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ハード:Playstation 2
メーカー:アトラス/ヴァニラウェア
発売日:2007.05.27
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:2,000~3,000円(中古価格)

評価:★★★★

オーディンスフィア

  

 ヴァニラウェア開発(音楽はベイシスケイプ、崎元仁氏が担当)・アトラス発売の横スクロールアクションRPG。エリオンと呼ばれる大陸とその中で起こる国や種族の争乱と終焉までを描いた叙事詩である「オーディンスフィア」と呼ばれる絵本を、小さな女の子アリスが読み進めるという形で物語が進行する。

 主人公は5人で、それぞれの視点から描かれたストーリーが1冊の本になっていて、アリスが1冊づつ読み進めていくこととなる。最初はグウェンドリン編から始まり、コルネリウス・メルセデス・オズワルド・ベルベット編へと移っていく。それぞれ近接タイプ・中距離タイプと分かれており(コルネリウスとオズワルドが両方剣タイプなので似てると言えば似てるかもしれないが)、新鮮にプレイすることができるだろう。中でも一人シューティングになるメルセデスがなかなか癖のある動き。面白いんだけどね。
 男性陣の魅力もさることながら、グウェンドリン・メルセデス・ベルベットのお姫様3人がとにかくかわいい。せっかくなので画像にメルセデスの食後のぺろっのシーンを入れてみたくらい。イラスト含め、キャラクター推しがかなり前面に出ていたゲームと記憶しているが、その推しに違わぬ魅力的なキャラクターの数々。

 マップから移動する各国は”ラウンド”と呼ばれており、各ラウンド内には通常のザコ敵用・アイテムショップ・ボス戦に分かれた複数のステージがある。ザコ敵ステージをクリアすると、クリアした時間・受けたダメージの少なさに応じたランクが与えられ、ランクが高いほどいいアイテムがたくさん手に入る仕組み。最低ランクでも基本アイテム1つは必ず手に入る。

 タイプとしては完全な横スクロールアクションで、奥行きはない。□ボタンの攻撃と×ボタンのジャンプ(および2段ジャンプ/飛行)でほぼまかなえる基本動作で、それほど複雑な操作はない。その他、△ボタンは「サイファースキル」と呼ばれる固有スキル(他ゲームで言うところの特殊技のようなもの)発動、○ボタンにアイテム使用が割り当てられている。
 R1ボタンは「フォゾン吸収」で、敵を倒したときなどに画面上に浮遊するフォゾン(エネルギー塊)を吸収する。フォゾンを吸収すると経験値が貯まり、レベルアップで攻撃力が増加する。他にも、サイファースキル発動のためのゲージを溜める用途もある。
 HPについては、回復アイテムを食べた際などに入る経験値でレベルアップさせての上昇となり、攻撃面と体力面でそれぞれ経験値が異なる形。画面左上の水色ゲージ/数値が攻撃・黄色ゲージ/数値が体力のそれぞれレベルと経験値になっている。

 フォゾンをどれだけ吸収してレベルを上げていくかがこのゲームの根幹であり、敵を倒す以外にも魔法薬の精製(後述)・サイファースキル「コールフォゾン」の使用・種の使用などでフォゾンを作り出すことが出来る。
 フォゾンを必要とするものはもうひとつ、「種」がある。種を地面に植え、一定数のフォゾンを吸収することで実をつける。実は食べるとHP回復効果+HP経験値を取得できる。他にも、料理(これも後述)の材料として使うことも。

 基本のアクション部分についてだが、ほとんどの敵に攻撃動作中のノックバック(のけぞり)がない&プレイヤーキャラは普通にのけぞるという仕様のため、多数の敵を相手にするのはかなり苦労する。囲まれると連続でダメージを追うことが多々あるというのは、多数の敵を相手にするゲームとしてはどうなのかなあと素直に思うところだが。
 …とは言え、HPは0になっても同じステージの最初からやり直しになるだけでペナルティが一切ない。該当ステージに入る前の状態まで戻すことまで出来るという親切設計のため、ステージクリアのランクにこだわる人じゃなければ、先へ進むのは容易い。

 全体的な難度としては、やり直しがきく上記の設計のおかげか簡単な部類に入る(難易度設定が出来るのでその設定にも寄るが)が、かなりの事前準備(レベル上げ・所持アイテムの吟味など)を必要とするボスが終盤にかけて一部存在する。
 さくさく進めると各キャラクターのレベルはせいぜい30行くかどうかくらいだが、5人クリアした後の6冊目の戦いに登場するボスの一部が鬼門とも言える強さ(耐久力)で、レベル40以上はゆうに必要な勢い。1回クリアした本は読み直しが聞くものの、ストーリーごと最初からやり直しになるという仕様も気をつけたい。
 もうひとつ厄介なのが、ストーリーを進めることで手に入る「魔法薬」「料理」のレシピ2点。どちらも5人のキャラクターをクリアした時点ですべて集まると言うのがポイントで、最初にプレイするグウェンドリン編ではほとんどが手に入らない(レシピがあって始めて魔法薬や料理が作れる)ので、ありあわせの魔法薬やアイテムで6冊目に挑む羽目に、もしくは上記のようにストーリーを1からやり直すかどちらかという選択をせざるを得ない。ちなみに、ストーリーの間に挟まるイベントシーンに関してはスキップが可能だということは付け加えておきたい。毎回ロードが挟まるあたりがちょっと鬱陶しい感はあったが。

 演出面については、演劇調で展開されるイベントシーンと、中世世界に特化した美麗なグラフィックが特徴。演劇調については単純な好き嫌いの部類になってしまいそうだが、グラフィックに関してはとにかく美麗で一見の価値あり。
 キャラクターもそれぞれが印象深く、声優も川澄綾子・浪川大輔・能登麻美子・沢城みゆき・立木文彦・若本規夫・速水奨・南央美(敬称略)などの豪華面子でこちらも聴き応えがある。

 クリアまでプレイした率直な感想としては、雰囲気で得したゲームかなとは思うものの、中世ファンタジーが好きならとりあえずプレイしてみるべきと言えるほど、世界観の作りこみは見事だった。もちろん探せば粗は出てくるが、そこをひっくるめても最後までプレイさせてしまうと言うのは、ゲームの魅力として十分。オススメできます。