[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:アイディアファクトリー/XPEC
発売日:2004.07.22
ジャンル:アクション
実勢価格:100~200円(中古価格)

評価:

[Review] 2014.12.26

爆炎覚醒ネバーランド戦記ZERO

 異世界「ネバーランド」を舞台にしたアイディアファクトリー制作のゲームシリーズ「IFネバーランド」より、「スペクトラルフォース」より少し前の時代を舞台にした3Dアクションゲーム。共同製作は台湾のXPEC Entertainment社。現在は主にスマホ向けのオンラインゲームをいくつか手掛けているようだ。
 ネバーランドシリーズはほぼRPG群で固められていたシリーズだが、本作の前には「エクスチェイサー」というアクションゲームをまさかの初代XBOXで発売したり、今作の翌年2005年には、スペクトラルシリーズの登場キャラを格ゲーにしてみたり(スペクトラルvsジェネレーション)と、PS2になってからは(うまくいったかどうかは別として)いろいろチャレンジしていた印象がある。

 カイゼルオーン地方で突然死者の群れが発生、人間の村を襲い都市部へ侵攻した。原因究明のために・事態の把握のために、魔王ジャネスの娘・ヒロ、神聖皇国軍の聖騎士グリーザ、黒騎兵ゴーラの黒騎士ライラ・ドルの3名が現地へ向かった…
 舞台は魔導世紀994年となっており、スペクトラルフォースが997年からのスタートとなっているのでその3年前の物語ということになる。

 弱・強攻撃(□・×)を組み合わせたコンボ攻撃と特殊攻撃(△)をメインにしたアクションゲームで、ジャンプやダッシュはない。敵を転ばせた後にR1+□で追い打ち攻撃(デスロック)をかけることができ、このデスロックが全攻撃中最大の攻撃力を誇る。R1でガードとなり、ガード後すぐに×でカウンター攻撃が発動する。L1でアイテム選択・L2でアイテムの使用。1つのマップが1ステージとなっていて、クリアするごとにランクとポイントがもらえ、ポイントは武器や装備品の強化・アイテムの購入に使うことができる。

 いいところを挙げると、スペクトラルフォースシリーズの中でもまずまず有名どころ3名を揃えたというところか。スペクトラルフォースシリーズでおなじみの必殺技も使うし、まずまずエフェクトも派手。グラフィックの水準は決して高いとは言えないが、切りつけた時に血しぶきが床や壁に付着するエフェクトなど、細かいところは結構頑張っていたように思う。

 いいところ、以上。ほかの部分にあまりにも褒めるところがない。

 基本アクション部分では、まず移動スピードが遅くてげんなりする。せめてダッシュがついていれば印象も変わったと思うが。この手のゲームでマップが標準画面上に出てこないのも致命的で、なぜかSTARTボタンのメニューからしか見ることができない。しかも障害物が表示されないので後半はほぼ役立たず。カメラワークも悪く、真上に程近い視点からほとんど動かせない。一部ステージでは天井で自キャラ・敵キャラともに見えなくなる場面まである始末。
 バランスもむちゃくちゃ。すべての敵がのけぞりのない、いわゆる「スーパーアーマー」持ちで、こちらのコンボの最中に割り込まれるのは当たり前。敵の動きを止めるには転倒させるしかないが、中盤以降の敵はほぼ転倒しない仕様のため、1回敵に囲まれるといつまでたっても自分有利の状況に持っていけない。
 それでも序盤は同時出現数が少ない&デスロックが強いのでまだ何とかなるが、後半になってくると5体以上同時に出現・転倒しない・耐久力がえらい高い(通常攻撃を10~20発当ててやっと倒せるレベル)など、いきなり鬼のような難度に変わる。
 特に、空を飛んで滑空攻撃を仕掛けてくるやつ(空を飛んでいる間はこちらの攻撃が当たらない)と、無敵の突進攻撃を仕掛けてくる犬型の敵(転ばせると確定反撃持ち)が厄介すぎてコントローラを投げるレベル。
 じゃあせめてガードを固めて確実に…と思っても、中盤以降の敵のほとんどがガード無視攻撃持ちというトンデモ仕様で、後半はガードもほとんど役に立たない。緊急回避的なものがないので、ガード不可攻撃だとわかってから避ける方法がないのも痛い。

 ポイントによるカスタム要素についても、アイテム売却を組み合わせると中盤あたりで装備品のレベルがほぼMAXになってしまう。終盤は敵のすさまじい攻撃を回復アイテム無双で何とか耐え、ステージクリア後にアイテムを買い漁るだけに。

 ネバーランドシリーズには珍しく、ストーリーにも救いがない。オープニングでムービーが流れて以降、ステージクリアの段階まで一切演出がなく、あるのは道中手に入るいくつかの文書や倒れている兵士との会話だけで、クリアするまで本当に何のストーリーも存在しない。ただただ淡々とステージをクリアするのみ。

 音楽も数が少なく、敵も色違いの使い回し。SIMPLEシリーズでももうちょっといい出来になるんじゃないの?というレベルで、全体的にやばいとしか言いようがない。いくらIFでもこれはないでしょう。