[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:セガ/オーバーワークス
発売日:2002.12.05
ジャンル:3Dアクション
実勢価格:100~200円(中古価格)

評価:★★★

[Review] 2014.10.26

Shinobi -忍-

 1987年にアーケードで発売された横スクロール忍者アクションゲーム「忍 -SHINOBI-」をはじめとする忍シリーズの系譜を組む、3D殺陣アクションゲーム。開発は2002年当時セガの開発子会社として存在していたオーバーワークス。
 21世紀初頭、謎の怪生物「式神」によって壊滅した近未来の東京を舞台に、朧一族の頭領「秀真(ほつま)」が首都奪還の命を遂行するために戦う。

 忍者としてのスピード感ある動きにこだわって作ったものと思われる今作は、操作系はちょっと難解だが慣れると他のゲームにはないスピード感あふれる動きが楽しめるようになる。
 基本操作は□で斬り攻撃・△で手裏剣攻撃(所持数あり)・○でジャンプ(2段まで可能)・×が残像を残しながら高速移動する「ステルスダッシュ」となる(空中でも出せる)。R1で近くの敵に視点・ターゲットを固定させるロックオン・R2でターゲットの切り替え。L1で秀真の向いている方向に視点切り替え・L2は道中拾える巻物の数だけ発動できる強力な「忍術」となっている。壁に向かってジャンプやステルスダッシュをすることで壁走りができるようになり、壁走りでのみ進める場所も多い。
 L2の忍術は常時使うものではないとして残りのボタンはほぼフル活用する操作系になっていて、操作に慣れるには時間を要するが、ステージ構成は序盤から壁走りが必要な場所があったり、ステルスダッシュと2段ジャンプの組み合わせで手に入るアイテムなどもあるため、練習しながら先へ進めることができる。自分の中でジャンプは×に当たることが多い(と勝手に認識していた)ためか、ジャンプとステルスダッシュを間違えることは多々あったが、これも序盤で慣れることができた。
 ロックオン中に敵に近付き方向キー左右+×で、敵の後ろに回り込む高速移動・通称「ロックダッシュ」が出せる。敵の大きさにかかわらず一定の半径で後ろに回り込むので使えたり使えなかったりが極端だが、使いどころによって非常に便利。ステルスダッシュとの組み合わせで、忍者っぽい高速移動を存分に楽しむことができる、

 敵出現時には画面右上に「臨兵闘者皆陣列在前」の文字で最大出現数が表示されるが、敵を連続して(1体倒したあと約4秒以内に次の敵を倒せば連続としてカウント)倒すと攻撃力がどんどん上昇していく仕組みになっていて、これが今作最大の特徴である「殺陣システム」となる。
 最大出現数が4体以上の時に連続してすべての敵を倒すと専用の殺陣演出が入るが、これが文句なしにかっこいい。もともとのスピード感があるのでさほど邪魔にも感じないし、カメラアングルにもこだわりを感じさせる出来となっている。

 ステージ面では、1つのステージが画面切り替わりのない広大な1マップのみで構成されており、ステージ途中で死亡した場合はステージの最初に戻される仕組み。これだけならまだ、というところだが、穴や水面などに落ちて一撃死の場面が特に後半は頻繁に登場するというのが、大幅な難易度上昇につながっている。
 特に中盤以降、それまでほとんど利用機会のなかった壁走り&壁から壁への移りをいきなり多用させられるステージが登場、下に落ちると濁流に飲み込まれ死亡・壁に張り付いている敵から手裏剣を当てられるとしびれて落下し死亡…と、ステージの最初からやり直しを頻繁に体感することとなる。壁についても”どこでも張り付けるわけではない”というのがまた引っかかるところで、行けるだろうと思って飛び込んだらそのまま落下した、なんてことも。
 2ステージ以降になると、秀真の所持する「悪食」の能力によって体力がどんどん削られるようになり、実質的に時間制限が設けられるようになる。序盤から中盤にかけてはそんなに気にならないが、後半のステージになると入り組んで時間を食うところが多く出てくるので、この仕様が地味にきつい。

 最終ステージの鬼畜っぷりはフィナーレにふさわしい激ムズ難度。テクニックは今までのステージでやってきたことのまとめだが、何せステージ自体がとにかく長く、1回失敗したあと同じルートをやり直すげんなり感と言ったら…
  ラスボスの鬼畜度はそれに輪をかけてひどい。1回に当たるダメージが雀の涙ほど・攻撃できるタイミングもわずか・正面から攻撃しに行くとほとんどはじかれて反撃を食らう・空を飛んでいてそもそも届かない場所にいることすらあるなど、クリアの道筋が見つからないというほどのレベル。途中出てくるザコ敵を連続で倒しながら攻撃力を上げてから斬り込むのが基本の戦い方なんだろうが、そもそも連続の効果秒数内にボスを切りつけるのが至難の業と来ており、しかも難易度EASYですらこれだ。(EASYの攻撃力はNORMAL時の2倍) 歯ごたえのあるアクションにしたかったのは理解できなくはないが、ちょっとやりすぎ感がある。

 グラフィック・音楽共に上々。合間合間のストーリームービーも高い品質。忍者らしいスピード感のある動きは十分に体感できる。システム部分で気になったのはマップがないかな?くらい。後半4ステージくらいの鬼畜難易度さえなければ…
 XBOX360とかで出てた「プリンス・オブ・ペルシャ」は、落ちても落ちても妖精が引き上げてくれる親切設計で、これはこれでどうなんだろうなあと思ってたが、今作までシビアなのも萎える。バランスを取るのって難しいんだなあ、としみじみ感じた作品だった。