[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:D3パブリッシャー/タムソフト
発売日:2004.08.25
ジャンル:3Dアクション
実勢価格:300~400円(中古価格)

評価:★★

[Review]2014.10.19

SIMPLE2000シリーズ vol.61 THE お姉チャンバラ

   

 西暦20XX年、東京。荒廃した時代に憎みあう姉妹がいた。父親と2人家族で育った「彩」は厳しい父と剣術に明け暮れて育った。しかし、父が何者かに殺害されたことを知り、復讐を誓う。
 母親との2人家族で育った「咲」の母は苦労の末、病に倒れて死んだ。剣に生き、自分と母を捨てた父を憎んで育った咲は、ついに父を倒す。太古の秘法を用い愛する母親を復活させようとする咲。自分の母親を完全に生き返らす為には、腹違いの姉である彩の心臓が必要であるという…。恩讐と怒りが渦巻く中、姉妹の戦いが始まった。(公式HPより)

 PS2ではsimple2000シリーズとして発売されるD3パブリッシャー廉価ソフトシリーズの第61弾は、日本刀を持つ美女を操り、街中に徘徊するゾンビを斬り殺し進んでゆく一騎当千型アクションゲーム。ビキニにへそピアスの美女が刀でゾンビを斬っていくという今までにない斬新なシチュエーションが受け、新作が毎年のように出てくる人気シリーズとなった。製作はsimpleシリーズを数多く手がけるほか、「闘神伝」「チョロQ」シリーズなどを製作したタムソフト。

 無双シリーズなど同じようなタイプの一騎当千型ゲームで、操作系もほとんど変わらない。ステージは全6ステージだが、ステージ1・4と2・3がまったく同じ場所、5・6もマップが被っているなど実質舞台は3つしかないに等しく、(simpleシリーズにはよくあることだが)素材不足感が漂う。グラフィックの水準は雰囲気作りを含めて悪くない出来。音楽も1曲1曲は悪くないのだが、ステージ5までのBGMが1種類のみというあたりがやっぱりsimpleシリーズだなあという感じ。
 ステージについては、無駄に広い&カメラアングルがいまいちなところがあり、画面右上のマップで解決できると思いきや、移動できる扉などの表示がない・そもそも表示範囲が狭いとほぼ役立たず。R1のロックオン以外で視点変更が利かない(真正面を向くことしか出来ない)のもアングルについてはマイナスに働いている。

 次に操作部分だが、今作ならではのオリジナル要素は主に以下の3点となる。
  まず、ゾンビを斬っていくとプレイヤー(アヤ)が返り血を浴びるが、返り血を浴び続けることで画面左下の横ゲージ(穢れゲージ)が上昇していき、満タンになると暴走状態へと変わる。攻撃力・移動力などのパラメータが大きく上昇するが、代わりに体力がどんどん減ってゆくという仕組み。道中にある女神像か所持アイテムで解除できる。
 同じように、刀も相手の血を浴びて(というかゾンビに斬りつけると)穢れていく。画面左下の縦ゲージがいっぱいになると斬りつけた時に刀が相手に引っかかってしまい大きな隙が出来てしまうが、L1ボタンで剣を振ることでこの穢れを振り払うことが出来る。ガンシューティングのリロードのようなものだが、ザクザク斬っていく中のアクセントとなっていて、これはなかなか面白い要素だ。
 暴走状態をあくまで奥の手として使えるのであれば非常に面白いと思っていたが、ステージ2から「暴走状態にならないと倒せないゾンビ」が出てくるのはちょっとなあと思うところ。しかも、暴走状態になるまでの手順がゾンビを多数斬ることしかなく、必要なときに暴走状態に持っていくのが面倒。ゲージを溜めてからの暴走発動のタイミングをボタン発動にしたほうが良かったのでは?
 3点目は、ボタンを押すタイミングによって発動する高速コンボ「狂乱艶舞刀」。鉄拳シリーズの10連コンボっぽい感じだが、タイミングがきちんと合えば風を切るようなエフェクトとともに高速かつ強力なコンボが発動する。ちょっとタイミングを掴むのに苦労するが、これがいくつも入ったときの爽快感は素晴らしい。

 ゾンビを斬ることに関してはサクサク斬れて爽快感もありいいのだが、システム上の進め方のテンポが悪いように感じる。特に、エリア内でゾンビを殲滅して先へ進む箇所が相当数あるが、エリアが無駄に広いことが多く、離れたところにいるゾンビがプレイヤー方向に向かって来ずに離れたところをうろついていたりするため、殲滅に時間がかかってしまう。最初から全員出てきてくれればまだ良かったのに、中途半端に一部登場→殲滅したら次のグループ登場…となるため、さらに無駄に時間を食うイメージ。

 アヤの成長要素もある。レベルを挙げるとポイントがもらえ、そのポイントを攻撃力・移動力などに振り分ける仕組み。これについては、ゲージを1ランク上げると明らかに強さが変わるのでうれしい要素だが、1ステージクリアでも場合によってレベルが1上がらないこともザラにあり、成長があまりに遅い。もらえるポイントと振り分けて強くなるパラメータのバランスが悪く、育てる楽しみを得るまでに相当時間プレイしなければならないというのがねえ。
 クエストというPS3のトロフィー集めみたいな要素もあるが、1ステージごとに集めなければならず1つの称号で6ステージ分を要求されるというのが、何か違う感がある。

 simpleシリーズはシンプルすぎて1回サラッと全プレイしたらやることがなくなる作品が多い中、やりこみ要素も育成要素も詰め込んだこの内容はかなり頑張ったほうだろう。素材が少ないのに無理に長時間プレイさせようとして失敗した感は色んなところで感じるが。