バウンサー
ドリームファクトリー制作・FFシリーズでおなじみの野村哲也氏をキャラクターデザインに加えたアクションRPG。PS後期から始まっていたムービーを多用した演出をメインにした内容となっている。
シナリオパートと戦闘パートを繰り返す形で進むが、戦闘パートではシオン・ヴォルト・コウの3名のいずれかを選択して操作する形となる(アクティブ・キャラクター・システム)。操作するキャラによって直前のセリフが変わるなどの違いも。戦闘に勝利するとポイントを取得でき、このポイントで基本能力を強化したり新しい技を覚えたりといったことができる(ポイント・エクスチェンジ・システム)。
まずムービーをはじめとしたシナリオパートの部分だが、ムービー自体はかなり高いクォリティ。PS時代から続く技術の高さはさすがというところ。ムービー以外のグラフィックも、PS2の最初期ということを考えれば十分な水準にあると言えるだろう。
プレイ時間自体はそう長くはなく、おそらく普通に進めて2~3時間というところ。ムービーに相当の時間を取っているので戦闘パートにかかる時間が少なすぎ、ほとんどシナリオを見てるだけという状態になってしまうのが残念なところ。
戦闘について。操作形式は同社の格闘ゲームTOBALシリーズに非常に近く、△・□・×に上中下段を割り当てる操作系になっている。R1のガードもTOBALと同じ。○はジャンプ攻撃・L1はエクストラスキルに割り当てられていて、押しながらの攻撃で特殊な攻撃となる。エクストラとはなっているものの特に使用に制限はない。
弱・強攻撃の要素もあるが、よりにもよって「ボタンの押す強さ」で分類されており、とっさに出しにくいことこの上ない。ストリートファイターシリーズですら初代でやめた要素のはずだが。そもそもPSのボタンで強弱判定をさせるのって難しいような…
ストーリー上で戦闘パートに入ると、メインの3名であるシオン・コウ・ヴォルトの3名から1人を選んで戦闘が開始され、他の2人は(場面によるが)CPU操作による支援という形で参加、3vs多数のバトルが基本ということになる。
戦闘では勝利すると「バウンサーポイント」がもらえ、基本能力やスキルの強化に割り振ることができる。強化システムがあるのは非常にいいことだが、プレイヤーキャラがとどめを刺さないとポイントがもらえないというのがどうにも。これが無双系ゲームのようにわらわら敵が出てくるのであればこの方式もわかるが、場面場面で出てくる敵の数は決まっており、そこまで多いわけでもない。均等にとは言わないまでも、とどめを刺してなくても一定数はもらえる仕組みのほうが良かったのでは。
この手のゲームにありがちなところだが、全体的にカメラアングルが悪いこともネック。せめてアングルの切り替えがプレイヤーに委ねられていればまだ…というところだったが。
キャラクターを強化するとバウンサーランクと呼ばれるランクがGからSまで上昇していくのだが、3人の強さの合計がそのまま敵の強さとイコールになるようで、一人を強くしすぎると敵が強くなりすぎて他のキャラを強化できない事態に陥る。一回これにはまったことがあるが、敵の攻撃力もさることながら防御力が格段に上がってしまい、相当の手数を要求される状況になった。
動きについてはそこまで悪いとは思わないが、敵が近付いてきたときに自動で戦闘態勢に入ってしまうのが引っかかるところで、ロックオンの切り替えという要素がないためか複数に狙われた時の対応が難しい。
打撃音とか倒れる音とかもそうだが、ムービー以外が全体的に安っぽい作り。発売すぐであっという間に値崩れを起こしPS2初期のワゴンセール常連となったタイトルだが、まあ、わかるな…という内容。