[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:カプコン
発売日:2002.01.31
ジャンル:RPG
実勢価格:100~250円(中古価格)

評価:★★★

[Review] 2014.05.06

グランディア エクストリーム

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 ゲームアーツ製作の人気RPG「グランディア」シリーズのPS2初進出となったRPG。シリーズとしては第3作目に当たるが、ナンバリングがつかないタイトルの通り、シリーズ唯一の番外編という扱いになっていて、「戦闘に特化したRPG」と形容された、従来作品からの思い切った路線変更が特徴となっている。キャラクターデザインは藤原カムイ氏、音楽は前作と同様に岩垂徳行氏が担当した。

 グランディアシリーズは、「旅」をテーマにしたわかりやすいストーリー展開とシリーズならではの戦闘システムが噛み合ったバランスの良い作品だが、このバランスから戦闘システムに大きく針を振ったというのは、なかなかの決断だったように思う。
 戦闘部分のベースとしてはIIのシステムに程近く、見た目での変更といえば、画面下に横長く出ていた”IPゲージ”と呼ばれる行動順のゲージが丸くなって右下に小さく表示されるように変わった(オプションで大きさは変えられる)くらい。前作をプレイしていれば、何ら違和感なく飛び込める内容だ。
 前作のさまざまな欠点はほぼ今作で解消した形になっており、戦闘特化は伊達じゃないと思わせてくれる。特に、前作で没個性とレビューしたマナエッグをキャラクターごとに最大所持数を変えることで解決したほか、スキルについてもスキルブック装備数を各キャラクターで変えることで同じく解決した。マナエッグについては「合成」が導入され、合成することでさまざまな属性のマナエッグを作ることが出来るように変わっている。(合成エフェクトがカット出来ればよかったが・・・)
 変にムービーが挟まっていた魔法のエフェクトもフルポリゴン表現に改善され(ハードの影響も大きかったんだろうが)、エフェクト自体の長さも全体的に短くなり、サクサク進めるようにもなっている。クリティカル攻撃によるキャンセルや範囲攻撃など、前作までのいい部分はもちろんそのまま引き継ぎ、戦闘開始・終了の切り替えも爆速の部類。とにかくテンポが良く、戦闘を苦にさせないこだわりが見て取れる。

 後述のアイテムドロップ具合にもよるが、難度としてはかなり簡単な部類に入るだろうと思う。クリティカル攻撃さえきちんと使いこなすことが出来れば、それだけでほぼ全ての戦闘に対応可能。回復アイテム無双が出来る(回復アイテムの効果がやたらと高い)のも簡単さに拍車をかけている印象。

 戦闘特化の弊害というべきなのか、ストーリー・キャラクターの掘り下げについてはあってないようなものというほど貧相なレベル。8人いる主要キャラクターの魅力がここまで伝わってこない展開も珍しい。理由は簡単、いきなりぱっと集められてパーティー組まされた挙句、特にパーティー内での進展もないまま感情的なイベントが次々と発生するからだ。すごく置いてけぼりな感がある。
 主人公エヴァンの心の成長がストーリーの根幹だろうとは思うのだが、やっていることはダンジョンに入ってボスを倒しているだけなので、気付いたら成長しているという感じで感情移入もへったくれもない。

 舞台となるのが拠点となるロッカの村とその周辺の遺跡ダンジョンになるのだが、ウィザードリィのような拠点型RPGと呼ばれるタイプで、街は基本ここしか出てこない。(もうひとつエスカーレという場所もあるが、会話イベントのための場所でしかない)
 先に書いた通り、グランディアといえば「旅」であるはずが、今作ではそもそも拠点から最後まで動かないので旅要素はないに等しく、これを”戦闘特化だからいい”とするのかどうかは評価の分かれるところだろう。

 もうひとつ、このゲームの特徴は「アイテム集め」。いくつかは村の中の道具屋で買うことが出来るが、ほとんどはダンジョン内の宝箱などから手に入れるか、モンスターからのドロップで手に入れることとなる。前作IIでも同じ傾向だったが、中盤以降は店を使って武器防具を入手することはほぼないと言っていい。
 ダンジョン内の宝箱は入るたびにリセットされて何回でも取りに行けるほか、ボスも何回でも倒せるのでレベル上げも容易。ボス撃破後は霊力の間のアイテムを何度でも回収可能。(入ったり出たりを繰り返すことで落ちているアイテムの吟味も出来る)
 ひとつのモンスターに対してドロップアイテムが多くて50種類近く設定されているのも特徴的で、トレジャーランク(敵選択時に出てくる宝のランク)に応じてレアアイテムが多数存在する。戦闘を楽しむだけでなく、レアアイテムを集める楽しさもあるわけだ。当然、レアな武器防具は強いものが多いので、うまく手に入ればストーリー展開上でも大きく有利になってくる。
 惜しいのは、せっかくここまで集めることに価値を見出した作品にもかかわらず、アイテム図鑑などの要素がまったくないこと。どこまで集めたかを一瞬で理解できるものが何もないのは致命的で、これさえあれば…と思うこと多々。集めたアイテムはアイテム預かりの場所でしか確認できず。
 スキルもかなりの数があって収集要素があるが、こちらも誰に何を装備しているのかという部分がわかりにくく、レベルごとに並べ替えも出来ないなど微妙に不親切。

 全体的な総括としては、尻すぼみという表現がぴったりくる。序盤~中盤くらいまでは面白いが、後半に行くに連れて肝心のダンジョンに面白みがなくなり、クリア後のお楽しみ(EXダンジョン)もアイテムドロップのためだけの存在で面白くはない(前作・前々作の戦闘曲で戦えるというのはファン向けとして良い要素だが)。
 やりこみゲーが好きな方・やりこみ具合をある程度自分で補完できる方に。