[Data]
ハード:Playstation 2
メーカー:デジキューブ/マイケルソフト
発売日:2005.12.01
ジャンル:アクションRPG
実勢価格:500~1,000円(中古価格)

評価:★★★

[Review] 2015.02.08

イースI・II エターナルストーリー

 日本ファルコムの名作アクションRPG「イース」シリーズの第1作及び第2作のリメイク作品。1998年に日本ファルコム自身がリメイクした「イースエターナル」をベースに、PS2版オリジナルの「エターナルストーリーモード」(以下ES)を搭載したほか、元となったWindows版「イースI エターナル」「イースII エターナル」も完全移植し、実質2つのモードで楽しめる作品となっている。
 製作はファルコムスタッフが多数所属したといわれるマイケルソフト。本作以外の代表作としては「ウィザードリィ エンパイア」シリーズなどがある。発売はデジキューブが担当したが今作発売後に自己破産、デジキューブが発売した最後のゲームソフトとなってしまった。

 イースエターナルについては、極力オリジナルに忠実に作られたということで基本部分に大きな変更点はなく、半キャラずらしによる体当たり攻撃ももちろん原作通り。ゲームスタート地点がミネアの村からバルバドの村に変更されており、スタートにちょっと変更が加えられているものの、ダンジョンについては構造含めてほぼ変更なし。(フィールドマップについては結構変わっているそうだが)
 レベル一つ上げるとバランスが激変するイース(特にI)独特の感覚も含めて、シンプルで面白い。いろいろ移植を繰り返しているが、どれをプレイしても一定の面白さを保っているのはさすがと言ったところ。
 移動については斜め移動が可能になった初のイースI・IIになるが、細かい移動ができるようになった半面、半キャラずらしがかなり合わせにくくなった。Iはレベルを上げれば何とかなるし、IIでは斜めからアタックするとダメージを受けないなどの救済策?みたいなものがあったりと、プレイしていれば何とかなるレベルではあるのだが。

 グラフィックについては、人物グラフィックがとにかくきれいで今でも十分通用するレベル。ゲーム画面はPC版の移植なだけにフォントを含めてPCゲーな感じが満載だが、こちらも水準はかなり高い。

 PS2オリジナルのESモードは、それぞれ独立していたイースIエターナル・IIエターナルを繋げて、新要素を色々と加えたもの。2作が繋がったのはいいが、レベルが共有されているわけではないので別々にプレイするのと何ら変わらなかったのはどうかなあと…
 演出面では、グラフィックは全く変わりないものの、主要キャラクターに声が割り当てられたのが大きな変更点となる。テンポの良さを売りにしていたこのゲームの内容から考えると、声があることがメリットだとは必ずしも思えないところはあるが、氷上恭子さん・石田彰さん・田中敦子さん・大川透さんとかなり豪華な布陣なので一聴の価値あり。

 ゲーム内容の面では、まずイースIの最大レベルが10から50に変わった。今までのイースIは廃坑のあたり(ゲーム中盤)で最高レベルに達してしまっていたので、最終盤までレベル上げの要素を残せるというのは大きな変更になる。
 もうひとつは、所持する武器やリング・アクセサリに特殊効果がつくようになった。イースIで最初に手に入るSHORT SWORDには敵の動きを鈍くするスタン効果が、LONG SWORDは一定確率でダメージが上がるクリティカル効果がつくなど、I・IIで手に入るすべての武器に何かしらのスキルがつくようになっている。
 無傷で敵を倒し続けることにより「COMBO」の数字がたまってゆき、このコンボの数字によってリング・アクセサリの効果が増大される。POWER RINGであれば、コンボの数字によって攻撃力にプラスの補正がかかる。

 まず、Iのレベル上限については、撤廃してからのバランス調整がうまく整っているなら十分ありだと思ったのだが、レベルをどんどん上げられるようになったことが影響したのか、さまざまなスキルがあることを前提としたのか、敵の耐久力がエターナルと比べて格段に上がっており、確実にレベル上げ&武器防具購入のためのお金稼ぎを行わないと進めない変なバランスに変わっている。
 IIも同じように敵の耐久力がエターナルより跳ね上がっているが、背後から攻撃で一撃必殺となるHYPER CUTTERの存在がかなり中和している印象。それでもかなり気になるレベルだが。
 コンボについては、パワーリング装備でコンボをためてボスに挑むとコンボ数によってはボスを一撃で粉砕出来てしまったりするなど、粗さが目立つ。それでいてザコ敵にはほとんど効果がなく、恩恵がほとんど感じられない。

 夢見る宝石による追加要素もまあこんなもんだよな、というところで、せっかくのエターナルストーリーオリジナル要素がことごとく裏目に出ているあたりがとてももったいない。
 ロード時間も少々長め(これはエターナルも同様)で、イベントや切り替わりごとに挟まるNow Loading…がちょっと煩わしい。イースと言えばロードなどないに等しいサクサク感もいいところの一つだが、今作に関しては残念ながらデメリットになっている。

 ESから始める分にはこんなもんかな?と思うレベルだろうが、エターナルをプレイしてからこちらへ来ると何とも言えない消化不良感が漂う。エターナルモードではロード時間がやっぱり残念で、総じてイースI・IIのリメイク・移植作の中で考えると、プレイするべき優先度は低くならざるを得ない作品だろうと思う。女性キャラのかわいさを堪能する作品かと。