[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:バンプレスト/ドリームファクトリー
発売日:2005.12.01
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:200~300円(中古価格)

評価:★★☆

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[Review] 2012.01.18

義経紀

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 平安から鎌倉時代に活躍した著名な武将・源義経を主人公に、少年時代(牛若丸)から元服・そして平家が滅亡した「壇の浦の戦い」までの源平合戦を描いたアクションRPG。キャラクターデザインを「ヒカルの碁」「バクマン」でおなじみの小畑健氏が担当したことでも話題になった。美麗なイラストがゲーム中さまざまな場所で出てくる。ロード画面でも。

 製作は、ここ数年KOTYなどのメジャー化に伴ってある意味で有名になったドリームファクトリー。 サウンドは後に戦国BASARAシリーズの音楽も提供した近藤嶺氏が担当。全体的に空気感が良く、印象に残る曲作りをしてくれている。まずここは素晴らしいです。

 源平合戦と言えば日本史の中でも有名な話だが、今作では史実に基づいたストーリーの中に「物の怪」や「怨霊」といったファンタジー要素の世界観が入っている。ゲームなのでこういう要素も欲しかったのかもしれないが、それならそれでもっとパラレルストーリーに仕立てても面白かったんじゃないかなと。世界観の絡ませ方が中途半端で、最後に平家のあの人を出したかっただけだろ!みたいな絡ませ方はどうかなーと思う。
 もうちょっと史実を追うなら追う、追わないなら追わない、といったあたりをはっきりさせても良かったんじゃないだろうか。
 声優は田中敦子・黒田崇矢・大塚明夫・石田彰・氷上恭子などベテラン揃いの豪華面子で、さすがの演技力を発揮。個人的には石田さんのぴったり具合と、てらそまさん(木曽義仲役)の存在感が特に印象に残っている。

 システムとしてはごくオーソドックスな武器装備型のアクションRPGで、ストーリーが進むと仲間となる伊勢三郎(義盛)・武蔵坊弁慶・那須与一・静御前のNPC4人のうち1人を連れて行き、2人でダンジョンを攻略する。ステージ数は全8ステージで、サブイベントによる寄り道ステージがいくつかある。
 NPCの4人はスピードタイプの伊勢・パワータイプの弁慶・遠距離攻撃の与一・回復役の静御前と完全にタイプが分かれているが、どのキャラも武器さえきちんとしていればそれなりの攻撃力を持つようになることから、普通にプレイした場合は明らかに静御前が楽。

 操作は、×ボタンの弱攻撃と○ボタンの強攻撃・□ボタンのガードの3ボタンでほぼ操れるという簡単操作。ジャンプはなく、良く言えばシンプルでわかりやすい、悪く言えば前時代的。R1ボタンで前転(回避行動)・L1ボタンはNPCへの命令・L2ボタンはNPCを自分の元へ呼ぶ、と割り当てられている。
 ダメージを与えたり受けたりすると最大で3つまで貯まる「勾玉」を使って、レバー(十字キー)半回転+○ボタンで出せる「借神攻撃」(勾玉1つ使用)と、NPCキャラの前に立ち○+×同時押しで出せる「連携必殺技」(勾玉3つ使用)もある。
 武器にはそれぞれ「切れ味」があり、使っていくにつれてダメージが減っていく。アイテムの「砥石」を使って研ぐことで、切れ味を回復させることが出来る。

 カスタマイズの要素では、道中で手に入る「仏神」を装備するとパラメータアップや移動速度アップなどの効果が得られる「曼陀羅」システムを導入している。名前はあまり聞かないが、中身はRPGではよくある「アクセサリー」と同じなので、新鮮味は特になかった。
 武器のほうでも、倒した敵の種族によりその種族に対するダメージの上方補正がかかるようになっているほか、材料を用意して鍛冶屋に頼むと武器をレベルアップすることも可能。

 アイテムについては、1種類のアイテムにつき最大9個まで所持できる。数はいいとして、持てる種類が20種類で、ちょっと少ないかなという感じ。預かり所的なものもあるが、こちらは種類は無制限だが数は9個までしか預けられない。ここは99とかでも良かったのでは。
 アイテム周りの細かいシステム部分はあまりこなれてなくて、アイテムを連続で使いたいときに、いちいちアイテム選択→人物選択を繰り返さなきゃならなかったり、アイテムの整理にわざわざアイテムウインドウが開くなど1ステップ無駄に多かったりといった具合。
  鍛冶屋に精製を頼むときも、加工前の武器と指定のアイテムを全て持っていないといけなくて、せっかく預かり所があるのに勿体ない感じ。持てるアイテムの種類が少ないので、預かり所から自動で取り出してくれると楽だったのに。

 ゲームの難度はかなり簡単なほう。簡単操作なこともあるが、1回に食らうダメージが最終盤以外さほど多くないことなどがあげられる。回復アイテムを使うのに、メニュー画面を出してから使うというのも難度低下に一役買っている。メニュー画面を出したら戦闘が完全にストップするので、メニュー画面さえ開ければ立て直しが出来てしまうので。
 歯ごたえがまったくなくてつまらないというほどのものではないので、アクションに慣れていないプレイヤーが入るにはぴったりの難度ではないだろうか。
 基本的に攻撃したもん勝ちなバランスなので、ガードや回避を覚えるくらいならガシガシ斬りに行ったほうが早い。ガードに至っては弾かれて大ダメージをくらうこともあるなど扱いがどうにも中途半端。序盤はいいが後半はガードするよりは攻撃範囲外に避けた方が良かったりする。

  一部ステージを除いてダンジョンが自動生成になっているのが特徴で、入るたびに地形が変わる、いわゆるローグ的な仕組みとなっている。(ドリームファクトリーってこういうの好きだよな)
 ただ、区画(部屋・通路)の種類が少なく、同じ区画が3回連続で登場したりすることもよくある。まあここは1区画に時間がかかるわけでもないので何とか許せるにしても、同じ区画では敵の数や配置・アイテムの入っている木箱の位置から中身までも一緒というのはさすがに萎えた。
 敵の種類も少なくて、武将キャラ以外の敵は10種類くらいを色違いで使い回しているだけ。途中ボスで出てくる酒呑童子までも後に色違いボスとして登場するなど、区画の種類を含めてダンジョン内(というかアクション部分)全体のバリエーションに乏しく、見た目に飽きやすいのは難点だろう。

 見た目と言えば。カメラワークも自動だが、場所によっては急激に見難いところが出てくるので気をつけたい。いきなり義経の真上からかなり寄ったアングルになったりする。たまに木の枝葉が画面の中に入ってくることがあるが、アングルによってはこの枝葉も邪魔で、義経や敵1キャラ分がまるまる隠れてしまったりすることもあった。

 シンプルな中でも極める要素をいろいろ揃え、長くプレイしてもらおうという意気込みは感じるのだが、せっかくのアクション部分が飽きやすいあたりがやっぱりネックになってしまうのが惜しい。サブイベントもダンジョンへ行ってボスを倒すか特定のアイテムを手に入れるだけなので、飽きやすいという部分の解決にはなっていない。せっかくの収集要素である「仏神」も29種類全て集めようかなっていう気にならないんだよね。

 アプローチは悪くないんだけど、ストーリーの大きさやプレイ時間(通常で15~20時間くらいじゃないだろうか)に対する各システム面でのバリエーションの乏しさが全てに影響した気がする。ドリームファクトリーの製作規模の問題だったんじゃないかなと思うので、大手の会社が作ったら変わったんじゃないかな?
 もう1回言うけど、とっても惜しい作品。イラストや音楽の素晴らしさ・あとグラフィックも全体的にさほど破綻もしてないし、超キレイとまではいかないにしても十分なクオリティ。マイナーだけど名作、という位置付けになれたゲームだったよなーと思う。