[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:セガ
発売日:2005.12.08
ジャンル:アクションアドベンチャー
実勢価格:200~500円(中古価格)

評価:★★★★

[Review] 2015.05.23

龍が如く

 欲望と暴力が渦巻く神室町。親友のため・愛する女のために「親殺し」の汚名を背負った一人の男がいた。かつて【堂島の龍】と呼ばれた伝説の極道、桐生一馬。10年後、運命に導かれて再び神室町に戻ってきた桐生だったが、そんな彼を待ち受けていたのは、自分を恨むかつての組織の人間たちと危険な罠だった。そんな中、桐生は100億の価値があるという一人の少女と出会う…(公式サイトより)

 新宿歌舞伎町をモデルにした繁華街「神室町」を舞台に、伝説の極道と呼ばれた男・桐生一馬の生き様を描くアクションアドベンチャー。2005年に発売されたこの1作目が大ヒットし、現在まで続く有名シリーズとなった。

 舞台となる神室町はかなりの広さで、作り込みも見事。お店から看板・町にいる一人一人に至るまで、本当に細かい。この系統のゲームはよく箱庭ゲーと呼ばれ、PS2くらいの世代からはGTAをはじめ相当数が登場したが、数ある箱庭ゲーの中でもこれだけの完成度をPS2で表現できた作品はそうそうないだろう。
 セガで実在の街っぽいところを歩き回れると言えばドリームキャストの「シェンムー」が思い浮かぶが、シェンムーで培ったものが本作に大きく生かされたと言えるのかもしれない。1999年(シェンムー初代)であの作り込みも相当すごかったと思うけど。

 タイアップにより実在企業のいくつかがゲーム中に登場しており、ドン・キホーテやことぶき薬局・えびすやといった実在企業が「協賛」という形で町並みに登場しているほか、サントリー(アミノ式・なっちゃんなどの飲料やモルツ・ボウモア・山崎など各種酒類)・アサヒビール(アーリータイムズなど酒類)が販売されている飲料などで登場。自社ではゲームセンター「クラブセガ」が神室町内に2店舗を出店。
 それ以外については架空のショップではあるが、牛丼屋「赤牛丸」やハンバーガーショップ「スマイルバーガー」・喫茶店「喫茶アルプス」・ラーメン屋「九州一番星」などの飲食店が多数登場し、店内に入ることも可能などこだわった作り。
 基本的にはストーリーごとに行く場所が決まっているという展開で、ストーリーの合間には各地でこなせるさまざまなサブイベント(サブストーリー)がある。サブイベントをこなすことによって経験値を取得することができたり、お金やアイテムを入手したりできる。サブイベントについては達成率があり、やり込み要素としても十分な存在価値となっている。
  街中にはバッティングセンターなどがありバッティングを楽しめるほか、クラブセガではUFOキャッチャーが、他にもパチスロやカジノなど様々なミニゲームも用意され、とにかくこの神室町という舞台を幅広く楽しめる要素が多数揃っている。

 これだけの街を「魅せる」ことに重点を置いたんだろう、アングルが場所場所で頻繁に変わるのだが、右に進んでいたはずがアングルが変わって進む方向が上下に変わるなどざらにあり、作り込みの凄さとともに歩きにくさを実感するところではある。
 本当はアングルを自由に変えられる(回転できる)ような作りが理想なんだろうが、それをやってしまうとここまでの作り込みが不可能だとも思うので、ある程度妥協すべき点なのかなあという感じはする。

 この街の中で、多数のムービーシーンとともにストーリーが展開される。もちろん全編声ありで、声優も黒田崇矢氏・釘宮理恵さんを筆頭に豪華面子が並ぶが、中でも真島吾朗役の宇垣秀成氏の名演が印象深いところか。他にも渡哲也氏などの名俳優の出演も。
 後半のネタばらしラッシュが残念だが、前半の引き込み方が素晴らしく、一回始めてしまうと抜けられない魅力がある。この手のゲームは単純なアクションゲームしかなかったので、ストーリー性があること自体がきわめて新鮮だったということもあるかもしれない。

 さまざまな敵との対決は決められたフィールド内で戦うアクションバトルとなっている。□のラッシュ(弱攻撃みたいなもの)と△のフィニッシュ(強攻撃みたいな)・○の掴み・×のスウェイ・L1のガード・R1の構えを基本操作とし、R1で構えて敵をロックオン状態にして攻撃を加えていくのが基本スタイルとなる。
 攻撃を加えていくと体力下のヒートゲージが溜まり、ヒートゲージが溜まると桐生が青い炎をまとったような状態に。この状態で掴んで壁の近くに行ったり、倒れている敵の近くに行ったりすることで画面右上に「極」の文字が現れ、その状態で△を押すと「ヒートアクション」と呼ばれる攻撃力の高い技(必殺技的な)を出すことが出来る。
 ヒートゲージは普通に戦っていれば溜まるうえ、ヒートアクションも様々な種類があって出すのにそれほど困らず、カメラワークも豪快で見ていて楽しく簡単、と特に突っ込みどころのない出来。ステージ各所にあるものを拾って武器として使うことが出来るのも楽しい。
 難易度はそこまで難しいことはない(回復アイテムさえきちんと整備しておけば)が、銃を持つ敵に対する動きについては慣れが必要だろう。特に、十章最後の荒瀬だけは相当手こずった。
  そこまで難点らしい難点はないが、R1でのロックオンの精度が微妙だったのだけが残念で、いったん遠くに走ってロックオンし直すことがたびたび起こったほか、戦闘の度に入るロード時間と戦闘前演出がちょっと長め。

 全体的に見て素晴らしい出来。このゲームも気付けば10年ほど経ったが、始めて神室町を見た時の衝撃は忘れられない。PS2の数あるゲームの中でも、このゲームこそ!という1作に数えられる名作。