[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:ナムコ/日本テレネット
発売日:2002.11.28
ジャンル:RPG
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:★★★

テイルズオブデスティニー2

●プロローグ
<星の歴史>
 1000年以上も昔のこと。特殊なエネルギーを示す彗星が衝突し、この星に長い冬の時代をもたらした。太陽の光を求めた人々は、彗星が残した物質からエネルギー源「レンズ」を開発し、これを利用して空中都市「ダイクロフト」を作った。しかしその結果生まれたのは、ダイクロフトに住む「天上人」の「地上人」支配だった。天上人は地上攻撃兵器「ベルクラント」で鎮圧をさらに強めたが、地上人が一斉に蜂起して「天地戦争」が始まる。
 天上人の思想を嫌うベルクラント開発チームは地上へ亡命し、レンズ技術の結集・最終兵器「ソーディアン」を開発して空中都市に対抗した。そして知能を持つ剣ソーディアンとその使い手たちの活躍で空中都市群はみな陥落し、海の底深くに沈められた。 やがてこれらは長い時の流れと共にはるか昔の出来事になった天地戦争後、自ら長い眠りについたソーディアンたちの目覚めの時は着実に近づいていた…。

<新たな英雄たち>
 心躍る冒険や名声を求めて故郷を飛び出した少年スタン・エルロンが知能を持つ剣・ソーディアンのディムロスと出会った瞬間、運命が動き出した。 「神の眼」と呼ばれる巨大レンズをめぐる争い… 古代技術によって世界征服をするべく太古からよみがえったミクトラン…。数々の危機が世界を襲うなか、スタンはルーティ、フィリア、ウッドロウ、リオンといったソーディアンの使い手たちと出会い、共に戦い、そして世界を救った。

<そして18年後…>
 かつての英雄たちの記憶は人々の心のなかでいつしか薄れはじめていた。今、誰もが夢中になっているのは全ての人に今すぐ「幸せ」をもたらすという聖女エルレイン…。 そんな時代のセインガルド王国・クレスタ、この小さな街に「カイル」という名の少年がいた。英雄スタンを父に持つ彼は誰よりも英雄に憧れ、冒険を求める毎日を送っていた。 そこへ突然現れた少女「リアラ」との出会いがカイルを運命の冒険へと導いてゆく。 過去、現在、そして未来、かつての英雄たちも巻き込んで時を越えた壮大な物語が今、始まろうとしている…

●概要
 2019年現在も続くナムコ(現バンダイナムコゲームス)の人気RPG「テイルズオブ」シリーズの第4弾。PS2では初の同シリーズで、1997年に発売された「テイルズオブデスティニー」の18年後を描いた続編。主人公は前作デスティニーの主人公だったスタンとヒロインルーティの息子カイルで、前作のパーティキャラは大半が18年後の姿で再登場している。

●大きく進化した2Dグラフィック・3Dフィールドは難あり
 街の中は2D・フィールドは3Dと、前作エターニアと同じ構成。前作でもかなり美麗だった2DグラフィックはPS2になりさらに高解像度になった。街中ではいろいろなオブジェクトで○ボタンを押すとオブジェクトが動いたりメッセージが表示されるが、メッセージの種類が相当多く、メッセージを探しにいろんなオブジェクトに近づいて○を連打するのが楽しい。1つ1つの街がそれほど広くないこともあって、いろいろ探索するのに適した大きさになっているのはメリットと感じた。

 フィールドは3Dフルポリゴンだが、こちらは2Dと打って変わって難点が多い。まずグラフィック水準がどうにもいまいちで、2Dの美麗グラフィックを見てからこちらを見ると、急にビビッドな色遣いにかくかくのポリゴンで少々悲しくなる。
 視点はこの手でよくある後方からの視点になっているが、視点が低めに設定されているため崖や段差の判別がしにくく、通常視点では見えない段差に引っかかること多々。視点の変更は右スティックで出来るものの、そのまま固定できないので結局役立たず。
 終盤には恒例の空飛ぶ乗り物・飛空艇が手に入るが、視点が上記のままなので地面が見難く、せっかく空を飛べるのに地面すれすれを飛ばないと着地地点がわからなくなる始末。その着地も判定が異様に厳しく、ちょっとでも荒れていると着地できないようで「着地できない地形です」を連発される。

●ストーリー
  序盤から目指す敵がある程度はっきりしていてわかりやすいのは良かったが、結果エルレインを追いかけるだけのストーリーになってしまって盛り上がりに欠けた印象がある。エルレインの右腕っぽい前口上でさっそうと登場するダンタリオンやガープが勝利した後何の言及もなく退場してしまうあたりも敵勢力の薄っぺらさを助長していて盛り上がりがないなあと思ったところだ。
 序盤のカイルの空気読めなさがやばすぎて大丈夫かな…と思ってスタートしたが、中盤以降はしっかりと成長が見られる展開になっていて落ち着いて見ることが出来たので、賛否あるらしいけど個人的にはある程度納得できる内容だった。そこかしらで言われているディムロスに対する暴言と、エルレイン初対面時の空気読めない発言はさすがにうわあ…となったけど。

●戦闘【TT-LIMB】
 今回はトラスト&タクティカル リニアモーションバトル(TT-LIMB)となった。毎回ネーミングが長くなっている気が。
 前作エターニアまで有効だった”ヒット数の多い技でごり押し戦法”に対して相当批判があったのか定かでないが、今作では攻撃や技の発動に「SP(スピリッツ)」という値を必要とするように変更され、SPがなくなった状態で攻撃すると敵に弾かれるようになった。SPは戦闘中の時間経過で回復するほか敵に攻撃を当てることでも回復するが、何も考えずに攻撃を乱発するとあっという間になくなるので、この感覚に慣れるには時間を要する。
 さらに中盤以降は敵のガードが非常に硬くなり、まとまったダメージをたたき出すことがかなり難しくなっている。代わりに魔法に当たる「晶術」が非常に強く、威力の高さはもちろん、ガード無視で敵を仰け反らせることもできる高性能。ボス戦では晶術を当てた瞬間に武器攻撃や技で追撃してダメージを与えていく戦法が基本になってくる。
 カイル操作の場合だと、前衛にいてSPに気を使いながら後衛の晶術詠唱をサポート、後衛のTP(一般的なRPGのMPみたいなもの)消費に気を使いながら晶術発動のタイミングで追撃でダメージを与え、戦況によってはL1で作戦を切り替えて回復特化や攻撃特化に変更…とやることが非常に多くなり、悪い言い方をすれば「やることが多すぎて取っ付きにくい」作品に。

 前半は考えずに適当に突っ込んでいってもおおよそ何とかなるが、後半になってくるとガードの異常な高さ・詠唱時間ほとんどなしで発動される晶術の強さもあって、ボスごとにしっかりとした対策を考えないといけなくなる。晶術に対して強力な確定カウンターをしかけてくるボスまで登場するので、ここはいつもと考え方をガラッと変える必要がありこれまた苦戦必至。
 極めると相当面白いという話も聞くが、逆言うとそこまでシステムを理解するまでやりこまないといけない領域だってことでもあると思うので、これが単発の実験作ならまだしも、シリーズのしかもマザーシップと呼ばれるメインタイトルでこれはさすがにどうかと思ってしまった。

●リファイン
 簡単に言うとアイテム・武器防具の合成。アイテム同士を合成させると別のアイテムが出来上がり、武器防具を合成させるとそれぞれの武具についている付加効果を一つの武具にまとめられる。主には武具の合成によって高い付加効果をつけることがメインの使い方になるものと思われる。リファイン出来る武具は決まっていて、固有の名前が付き黄色い四角でアイコンが囲まれる「ユニーク装備」はリファインすることが出来ない。
 分かりやすくていいシステムだと思うんだが、強い武具や高い付加効果が付く武具が大体ユニーク装備になるので、結果リファイン出来るものはそれほど多くなく、いいシステムな割に活用できない印象なのが残念。

●相変わらず全体がわかりにくい世界観
 これは今作に限らずここまでのシリーズ全体に感じることだが、フィールドの作りや見せ方を軽視しすぎてないだろうか?というのはすごく感じる。冒険するジャンルである以上「探索する」という部分は切っても切り離せない要素だと思うが、このあたりの作りがどうもうまくないというか。
 フィールドで言えば上記の通りそもそものグラフィック水準の問題や視点の悪さが第一に来るが、それ以外にも相変わらず異常に高くてホーリィボトルを使うことを前提にしているのか?と疑いたくなるエンカウント率の高さ、探索したところで出てくるのはその場に全く合わない宝箱がぽつんと置いてある光景。せめてその場所に合ったものを置いておくだけでも違ったと思う。例えば木を置いといて、木を調べると実が手に入るとかね。2Dフィールドでは細かく出来ていた部分だが、なぜそれが外に出ると出来なくなるのか理解できない。
 序盤から中盤にかけては行き先の決まっている船でしか大陸間を移動できず、フルに動き回れる飛空艇が手に入るのはこれまた前作同様に最後の最後で、まだ行っていない場所やサブイベントを潰すだけの存在でしかない。
 時代を行き来するストーリー上仕方ないにせよ、1度滞在するとそれ以降は一度も寄らなくてもいい場所も多かったり、1回入ると2度と戻れない街やダンジョンも多かったりする。

 エターニアの時にも思っていた「理解させる気のない展開」がそのまま続行している感じで、主要キャラクターの行動や言動でごり押ししているような、そんな印象。敵勢力がエルレインとバルバトス+数人くらいでやたら小さく見えるのもそういうところに要因があるのでは。

●総評
 続編らしく、しかも新ハード初作品ともあって新要素もりだくさんという内容だが、生かしきれない新要素とシリーズ特有の問題点が残り、かなり取っ付きにくいというか人を選ぶというか、そんな作品になってしまった感がある。個人的にはいま一歩な感じ。