[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:スクウェア・エニックス/キャビア
発売日:2005.12.08
ジャンル:アクションアドベンチャー
実勢価格:200~500円(中古価格)

評価:★★★★

[Review] 2015.09.22

ドラッグオンドラグーン

 帝国軍の侵略によって崩壊を迎えている世界を舞台に、ドラゴンと「契約」し帝国軍と戦う主人公カイムを操る、無双系3Dアクションゲーム。製作は続編の「ドラッグオンドラグーン2」や「ニーア・レプリカント/ゲシュタルト」「ビートダウン」などの制作を担当するキャビア。スクウェア・エニックスでは初めての(前身含めて)無双系アクションゲームとなる。

 多数の敵をなぎ倒す無双アクション「地上モード」に加え、地上モードからの切り替えでドラゴンに騎乗し敵を殲滅する「低空モード」・ドラゴンに騎乗し空中の敵を倒す3Dシューティングの要素を含んだ「上空モード」の3つの戦いがあり、ステージによって地上か上空かのどちらかが適用される。低空モードはステージによって移行できるかどうかが変わる。

 地上戦については、事前に装備する最大8つの武器を切り替えて戦う。基本は□の攻撃とコンボの締めとして発動させる△のフィニッシュブロー。フィニッシュブローの発動できるコンボ数が武器によって決まっているものの、基本的には弱強攻撃に近いので違和感は少ない。武器それぞれには魔法が設定されていて、フィニッシュブロー発動時以外の△ボタンで発動。通常攻撃で溜まるゲージでの発動となる。同じボタンなので、慣れないうちはフィニッシュブローを出すつもりが魔法になることも多い。
 武器は剣・長剣・斧・槍・ロッド・ポールアックス・メイス・ハンマーの8種類・計65種類もあり、すべての武器に1~4までのレベルが存在、レベルが上がると攻撃力やコンボ数・魔法ゲージストック増加などの特典が付く。経験値に当たるのはその武器で倒した敵の数で、後半の武器になるほどかなりの敵を倒す必要があるが、やり込み要素としては十分なボリュームと言える。
 問題は「取得方法が難解なものが多い」ことで、ストーリー上の拠点を探して手に入るものは半分ほどにすぎない。”マップ上の一定エリアの敵をすべて倒す”あたりはまだ良心的で、”~分以内に該当エリアの敵を倒す”とか、”~分以上経過させる””残り体力~%以上で”など、ノーヒントで条件を見つけるのが至難の業なものも多い。
 一番凄かったのは「フロアにある部屋を一定の順番で殲滅しながら回ると最後の部屋に宝箱が出現」という古の魔王のパターン。攻略で出回ってるパターンと少し違っても宝箱は出現したが、これが全くのノーヒントというあたりが…

 地上戦からの切り替えとなる低空モードだが、ドラゴンの炎が圧倒的な威力で、地上の敵をガンガン倒せる爽快感が魅力。半面、弓などの遠距離攻撃持ちの敵が多くもの凄い数の攻撃が飛んでくるので、かわしながら進むのは正直言って困難で、使いどころが非常に限られる。強いからこその制約なのはわかるのだが。

 上空モードについては、3D視点で帝国軍の空中兵器やドラゴンなどを撃ち落としていく。□で直進する炎(高威力)・□長押しでロックオンからの自動追尾するファイアーブレス(低威力)の基本攻撃2種類と、基本攻撃命中で溜まる魔法ゲージを使った、△ボタンで発動する自動追尾高威力のレーザー攻撃「大魔法」がある。○でターゲット変更・×で高速前進・L1/R1で左右に高速スライドする回避行動が取れるほか、L1とR1の同時押しで180°回転し真後ろを向くことが出来る。L2はターゲットに視点を向ける・R2はターゲットの方向に自動変換となっている。
 明らかにロックオンからのファイアーブレスが使いやすいが、 前半はまだしも後半のボス級になると低威力すぎて火力的に使えず、後半はロックオンなしの炎を命中させる戦い方が求められる。
 こういったゲームの宿命なのかもしれないが、上下の現在地判定及び命中判定がわかりにくく、避けたと思ったら当たったり、上下の範囲ギリギリまで進んでいてそれ以上進めずに狙い打たれたりといった事態が度々発生するほか、L/Rを総動員する操作系で方向転換やターゲットへの視点変更に対応しているが、高速で動き続ける後半の敵には対応しきれず、一回視点をおかしくしてしまうと元に戻すのにかなりのタイムラグを食ってしまい、敵に狙い打たれる。うまく扱えるようになれば地上戦以上にスピード感があって面白いのだが、いかんせん惜しい。

 登場人物それぞれの闇の部分が垣間見えるストーリーは、とにかく暗いの一言。マルチエンディングだがどれもこれも大団円にはならず、そこまでに主要な誰かが死ぬ。道中が暗くても最終的にはそれなりに落ち着くことが多い中、今作に関してはどれもこれも救いがないが、すごく印象に残るし、定期的に見たくなる。結構衝撃的だけども。Bとかね。Eとかね。
 家弓家正氏・林原めぐみ氏・山寺宏一氏・郷里大輔氏・宮村優子氏をはじめとした豪華声優陣の中、主人公カイムとレッドドラゴンを演じるピーター(池畑慎之介氏)の1人2役が秀逸なほか、「リロ&スティッチ」でリロの声を演じていることでも知られる、当時10歳の山下夏生さんの好演も見もの。イウヴァルトの唐沢寿明氏もさすがでしたね。さすがウッディやってるだけのことはあったか。フリアエ役の初音映莉子さんは、演技も良かったけど歌のほうが印象に残ってる。

 全力で「終り」を叩きつける感覚。大団円もなく、ただただ絶望感の残るエンディングたち。難易度がそう易しくないので誰しも手を出せる作品ではないが、この狂った世界観も魅力と思わせる作りには驚くばかり。異色作品としてぜひプレイしていただきたい。