[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:アイディアファクトリー
発売日:2001.08.09
ジャンル:シミュレーションRPG
実勢価格:200~300円(中古価格)

評価:

ジェネレーションオブカオス

 さまざまな国がひしめく世界「ネバーランド」を舞台に、ひとつの国を選び他国を倒して大陸統一を目指すシミュレーションゲーム。PSで発売された「スペクトラルフォース」シリーズの流れを汲み、今回からは”第2次ネバーランド大戦”と呼ばれる争乱が舞台。続編に近い作品。後に正史扱いでシリーズ化され、現在も続編や派生作品(カオスシリーズ)が展開中。従来シリーズの1000vs1000バトルとまでは行かないが、この作品も最大200vs200の戦闘シーンが繰り広げられる。
 コマンドによるターン制で敵国を滅ぼすシミュレーションパートと、一部城や洞窟などを探検してアイテムや武将を探すRPGパートと2つのパートがあることが大きな特徴となっている。

  まずメインとなるシミュレーションパートについてだが、自国の投資や増壁・最大4名の部隊編成と兵力(最大50名)の調整・他国との同盟と隣国武将の引き抜き・部隊の移動や侵攻を1ヶ月ごとに選択して進めていく。部隊の移動などで一部リアルタイムシミュレーションっぽい要素があるのだが、結局1ヶ月ごとにコマンド選択をすることには変わらないのでそこまで意味はないように感じる。
 スペクトラルシリーズと比べると、部隊制の採用だけでも相当シミュレーションっぽくなったので、出来ることの増加も含めて、さすがにPS2に移行したことでさまざま進歩した。

 ・・・なんだが、やはり作り慣れていなかったのか、その部隊関連のインターフェースにちらほら問題点が見られる。

 まず、自分の部隊がどこに何部隊いるのかを確認したいときが面倒だというのがいきなり×。地図から拠点ごとに選択して見るか、編成で新しい部隊を作る画面まで入っていって初めてわかるという仕組みで、とにかくたどり着くまでが長すぎ、序盤はまだしも中盤以降に部隊が増えていったときが大変。
 1拠点に置ける部隊が4部隊なのだがこれはいいとして、1ターンに動かせる部隊も最大4部隊なので一気に戦況を動かすことが出来ず、自軍の拠点が広くなるにつれてそこかしこに移動し損ねた部隊が散乱するという事態になってしまう。

 1武将ごとに兵を最大49人まで雇えるが、1部隊ごとに画面切り替えが入るのでやたら時間がかかるというのも難点。これについてはスペクトラルシリーズのときにウインドウ切り替えで出来ていたはずだが、なぜ後継作であるはずの今作で出来なくなったのかが謎。
 これ以外にも、画面の切り替えには1回1回波紋のようなエフェクトが入っての読み込みが入るが、この読み込みがとにかく多くてストレスの溜まる仕様。

 次にRPGパートだが、一定の拠点(マップ上で宝箱の噴出しのある場所)では探索をすることが出来、エンカウント式のバトルがあるパートへと移行する。
 ゲージが溜まったキャラクターが動けるというATBみたいな仕組みの戦闘になるが、ゲージを溜めるとアタックカウンターが増えていく。このカウンターを一定数溜めた後にボタン(キャラの立ち位置によって○×△□が分かれる)を押しっぱなしにするとオーラをまとうので、まとっている最中にコマンド入力で発動。ほかにもオーラ発動時は敵の攻撃を防御できたりと、いろいろと詰め込んだ作りになっている。

 取り組み自体はなかなか面白いと思うが、必殺技があまりに数が多すぎて覚えられないというのがネック。しかもコマンドを入力するだけならまだしも、必殺技それぞれにレベル設定があってアタックカウンターがそのレベルに満たないと発動しないというおまけつきで、手元にコマンド表が欲しいレベル(参照は出来るが)。コマンドも十字キーと組み合わせた方がわかりやすかったと思うが、○×△□の4ボタンしか使わないので、オーラをまとうボタンと混同する。
 もうひとつ、RPGパートは1枚絵のグラフィックを歩き回るという一世代前のRPGみたいな作りになっているが、本パートじゃないことを念頭に入れたとしてもグラフィックの水準があまりにも低く、初代PSレベルと言ってもいいほど。(特にキャラクター)。

 200人vs200人の戦闘部分については、とにかくテンポが悪いの一言で片付く。武将ごとの必殺技が特にひどく、全体にかかる補助系の技が武将一人ひとり順番にかかるという有様。武将それぞれに移動を細かく設定できる緻密な戦略がウリのはずだが、武将ごとの操作切り替えがR1でしか効かない(敵武将はL1)うえに選んでいる武将がわかりにくくて台無し。
 シリーズ固有の要素である必殺技も、兵力にほとんどダメージを与えられない(武将に直接ダメージを与えるため)のでほとんど出す意味がなく、セリフだけが無駄に長くて演出もイマイチ(カットは出来る)といいところがない。

 ストーリーだけでもしっかりしていればまだ救いようもあったが、今作のストーリーは序盤にちょっとしたイベントがあるだけで後半はほぼないに等しく、それぞれの国が何のために戦っているのかがさっぱりわからない。主役であるはずの魔皇軍の話ですら理解不能なのだから相当だろう。キャラクター数は過去最高だと思うが、これでキャラクターに愛着を注げと言われても厳しいと思う。イラストはそんなに悪くないと思うのだが(デザイナーは変わったそうだけど)。

 総評、シミュレーションとしての形をとりあえず整えた感が満載で、どこを評価していいかわからない。これならスペクトラルフォースみたく、シミュレーションはとにかく簡潔にまとめて、イベントやキャラクターそれぞれを掘り下げていたほうがまだ納得がいく。従来のファンもこの出来では評価できなかったのでは?