[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:SCE/メディア・ビジョン
発売日:2002.03.14
ジャンル:RPG
実勢価格:300~500円(中古価格)

評価:★★★★

ワイルドアームズ アドヴァンスドサード

●プロローグ
 ヴァージニア、マックスウェル。18歳。
 彼女が手にするは、幼き頃、父から手ほどきを受けた二挺拳銃。
 まだ見ぬ世界への憧れが、心の強さとなって翼を大きく広げる。
 だが、未来へと続くレールは決して直ぐには伸びてはおらず、複雑に交差していた。

 逆境を乗り越えるのは、手にした銃の力ばかりではない。
 少女がその力に気づいた時こそ、「渡り鳥」として真に羽ばたくときであった……

 果てなき荒野が広がる地”ファルガイア”。秘めたる決意を胸に、ひとりの少女がいま、旅立つ。

●概要
 荒野の広がる世界「ファルガイア」を舞台にしたRPGシリーズ第3弾。PS2では初のシリーズ作品で、”進化”を意味する「ADVANCED」がタイトルに冠された。2からはテーマが設けられるようになり、前作のテーマは「英雄」だったが、今作では「想い出」。

●ストーリー・展開
 今回は「Chapter」としてストーリーが4つに分かれ、区分ごとに敵役が異なるという展開を採用している。わずか3作目にしてワイルドアームズらしいとすら思わせてくれる「ッ!!」多用のベタ過ぎる数々のセリフ回しに彩られ、特に後半はファルガイアに住まう人々の【想い出】を守るための熱いストーリーが展開されることとなる。
 全体を通して見ると、入りから序盤にかけてがかなりの”スロースターター”で、ただただ単純にかったるい序盤という印象がぬぐえなかった。原因はいろいろと考えられるんだけど、序盤は街などの拠点で情報集め→ダンジョン→次の拠点で情報集め→ダンジョンの繰り返しになるという点が最も大きいように思う。
 今作は世界観が”荒野”にふさわしい「砂に覆われた世界」になっていて海もすべてが砂の「砂海」、緑はほんのわずかな地域のみ。この世界自体には強烈なインパクトがあるんだけども、このインパクトを序盤は悪いほうに使ってしまった感があって、ダンジョンも「1フロアが狭い」「見た目が似たようなダンジョンばかり」。これもこういう世界だから仕方がないんだけども、せめて進め方に違うアプローチがあれば…

 ただし、それを乗り越えて行動範囲が広がった中盤以降になると、いろいろな場所を回っての拠点探しや各種隠し要素などで一気に面白さが加速する。ストーリーも合わせて真相に近づいていき、序盤の伏線回収も素晴らしい。1周が長いのでなかなか大変ではあるが、2周目の価値があるストーリーだと思った。

●戦闘
 
システムは前作をほぼ踏襲しており、戦闘中に貯まる「FP(フォースポイント)」を使ったアルカナ+フォースアビリティ(魔法・技みたいなもの)をメインに戦い、回復はフィールドがアイテムのみ、戦闘中はアルカナでの回復も可能。
  ワイルドアームズの過去2作品は難度という意味ではそれほど高いものではなく、どちらかというとストーリーやグッズを使ったパズルギミック要素などを楽しむ作品のような感じだったが、今回はただ通常攻撃をしているだけでは倒せない敵が多くなった。
 個々に様々な耐性や能力値アップを付加できる「パーソナルスキル」も前作に引き続き採用されたが、今作はこのスキルを有効に活用しないとあっさり全滅という場面がちょくちょく挟まってくる印象で、しかもそれがボス戦ではなくザコ敵のほうが苦戦するケースが多い。ボス戦で苦戦したことは正直ほとんどなく、一部通常に戦うだけではダメな敵への対応に若干時間を取られた程度。

 そのほか、中盤以降は高速砂上艇などの特殊バトルも追加された。砲撃や操縦などを分担させたりする要素を取り入れてはいるんだけど、結局強い整備をしたら強い+クライヴを砲撃に置いておけばいいという感じで深みがなくて、ここらへんはいまいち。

●フィールド/サーチシステム
 前作で初めて採用された「サーチシステム」を今作でも採用。マップ上の拠点やダンジョンは最初は表示されておらず、会話でフラグを立ててから近くの場所へ行きサーチを行うことで初めてマップ上に現れ、中に入ることが出来るというものだ。
 前作でもこのシステムについては面白いとは思うけど…という感じで見ていたが、今作もやっぱり同じ感想。後述になるけど「ミレミアムパズル」とか「テレパスタワー」などの隠し要素をサーチで見つけるのはまだわかるんだが、町・駅などの通常拠点まで隠す必要性がいまいちわからない。だって見えてるんじゃないの?っていう…

 あと、序盤に「馬」が手に入るんだが、フィールド上に点在する「断崖」を飛び越えるために必須。なんだけど、飛び越えるぶつかり方がシビアすぎて1度で飛び越えられた試しがない。しっかり90°で入らないと跳べない?なんていう噂もあるけどどうなんですか。

●ダンジョン/グッズによる謎解き+ミレニアムパズル
 これもシリーズおなじみとなった各キャラクター固有の「グッズ」を使ったパズル・謎解き要素。今回も各キャラクター3つづつのグッズが手に入り、最終的には12個になる。パーティキャラの人数が6人→4人になりグッズ総数も18→12に減ったおかげもあると思うが、前作のように「手に入れたはいいがほとんど使わないグッズ」というのはなくなり、比較的満遍なく使うようになった。
 1の時から考えられているシステムであり、特にここで細かく言及することではないと思うが、相変わらず良くできている。

 中盤以降隠し要素の一つとして、お題に沿ってパズルを解く「ミレニアムパズル」が追加される。世界中に拠点が散らばっていてサーチを活用して探し出すというのが面白い。ノーヒントなので全部を見つけるのはなかなか骨が折れるが…
 ○ボタンでブロックを掴むんだけど、○ボタンにはダッシュも割り当たっているので、ちょっとブロックへの接触位置を間違えるとあらぬ方向にダッシュしてしまったり、ブロックに体当たりしてしまったりと誤作動が多発する。範囲外に落ちると最初からやり直しになる仕様も重なり、ステージによっては相当イライラさせられた。ブロックの掴みだけ□ボタンに割り当てるとかじゃダメだったんですかね…

●音楽・グラフィック
 今作もなるけみちこ氏のサウンドが唸る。ウエスタンな世界観がさらに進み、口笛メロディがさらに似合う世界になって曲との相性はさらに良くなったように感じる。フィールドから街の音楽・戦闘曲に至るまで、荒野を旅するRPGの名にふさわしい曲の数々。
 グラフィックも大幅に向上。そりゃハード変わったんで当たり前だが、1・2はその当時を考えてもお世辞にも良かったとは言えないので、ちゃんとその時の主流に追いついたというか。黒縁の入るアニメ調の3Dグラフィックに、画面全体にかかる荒野をイメージさせるザラついたエフェクト。2002年の水準で見ると相当頑張ってると思う。

●総評
 序盤がなあ、の一言。それ以外は順当に面白いし、今までと比べても荒野のRPGを一番表現できていてオンリーワンの空気感があるし。上にも軽く書いたが、1周回って2周目でもっと良さがわかるタイプのゲームなのかもしれない。