[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:バンダイ
発売日:2004.08.26
ジャンル:アクション
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:★☆

 

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[Review] 2012.01.18

鋼の錬金術師 ドリームカーニバル

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 大ヒットマンガ&アニメ「鋼の錬金術師」のゲーム化第2弾。アニメ第1期をベースとしたゲームはPS2でのナンバリングタイトル3作(スクウェア・エニックス製作・アクションRPG)とこのドリームカーニバルで計4作・あとはGBAとDSで計3作。全部で7作品も作られた。

 ナンバリングタイトル3作はアニメ第1期を基にしたオリジナルストーリーによる外伝要素が非常に強い作品だったが、今作品は本筋のストーリーとは一切関係なく、ブラッドレイ大総統の鶴の一声で武術大会が開催され、優勝者には何でも願いが叶えられる…というタイトル通りの「お祭り」的な作品となっている。

 ジャンルとしては、格闘とまでは行かない対戦アクションという感じ。2vs2のタッグ戦となり、マルチタップを使えば全てプレイヤーによる4人プレイも可能。2vs2であること以外はスマブラのような感じが一番想像がつきやすいだろうか。
 両チームに3つの勝利ポイント(画面下にある星マーク)が与えられ、キャラ1名の体力が0になると1ポイント減って体力満タンで復活。ポイントの残りが0になると敗北となる。1人はまったく体力を減らさなかったとしても、もう1人が3回体力0になった場合は敗北ということになる。

 キャラクターは主要キャラをはじめとした14名。多いか少ないかは追いといて、とりあえず人選に突っ込んでおきたいのだが、錬金術師やホムンクルスだらけの人選の中、なぜプレイヤーキャラとしてウィンリィを入れたのかっていう。この面子の中に入れた場合に露骨に性能差をつけざるを得なかったのだろう(唯一の一般人なんだから当たり前だが)、けっこうかわいそうな性能になっちゃってる。
 あと隠しキャラではあるけど、ラースを入れたのも微妙だった。グラトニーもラストもいるんだから、それならエンヴィー入れれば良かったじゃんねえ。

 フィールドは、原作やアニメでもおなじみの場所が全6ステージ。機関車やリオールの街など、ハガレンファンならここかーとなるステージになっている。(ちょっと少ない気はするが)
 機関車を除くフィールドには手前・奥のラインがあり、ステージにもよるが大体5ラインほどになる。ステージによってはトラップ的なギミックも。1つ隣のラインへ吹っ飛ばす攻撃もあるなど、このへんは餓狼伝説のライン飛ばし攻撃のようなイメージ。

 □(弱攻撃)・×(強攻撃)ボタンによる通常攻撃と、○ボタンによる特殊攻撃ボタン・そして△のジャンプと4つのボタンをフルに使うが、コンボが複雑でないこともあってそれほど難しい操作ではない。R1ボタンがガードに割り当てられているほか、L1/L2ボタンは強化攻撃/超必殺技ボタンで、それぞれ画面下のゲージを1/2本・1本使用しての強力な攻撃となる。

 もう一人選ぶタッグキャラに関しては、L1/L2ボタンで命令を出すことが出来る。種類は6種類で、はさみ撃ちにしろ!などの具体的な命令もあればおまかせ!という漠然としたものまである。この命令に関しては、AIの仕様なのか何なのか、命令を出したキャラが一定時間後にぴたっと止まってしまうことが散見された。

 ここまでの基本的なアクション部分だが、簡単操作なのはいいが、粗が非常に多い。

 まずはフィールド。街の中などさまざまな場所を戦うのに、ラインを用意したのはわかる(原作やアニメでも戦う場所がさまざまに変化していた。ファン好みの仕様とも言えるので)。ただ、このラインの数はさすがに多すぎたのではないかと。
 錬金術以外全ての攻撃が同ライン上の相手にしか当たらないのが最大のネック。ライン上にある箱などの障害物を使った練成攻撃もある(錬金術師キャラに限る)が、練成した割にグラフィックが地味で、必要性をあまり感じない。
 上下+ジャンプで隣のラインに移動できるが、結局隣にしか移動できないというのもあって、5つラインがあるうち、せいぜい普通に使うのが2ラインくらいだった。これでラインを跨いだ攻撃がすぐ出せるようになっていれば別だったが、錬金術でも跨げるものと跨げないものがあるなど中途半端で、違うラインに逃げられた場合の対処法が特にないのは致命的だった。
  正直な所、前後のラインではなく、機関車ステージのような高さのラインで攻めたほうが面白かったんじゃないかなと思う。

 もうひとつの難点は強化攻撃と超必殺技。どちらも通常技からキャンセルで出すことが出来るのだが、発生が遅すぎてどちらにしても繋がらない。強化攻撃のほうが早いが余裕でガードされるし、超必殺技に至っては倒されてから起き上がって攻撃しても間に合うくらいの遅さで、何のためにキャンセル出来るようにしたのかがわからない。
 どちらも発生の遅さに対して無敵時間が一切なく技発動前にあっさり潰されるのも問題で、CPU戦ですら遠距離で発動しないとパンチ1発で潰されるなど、存在意義を疑う。この超必殺技くらいはライン無視攻撃にして欲しかったところだが、残念なことに同ライン上にしか当たらない。これこそラインを高さのラインにしておけば、使い勝手も良かったのに。
 強化攻撃はカットインが入るものの技自体があまりに地味で、こちらはこちらで存在意義がいまいち感じられなかった。

 もうひとつ、ガードを崩す手段がないのも痛かった。投げでもいいしガードブレイク的なものでもいいけど、ひとつあればだいぶ違ったんじゃないかな。

 ゲームモードは、決まったキャラクターで戦う、会話パートなどもある「ストーリーモード」・CPUと対戦してアイテムを入手したり、キャラクターの強化も出来る「アーケードモード」が主。ストーリーモードで隠しキャラや隠しストーリーを出し、残りのオマケ要素はアーケードモードで手に入るアイテムを「錬金術の館」で練成して入手する。

 まあ、このアイテム入手がまた面倒で、アイテムの数が多いこと・入手条件がわかりにくいことが面倒くささを増幅させる。大体カテゴリーに分けられていて、半数近くが汎用アイテムなわけですよ。練成のオマケも含め、もうちょっと整理できたんじゃないの?と。
 ストーリーモードではアイテム類が一切手に入らないが、これもよくわからない。もともとこういったアイテム集めなどの要素は、同じことの繰り返しになるので作業ゲー化しやすい。このゲームをスタートする人は大体ストーリーモードからはじめると思うので、一緒にアイテム入手も出来るようにしておけば、作業ゲー化も防げて良かったと思うのだが(CGの開放も合わせてできればなお良かったとも思うが)。

 結論として、結局本編のアクション部分がいまいちなキャラゲー…というか原作ファン向け作品なんだけど、そういう位置付けならもっとオマケの部分に気を使わないといけなかった。
 まず隠しキャラやストーリーを出すのにまずストーリーモードをちまちまクリアして、そのあとアーケードモードに移ってからも、カードもCGもボイスも…と200種類近いオマケ要素を練成でちまちま開放しなきゃならんというのはさすがにやりすぎだろう。
 オマケがたくさんあることに対して文句があるわけではなく、開放のスパンがあまりにも面倒で時間がかかるのがネックだということ。アイテムの数・入手法。オマケ要素の開放の仕方。もっとうまく整理できたはず。

 以上。キャラゲーとしてもいろいろ足りてない印象の作品。オマケ部分に関係ないキャラの動きやボイスに価値を見出せる人じゃないと厳しいのでは。