[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:カプコン
発売日:2002.08.22
ジャンル:レース
実勢価格:100~200円(中古価格)

評価:★★☆

 

アウトモデリスタ

 グラフィックをトゥーンレンダリングによるアニメ調で表現したことで話題となった、カプコンのレーシングゲーム。11メーカーの60を超える実在の車種を採用し、サーキットも実在の全7コースが収録されている。

 最大の特徴であるトゥーンレンダリング(カプコンでの公式名称は”アーティストゥーン”)は、本来は格ゲーなどに使うのが一般的だとは思うし、それを使ったゲームは後に多数登場したわけだが(ドラゴンボールZシリーズあたりが有名)、このグラフィックをレースゲームに使うという発想がまず面白い。
 このころすでに”ドライビングシミュレーター”が一般的となり、求められていたのはとにかくリアルなグラフィック。グランツーリスモも3がすでに登場していたときにあえてこのグラフィックで来たというのは、インパクトとしてはとても大きかった。
 実際にグラフィックは高い水準だと思う。建物を中心に簡略化されてるようには見えるものの破綻しているわけではなく、(うまくごまかしたという見方も出来るが)プレイになんら支障のない水準は確保できている。高速で走っているときに風の効果線が出る演出など、トゥーンレンダリングだからこそ出来るものもあり、高いスピード感を味わえる。

 リプレイ機能が豪華なのも特筆すべき点で、レース終了後のリプレイ再生はもちろん早送り・巻き戻し機能に対応するほか、リプレイデータをセーブした後VJ & Theaterモードの「remix mode」でリプレイ映像にエフェクトやサウンドを加えてオリジナルの映像を作ることが出来る。エフェクトの数自体はそれほど多くないもののなかなか楽しめる作りだが、全てを1ボタンでやらせることにこだわりすぎたためか、簡単そうに見えてかなり難解な操作を要求されるのが残念。

 アクセルを踏んで5秒足らずで200km/hに達する驚愕の加速性能(加速重視の場合だが)や軽快すぎるコーナリングなど、挙動についてはお世辞にもリアルとは言えないが、先に書いた通り「ドライブシミュレーターではない」ので、レースゲームとして考えるならありかなという感じ。リアルを追及しすぎてもはやゲームにならなくなったDRIVING EMOTION TYPE-Sみたいなゲームもあるので、ゲームとして楽しめるならそこそこ許容範囲と言えるだろう。
 とは言え、プレイしているとドリフトの感覚がまったく養われず、ほぼほぼグリップでのコーナリングになったのは気になった。これがこのゲーム自体の仕様なのか自分の腕なのか定かでないが、ドリフトを使った爽快なコーナリング!というのは味わえなかった。

 ゲームメニューはシンプルで、1戦のみの「ARCADE」と、さまざまなカップ戦を勝ち抜きパーツや選択できる車種を増やすメインモード「garage life」、先に紹介した「VJ & Theater」と、KDDIマルチマッチングBBを使った通信対戦が楽しめた(現在は終了)「network」の4つ。ほぼgarage lifeモードでのプレイになるだろう。

 そのgarage lifeモードでは、車種を選びレースに進み、レースで1位を取るとランクが上がって…を繰り返す。レースのたびに新しい車を選択できるようになったり、新しいパーツが貰えたりする。
  この車については買うわけではなくリストから選択するだけで乗換えが可能なので、最初から大半の車に乗れることになる。この車をチューニングしたあと、気に入った車については「サブガレージ」に置くことが出来る。
 サブガレージに置けるのはいいとして、最初から何の苦労もなく大半の車が選べてしまうのはどうなんだろう?クラス分けも何もなく、能力の違いもまったく関係なし。楽は楽なんだが、ゲーム自体のボリューム感としてはちょっと寂しい。

 チューニングに関しては、パーツごとに設定できるのはもちろん、この手のセッティングが苦手なプレイヤー向けに「easy tune-up」という簡単セッティングモードがあり、コースごとにオススメセッティングを自動でやってくれる。セッティングできるパーツがそれほど多くないのでわざわざ自動にしなくてもいいような気もするが、間口の広さはあるだろう。チューニング以外にも、外装パーツを交換する「dress-up」もあり、こちらは純粋に面白い。

 コースが7つしかない(一部リバースコースはあるが)のでレースのバリエーションが少なく、飽きやすい作りになってしまっているのは難点だろう。車を集める楽しさがあればまだ・・・というところだが、最初からほぼ揃っている状態ではそれも望めず、肝心のgarage lifeのレースも必須レースの数が少なく、すぐ全レースクリアまで持っていけてしまう。
 ガレージのデザインをいろいろ変えられたり、上記のリプレイ編集モードなど妙な部分にこだわりがある一方、本編の薄さがどうしても引っかかる。出荷数が多かったせいかワゴンセールの常連みたいなゲームになっており、店頭もネットもとにかく安い。今買えば値段なりの元は取れるゲームだとは思うが、これを純粋な発売価格でとなるとコスパの非常に悪いゲームと思われる。