まる完全な世紀末で、FC版は加えて”聖地アルゴール””伝説の五神インドラ”と、割とインドの神話をモチーフにした世界観だったように見えるが、本作は完全に古代ローマ・ギリシャをモチーフにしたものに変わっている。

 序盤から敵はわかっているというか、そもそもまともにストーリーに関わる登場人物が5~6人しかいないので、わかりやすいと言えばわかりやすい。おそらく少ない登場人物をセリフでカバーしようとしたんだろうが、おかげでみんなのセリフがものすごい説明口調になってしまい、誰に解説しようとしてるの?みたいな感じになってしまった。
 次の行き先を話すだけで「あの方角はアルゴスの中枢部、歴代勇者の墓所があるという『エリシオン宮殿』」などと観光に来た人への説明みたいなことを言ったり、途中登場するクレオパトラはエジプト王国侵略などの重要な話を独り言で長々と説明しだしたり。それをなぜかすぐ真下で聞いているゼーンというおまけもつく。
 ”とりあえず姫を攫った悪い奴を倒す”のは伝わるんだけど、それ以外の話はすごく駆け足というか、説明を聞いているだけというか。もう少し登場人物を増やすなりイベント増やすなりして、プレイの中で追わせてくれると良かった。

 道中いろいろなところで拾える書物や石板などである程度補完できるようにもなっているが、そもそもこれってメインイベントの補完に使ってはだめなやつだと思うんで、使いどころとしてもどうかなあと。

●グラフィック…美麗だがカメラワークに問題あり
 グラフィックは相当美麗。これがPS2の前半、2002年に発売されたものとはとても思えない水準だ。序盤の神殿のほかに水・砂・溶岩などフィールドも多彩で、どれも見事な表現。
 様々なオブジェクトを破壊できるのも特徴となっていて、倒れている柱や石の他にも、いろいろなところに置いてある壺・神殿の脇に立っている石像や柱まで破壊できる。破壊するとアイテムが手に入ることもあるので重要な要素だ。
 これについては、どれが破壊できるか破壊できないかが攻撃してみるまでわからず、結局しらみつぶしに攻撃しまくることになってしまったので、いい点ばかりでもなかったように思う。わかりやすいグラフィックにするわけにはいかなかっただろうし、難しいところだけど。

 場所場所でカメラが完全固定されていて、これがグラフィックの素晴らしさを一層引き立てているようには思うんだが、固定されている方向が場面によって本当にバラバラ。上に向かった次の画面が下に進むようなカメラワークになっていたり、一部のボス戦でも頻繁にカメラが変わってそのたびに移動方向を変える必要に迫られるなど。
 マップ全体がさほど広いゲームではないが、方向ではなくて接続されるマップの形で覚えなくてはならないので、ステージの全体像をつかむのに相当苦労する。右下にミニマップを常時表示できるようにはなっているんだけど、それを見ていても難しい場面が多々ある。

●敵について…ボスとザコの力の入れようの差が凄い
 ボスはどれもバリエーション豊かで、攻撃できるタイミングが決まっていたり足場が変わったり、かなり考えられていると感じる。初見クリアはなかなか難しいが、戦っていくうちに何となく掴めるようになるレベルなので、やりがいもある。
 問題はザコ敵。最初から最後まで、出てくるザコ敵は芋虫みたいな「ロルファ」(昔のアルゴスの戦士にも出てきた丸くなるやつ)、花と人間が合成したみたいな見た目の「ヒヤキントス」、ふわふわ浮いて距離を取りながら攻撃してくる「ハルピュイア」、炎を飛ばしてくる蜘蛛「アラクネ」の4種類しかいない。あとはミニボス的な感じで少数出てくる「サイクロプス」がいるくらい。ロルファ・ヒヤキントス・ハルピュイアは色違いで3種類いるものの、一部を除いて攻撃方法もほとんど変わらない。
  種類も少なければ敵の絶対数も多くなく、せっかくのディスカーマーを有効活用しきれない感が出ている。

●総評
 気合の入っているところと入っていない(と思われる)ところが極端。クリアまではおおよそ5~6時間と言ったところでボリュームもそれほど大きくない。プレイしやすいボリュームと言えるのかもしれないが。
 もう少し敵の配置などでアクションの部分をしっかり押すことが出来れば違ったかもしれない。いいところもたくさんあるだけに何かもったいない感じ。