[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:スクウェア
発売日:2002.03.28
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:100~250円(中古価格)

評価:★★★★☆

キングダム ハーツ

●あらすじ 
 暖かい陽の光が降りそそぐ穏やかな世界、デスティニーアイランド。そこに暮らすソラ、リク、カイリの3人は、外の世界へ冒険の旅に出る計画を立てていた。しかし出発の前日、デスティニーアイランドは闇にのみこまれ、3人は離ればなれになってしまう。
 同じころ、ディズニーキャッスルに暮らすドナルドとグーフィーは、行方不明となった王様が残した「“鍵”を持つ者に同行せよ」という命をうけ、“鍵”──キーブレードを持つ者を求め旅に出ていた。

 外の世界に飛ばされたソラは、そこでドナルドとグーフィーに出会う。デスティニーアイランドが闇にのまれる時、キーブレードを手にしていたソラはドナルド、グーフィーとともに冒険の旅へ出ることになるのだった。
 さまざまな世界を冒険して、たくさんの出会いを経験し成長するソラ。しかし彼の前には、抜け殻のように眠るカイリと、闇の力に引きこまれた親友リク、そして飽くなき闇を求める謎の存在が立ちはだかるのだった。はたしてソラはリク、カイリとともに無事に故郷の世界に帰ることはできるのだろうか──。(以上、公式HPより)

●概要・キャラクター
 ウォルト・ディズニー社とスクウェアが提携し、ディズニーを題材とした世界を旅するアクションRPG作品。スクウェアからはファイナルファンタジーシリーズから複数キャラクターがゲスト出演しており、それぞれのオールスターと言えるキャストが実現した。
 オリジナルから異なる役柄で違う作品に登場させるこういった内容を「スターシステム」と呼ぶそうだが、ディズニー関係は権利が相当ややこしくて今まで実現できていなかった(というか誰も手を出さなかった?)ので、よく実現したなというところ。

 ディズニーサイドからはミッキー・ミニー・ドナルド・グーフィーはもちろん、「不思議の国のアリス」「ターザン」「ヘラクレス」「アラジン」「ピノキオ」「リトル・マーメイド」「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」「くまのプーさん」「ピーターパン」の世界とキャラクターが登場。キャラクターだけであれば、さらに「美女と野獣」「眠れる森の美女」も…と、総勢40名以上のキャラクターが参戦。1つ1つの世界はそう広くはないものの、それぞれに見所と探索しがいのあるマップが用意された。道中覚えていくアビリティによって探索範囲が広がっていくのがまた楽しい。
 スクウェアからの登場キャラはクラウド・エアリス・ユフィ・シド(以上FFVII)・スコール/レオン・セルフィ(以上FFVIII)・ティーダ・ワッカ(以上FFX)となっており、野村哲也氏がデザインを手掛けたキャラクターに限られている。
 レオンやエアリス・ユフィあたりは序盤はかなりの重要人物として登場するが、後半にはストーリーにほぼ絡まなくなるのでどんどん存在感がなくなっていく。そもそもゲスト的な意味合いなのでしょうがないとも言えるが、最終盤まで会話することが多いのがシドというあたりが何とも…

 このコラボの何が良かったかって、「ディズニー世界を第3者として旅する」という形にしたこと。ミッキーorドナルドを主役としたゲームにするというのが企画のスタートだったそうだが、第3者案を持っていったとされる野村哲也氏(シリーズのディレクター)の大英断と言えるべき部分だろう(Wikipediaを鵜呑みにコメント)。
 自分もそうだが、ディズニーに楽しさを覚える人はディズニーの世界を楽しみたいのであって、キャラになりたいわけではないからねえ。当初案の通りだったとしたら、単なるディズニーゲーへのスクウェアキャラ出演で終わっていただろうな。
 RPGのストーリーは無駄に伏線を張りすぎる方向に向かいがちだが、今作の大筋ストーリーは「光と闇」をメインとした非常にわかりやすいものでこちらも評価できる部分。

●アクション
 アクション部分については、○の攻撃と×のジャンプが基本で、十字キーおよび右スティックで画面左下のコマンド選択となっている。R1で敵をロックオン、L2でロックオン対象の切り替え。コマンド選択が若干煩わしいが、難易度というところでは正直言ってそれほど難しくはないように思う。回復さえ間違えなければほとんどの敵にごり押しが可能で、大体ジャンプからのコンボ繰り返しでOKという感じ。
 ドナルド・グーフィーをはじめとしたパーティキャラクターは自動で戦ってくれるのだが、HPが0になったとしても「一時離脱」の扱いなので一定時間が経てば復活するという、こちらもなかなかの親切仕様。

 魔法については、コマンドからの選択のほかにL1+○△□でも発動可能。この3つは任意の魔法をショートカットとして登録する形が取られている。回復魔法は最後まで有用だが、そのほかについては使いどころがそれほど多くなく、一部ボスで使わなければならない場面があるものの…程度になっている。戦闘以外で使うことのほうが多いのではと感じたくらい。うまく使えば有用なのかもしれないが、やっぱりジャンプ攻撃が優秀すぎてわざわざ使うほどでも…という感じだった。
 同じような理由で、各キャラのアビリティによって使えるようになる「リミット技」もほとんど使う機会がなかった。コマンドの一番下という配置がすでに厄介なうえ、敵のいる場所などによって発動できる技が違うので状況によって発動できる技がころころ変わってしまい、任意の操作で発動させるというのがかなり困難になっている。こんなの狙うくらいならジャンプ攻撃(略)という感じ。

 ロックオンしていなくても前方の敵をロックに近い状態になる上、ロックオンが相当優秀で変にロックが外れたりといったことが少ない。そこまではいいのだが、優秀すぎて敵の素早い動きに対しても追いかけて対応しすぎる傾向にあり、相手によってはアングルがとんでもないことになってしまうという弊害も抱えてしまった。
 大きな相手…特にボス戦ではそれが顕著に表れ、攻撃対象がめまぐるしく動く中で視点もぐるぐる回るので現状把握が困難になることもあり、気付けば相当のダメージを負っているということも。パーティキャラクターに至っては何をしているのかすらよくわからず、気付けば戦闘不能になっていることも多々あるが、先に書いた通り自動復活なのがだいぶ救いになっている。…というか、自動復活でもしてくれないとさすがにきついバランスになっただろう。

●グミシップ
 そのほか、各世界の間を旅するものとして「グミシップ」があり、世界の間をシューティング風のモードで行き来することとなる。各地で手に入る「設計図」・ステージ間のオブジェクトを壊したりすることなどで手に入る「グミ」を使ってのカスタマイズ要素などもあってボリュームはかなりのもの。
 惜しむらくは「おまけ要素すぎる」ということ。グミシップを強くしたところで何かがあるわけでもなく、肝心のカスタマイズについてもエディット画面が複雑な操作でやる気をそがれる。

●音楽と総評
 音楽は「ライブ・ア・ライブ」や「フロントミッション」「パラサイト・イヴ」などの下村陽子氏で、たくさんの世界がある中でそれぞれを生かす素晴らしいサウンドが揃う。戦闘曲だと「hand in hand」(トラヴァースタウン後期)や「Having a Wild Time」(ディープジャングル)、通常曲だとトラヴァースタウンやホロウバスティオンの曲・あとグミシップの曲もいい。

 難点は…強いてあげるなら、先に挙げた戦闘時の視点くらいだろうか。ディズニー世界を十分堪能出来て、アクションもそれほど難しくなく入っていける。非常に隙の少ない作品というイメージ。何だかんださすがスクウェアですなあという。